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3月25日、夕方に雨が上がった桜咲く日にSUPER★DRAGONのSPECIAL LIVE【Persona】が開催された。場所は彼らがひとつの目標にしてきた、自身最大規模となるパシフィコ横浜。今回はコロナ禍始まって以来の声出し解禁ライブということもあり、メンバーもファンも気合いと緊張とワクワクが止まらない、そんな空気感が開演前から会場に満ちていた。
そんな特別な日のオープニングを飾ったのは3月にリリースされたアルバム『mirror』から「Revolution」。大きな舞台装置に仮面をつけた9人が登場すると、大きな歓声が上がった。終盤のブレイクで彼らが一人ずつ仮面を取ると、火花が散り、レーザー光線も駆け巡るというゾクゾクするような演出に会場中のボルテージがたちまち上がっていく。緊張感をぶち破るように熱唱する古川毅、クールに伸びやかな歌声を聴かせる池田彪馬。「始まったぜ、ペルソナー!」とジャン海渡が煽ると、ファンキーなダンスナンバー「So Woo」へ。松村和哉のラップ、田中洸希のボイパも鮮やかにスキルフルにこの曲を彩っていく。続く「Are U Ready?」「Untouchable MAX」と観客をパワフルなダンス&ボーカルで惹きつけていく。
最初のMCではひとりずつメンバー紹介ということで、伊藤壮吾お得意の華麗なる車掌アナウンス、飯島颯がステージを駆け抜ける場内ウェーブなどそれぞれに楽しませてくれた。その後も「Hey, girl」ではバーでグラスを傾けるような演出でテーブルに置かれたカメラからビジョンにメンバーの顔が映し出されたり、大人っぽくスタイリッシュなダンスを披露する「Indelible Magic」など、まさに仮面を付け替えるように次々と違った表情を見せてくれる。かと思いきや、年下メンバー5人によるサンダードラゴンの「リマカブロ!」、年上メンバー4人のファイヤードラゴンによる「MIKAZUKI」、さらに壮吾がひとりで鍵盤を弾く初の試み、洸希がボイパとサンプラーを使うソロパートなど、一瞬も目が離せない展開に。コンテンポラリーダンスを披露した場面では、颯の長い手足を生かしたバレエダンサーのような舞いにも目を奪われた。
「SPECIAL LIVEなのでまだまだ中盤戦です!最後まで楽しんで行こうぜー!」という毅のMCを挟み、「相合傘」ではしっとりとした歌声とピンク色の傘をさしたまま踊る演出や、ステージ前方に薄い幕を張ってシルエットでメンバーの姿を映し出すなど、工夫を凝らした見せ方で観客の興奮を煽る。全員が真っ直ぐに客席に向き合って想いを伝えた「-Tweedia-」、両手足がリボンで縛られた操り人形のような演出も見どころだった「Welcome to my hell」など息つく暇もないほどの濃密さで中盤も駆け抜けていく。
そこから9人の凄まじい集中力でカオスな盛り上がりを見せたのが、青いツナギに衣装チェンジしてからの終盤戦。体に響くようなビート感で会場を左右にゆらした「LRL -Left Right Left-」、「+IKUZE+」ではタオルを振り回し、観客とのコール&レスポンスをバッチリ交わすとみんな笑顔に。そして最新アルバム『mirror』に収録された中でもSUPER★DRAGONがセルフ・プロデュースを手がけた一曲「Tap tap tap!」では、力強く掲げた拳に、その目線と歌声に、9人の確固たる信念を感じた。アルバムの取材時にこの曲について「このアルバムでやっと、自分たちがやりたいことを思い切りやれた、これまでのジレンマも解消されたからこそ書けた歌詞」だと和哉が語っており、颯は「僕らメンバーが携わってしっかり気持ちを込めて熱を伝えられるようなダンスを作りたい」と語っていた。そうした想いや理想を音楽とパフォーマンスにしっかりと投影できるのが、今のSUPER★DRAGONの強さだ。
続く本編ラストはアルバム『mirror』でも最後に収録されていた「Popstar」。ビジョンには過去のまだあどけない表情のメンバーの映像なども映し出され、目の前にいる9人は互いの仲の良さが伝わってくるような微笑ましいパフォーマンスを繰り広げた。音楽制作においてはジャンが選曲に携わったり、ボーカル&ラッパー陣が歌詞を手掛けたりなど積極的に関わっているが、今回のライブでは怜於と颯がライブ制作に携わり、壮吾のキーボード演奏など新たなアプローチも見られた。9人全員が自分の得意分野を発揮してSUPER★DRAGONを前へ押し進めようとする力が、この「Persona」と名付けられた最高の一夜を生みだした。しかし、彼らにとってはまだまだ通過点に過ぎないのだろう。そう思っているとジャンが「これから俺らがもっともっとポップスターになる瞬間が見たいよな?今日はその序章だったと思う!」と心強く言い切った。
アンコールではラフな雰囲気で「Bad Day」を披露し、メンバー全員でMCを回し始めたのだがトップバッターの怜於による、このライブに向けた想いが溢れ過ぎた語りに「怜於のワンマンライブじゃないんだから!」「あとはブログに書こうか?」とメンバーに次々とつっこまれ、和やかなムードに。楽は「僕が小さい時から応援してくれて感謝しています。僕はスパドラで良かったなと思う瞬間しかないです!」と素直な想いを口にした。そして彪馬は「ずっと待ち焦がれていた声出し解禁ライブができました。みんなの声がようやく聞けて、こうして最大キャパの会場で会うことができて嬉しいです。悲しいことや辛いこと、全部忘れさせてあげられるような存在でありたいとあらためて強く思いました」と語ってくれた。
アンコール2曲目は「BROTHERHOOD」。彼ら9人と、そしてBLUE(ファンの総称)の絆の歌が、色とりどりの仮面で彩ってきたライブの最後にピースフル&ハッピーに輝いた。全29曲というボリューム感たっぷりの、まさにスペシャルなライブだったが考え抜かれた構成と演出であっという間に感じるほどだった。オープニング時のはち切れそうな緊張感とはうって変わって、アンコール時にはほっとしたような笑顔をたくさん見せてくれた9人。名残惜しそうに客席に手を振っていた姿が印象的で、毅が「これからも俺たちと夢の続きを見てくれますかー!」と呼びかけると観客は大きな声で応えた。昨年から続いた連続リリース、アルバム制作、そして今回のスペシャルライブまで、挑戦続きだったSUPER★DRAGON。そのなかで音楽性はもちろん、表現力も目まぐるしい成長と進化を遂げていた様をまざまざと見せつけてくれた。
Text:上野三樹
Photo:笹森健一、小坂茂雄
◎ライブ情報
【SUPER★DRAGON SPECIAL LIVE「Persona」】
2023年3月25日(土)
神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール
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