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ピンク・フロイド『狂気』50周年記念盤が3月24日に発売されたことを受け、『狂気』の制作過程をメンバーや関係者が語る新たなドキュメンタリー映像が公開された。
映像では、アルバム『狂気』のオリジナル・アートワークにまつわるエピソードとともに、今回の50周年記念ボックスがエジプトのピラミッド内の石棺のイメージで「入れ子」構造(大きな箱の中にそれよりも小さな箱を順番に重ねて入れていく構造)で創られた“美術品”のようなイメージであることが分かる内容になっている。
『狂気』のアートワークのデザインについてメンバーはこう語っている。
デヴィッド・ギルモア:「僕たちは昔から自分たちの写真をジャケットに使いたがらなかった」
ロジャー・ウォーターズ:「史上最も知られたジャケットのひとつだろうね」
リチャード・ライト:「ずっと眺めてみても飽きないよね」
ニック・メイスン:「プリズムがこのアルバムを絶対的に定義づけるロゴなんだ。みんなすぐ“素晴らしい、これで行こう”と言っていたよ」
また、アートワークのデザインしたヒプノシスのストーム・トーガソンとオーブリー・パウエルもこう語る。
オーブリー・パウエル:「ある日スタジオで光の屈折について書かれた『Light and Color』という本をパラパラめくっていた。それがインスピレーションになった。ストームが“白い光が三角形にぶつかっていきなり虹色になる図が想像できる”といった」
ストーム・トーガソン:「『狂気』のプリズムのデザインは基本的に3つの要素からなっている。ひとつはバンドがやっていたライトショー。それを再現しようとした。2つ目は確か歌詞のテーマにあった野心と貪欲。3つ目はリック・ライトのリクエストに応えた。みんな“これこそ僕たちが望んでいたものだ”と言ってくれた」
50年後、新しいパッケージでどう再現すべきかについては、オーブリー・パウエルとグラフィック・デザイナーのペンタグラムとの間で話し合われ、デザインが構築されていったという。
ハリー・ピアース(グラフィック・デザイナー/ペンタグラム):「『狂気』の50周年ボックス・セットの元のインスピレーションは『狂気』のピラミッドつながりで、エジプト学に出てくる“石棺”の中が“入れ子”構造になっている状態をメタファーにした。50周年につながる金色の概念もここからきている。石棺ともいえるボックスを開けると、別のボックスが出てきて、どんどん開けていくと、一番奥にはゴールドのボックスがあって、そこには“オリジナル・アルバムのLP”が入っている、という感じなんだ」
『狂気』50周年記念盤豪華デラックス・ボックス・セット『The Dark Side Of The Moon -50th Anniversary Box Set』には、長年ピンク・フロイドの音を司ってきたジェームス・ガスリーによる『狂気』の2023年最新リマスターCDとLP、『狂気』全曲演奏ライブ『狂気:ライヴ・アット・ウェンブリー1974』のCDとLP、ピンク・フロイド史上初のアトモス・ミックスを収録したBD、5.1ミックス、ハイレゾミックスなどを収録したBDとDVDが含まれる。更に1972年―1975年の全英・全米ツアーからレア・未発表写真を収録した160ページ・ハードカバー写真集、オリジナル盤の76ページ楽譜集、復刻7インチ・アナログ・シングル2枚(「マネー/望みの色を」と「アス・アンド・ゼム/タイム」)、ポスター4枚、ポストカード2枚、1973年にロンドン・プラネタリウムで行われた『狂気』試聴会のEMI制作パンフレットおよび招待状のレプリカなど貴重な特典も収録される。
『狂気(The Dark Side Of The Moon)』はピンク・フロイド8作目のスタジオ・アルバム。現代社会の緊張と抑圧、人間の心のなかに潜む狂気をテーマにした一大コンセプト・アルバムで、バンドとエンジニアのアラン・パーソンズによって生み出された。象徴的なジャケットのアートワークはヒプノシスによって光のプリズムをモチーフにデザインされた。1973年3月1日にアメリカで発売され、バンド初の全米1位を獲得、シングル・カットされた「マネー」も全米13位とヒットした。全米チャートで741週(15年間)連続ランクインのギネス記録、全世界トータルセールス5000万枚以上、史上最も売れたアルバム3位などの記録を打ちたてた。英国では1973年3月16日に(最高位2位)、日本では1973年4月21日にリリース(最高位2位)された。
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