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ワンリパブリックが3月7日に【OneRepublic: Live In Concert】を東京・東京ガーデンシアターにて開催した。
ワンリパブリックの来日公演は、2017年の初単独来日公演から約5年半ぶりとなる。2007年にデビューして以降「カウンティング・スターズ」や「アポロジャイズ」など数々のヒット曲を生み出し、2022年には映画『トップガン マーヴェリック』の挿入歌「アイ・エイント・ウォーリード」でさらに注目を集めた。
前座では、サポートアクトとして出演したJESSIAが力強く美しい歌声で会場を温め、興奮冷めやらぬなか会場が暗転。重低音が鳴り響くイントロの中、ワンリパブリックのメンバーがステージへ姿を見せると、会場は大きな歓声に包まれた。そして、ブレント・クツレ(Ba./Vc.)のチェロと、アシュリー・クラーク(Vn.)のヴァイオリンが奏でる軽快な刻みから1曲目「シークレッツ」がスタート。サビでは<all my secrets away>の部分をファンが大合唱し、会場は早くも熱狂的な盛り上がりに包まれていく。続けて、流れるように「グッド・ライフ」を披露。2番では<Paris to China to Colorado>という歌詞を<Paris to China to “TOKYO”>に変える粋な演出もあり、会場からは喜びの歓声が沸き起こる。また、ライアン・テダー(Vo.)がタンバリンを持ち、ステージ上を踊るように歌う姿がとても印象的で、「グッド・ライフ」という楽曲を全身で表現しているように思えた。
冒頭の2曲を終えると、ライアンが「ここ大好き、ありがとうございます。」と日本語で挨拶。続けて、「東京は僕が大好きな街。初めてこの街に来たのは2008年で、それ以来ずっとこの街が好き。前回の来日から随分と月日が経った。この3年間は特異な期間だったと思う。でも、今こうして一緒に騒ぐことができるなんて、最高の気分だ! 今夜は思いっきり声を出して、思いっきり歌える曲を用意してきた。みんなが知っていて、愛してくれている曲を演奏することが今夜の僕たちの目的だ。カラオケナイトの始まり! 『アポロジャイズ』というヒット曲もあるんだけど、それはこの後歌うよ。今から歌うのは別のヒット曲さ!」とこれからの時間をワクワクさせてくれるようなコメントに、会場からは割れんばかりの拍手と歓声が鳴り響いた。
MCが終わり、続いて披露されたのは「ストップ・アンド・ステア」。人生には立ち止まって考え、本当の自分はどうしたいのかを見つめる時間も必要というメッセージが込められた本楽曲。ライアンの力強い歌声と、バンドの一体となった演奏は、会場にいる人々の背中を押してくれているように感じられ、思わず胸が熱くなった。また、最後のハイトーンは鳥肌が立つほど美しく、思わず笑顔になってしまうほどの歌唱力に、会場からは自然と拍手喝采が沸き起こる。その後も「レスキュー・ミー」「ホエアエバー・アイ・ゴー」「ラヴ・ランズ・アウト」などファンにはたまらないナンバーが次々と披露されていく。特に「ホエアエバー・アイ・ゴー」では、徐々に激しくなっていく曲調に合わせて、会場のボルテージも上がっていき、サビではフロアが揺れるほどの盛り上がりを見せた。
その後、ライアンは「みんな元気?」と驚くほど流暢な日本語でコメント。さらに、「幸運なことに夜はワンリパブリック、昼はソングライティングを生業にできている。バンドのライブでは他のシンガーたちと作った曲は歌ってこなかった。でもコロナによって世界がストップしたことで、考えが変わったし、何が重要なのかにも気がついた。こだわっていたことが意外にもそこまで重要なことでもないってことにも。それまでは、ワンリパブリックのライブではワンリパブリックの曲のみ、というこだわりに固執していたけど、その考えは取り払って、ここからの15分間は人に提供または共作した曲だけで構成したヒットコンサートをお届けするよ! 『ヘイロー』はビヨンセと初めて共作した曲。『ブリーディング・ラブ』は僕の人生を変えた曲。この曲のおかげで車が買えた。レーベルや音楽業界の重鎮たちは、みな声を揃えて『これは売れない』って言った。これはこの20年間、今でも言われていることでもあるんだけど、曲がいいか悪いか、売れるかは彼らではなく、あなたたち聞く人が決めることであって、売れないと言われたこの曲に賭けてくれた勇気ある方のおかげで、僕の人生も変わった。」とコロナ禍で感じた自身の思いを語った。
そして、「ヒットコンサートをお届けするよ!」と語った通り、ビヨンセ「ヘイロー」、レオナ・ルイス「ブリーディング・ラブ」、マルーン5「マップス」、リル・ナズ・X「ザッツ・ホワット・アイ・ウォント」などのヒット曲をセルフカバー。ライブでしか見ることのできない特別な演出は、贅沢のひとことに尽きる。また、観客席からファンの「Love you」というラブコールに対し、ライアンが「Love you too」とクールに返事をするファン思いなシーンもあり、会場は穏やかな雰囲気に包まれつつ、一体感を増していくのであった。
ヒット曲の数々で熱狂的な雰囲気に包まれていくなか、さらに会場を加熱させたのが「アイ・エイント・ウォーリード」である。口笛から始まる独特なイントロが奏でられると、会場からは割れんばかりの歓声が鳴り響く。サビではフロアのいたるところからライアンと共に歌うファンの歌声が聞こえ、ライアンが冒頭のMCで述べた“カラオケナイト”と呼ぶにふさわしいステージとなっていた。
さらに、冒頭のMCで述べた「アポロジャイズ」をピアノの弾き語りで披露。それまでとは打って変わったしっとり雰囲気に会場が酔いしれていく。また、ラストでは<Too late>の部分を4つに分かれたフロアごとで違うメロディーを歌いハモることに。ライアンが提案したメロディーを、フロアごとのオーディエンスが懸命に歌い、壮大なハーモニーを生み出した。会場が一体となりハーモニーを生み出していく様子は、これまで声を出すことのできなかった窮屈な期間を忘れさせてくれるような空間となっていたように思う。
ライブ終盤には、メンバーの紹介をした後、ワンリパブリックの代表曲である「カウンティング・スターズ」を披露し会場のボルテージは最高潮に。スマートフォンのライトで照らされ、星空のようになった観客席は「カウンティング・スターズ」にふさわしい情景を生み出していた。さらに、楽曲の途中ではソロ回しを展開。ザック・フィルキンス(Gt.)のクラシカルなギターソロから始まり、アシュリーの美しいヴァイオリンの旋律が奏でられたのち、ギターとヴァイオリンによる激しいユニゾンがかき鳴らされていく。バンドの息の合った演奏に、会場のいたるところから歓声が沸き起こる。場内が一体となりフロアを揺らす姿は、日常の不満を消し去ってくれるかのような、ポジティブなエネルギーに包み込まれていたように感じた。
「カウンティング・スターズ」が披露されたのち、ライアンが日本語で一言「帰ってきてもいい?」とコメント。会場からは「もちろん!」と言わんばかりの大歓声が響き渡った。そしてラストを「イフ・アイ・ルーズ・マイセルフ」で締めくくり、「ありがとうございます。また近いうちに会いましょう! 日本の皆さん、愛しています!」と言葉を残し公演を終えた。
日本のファンへの愛を感じることのできたヒット曲だらけのステージだった。ワンリパブリックの持つパワフルなエネルギーを体感することができ、音楽を突き詰めてきた彼らだから生み出せた世界観やセンスには、多くの人が元気をもらえたことだろう。生きる活力をもらうことのできた、まさに楽園のようなライブだった。是非また日本でライブをしてほしいと願うばかりである。
Text by Hironari Kagehi
Photo by Kayoko Yamamoto
◎セットリスト
【OneRepublic: Live In Concert】
2023年3月7日(火)東京・東京ガーデンシアター
1. Intro
2. Secrets
3. Good Life
3. Stop And Stare
4. Rescue Me
5. Wherever I Go
6. Love Runs Out
7. Halo
8. Bleeding Love
9. Maps
10. Love Somebody
11. That’s What I Want
12. Sucker
13. Sunshine
14. I Ain’t Worried
15. Apologize
16. I Lived
17. Counting Stars
18. If I Lose Myself
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