<ライブレポート>Klang Ruler、待望の“Odyssey”完全復活による宇宙への再出発

2023年2月27日 / 21:00

 Klang Rulerが、2023年2月20日に【1st One Man Tour “Odyssey”】の振替公演を東京・渋谷WWWで開催した。

 当初、2022年12月8日の愛知・ell.FITS ALLより開催を予定していた東名阪ワンマンツアーは、メンバーの体調不良により協議の結果、名古屋・大阪公演の開催を中止する決断に。2022年12月16日、満を持して開催された東京公演では、メンバー・SimiSho(Dr)の体調不良によりライブ途中でやむなく中断せざるを得なかった。今回、2023年2月20日より待望の振替公演のリベンジが実現した。本稿では、2月20日に開催された東京公演の模様をお届けする。

 “宇宙の旅”をコンセプトに開催された本ツアーは入場時に「BOARDING PASS」が配布され、観客は宇宙客船であるライブ会場に搭乗していく。さまざまな紆余曲折を経て、たくさんの思いが溢れる会場・渋谷WWWには後ろまでびっしりとオーディエンスが待ち侘びていた。定刻、暗転するとスクリーンに宇宙ステーションのようなSFチックな映像が流れ出し、今回のタイトルである【Odyssey】は宇宙旅行へ飛び立つ豪華客船であると説明される。「まもなく音楽の世界へと飛び立ちます。準備はよろしいですか」とAIシステム“HAL”の船内アナウンスを皮切りに、SEに合わせたクラップのなか、yonkey(Vo)、やすだちひろ(Vo)、Gyoshi(Gr)、かとたくみ(Ba)、SimiSho(Dr)の5人が宇宙服のような上下白い衣装で姿を現すと、大きな温かい拍手に包まれた。

 「どうもKlang Rulerです! 最高の夜にしましょう!」とyonkeyが威勢よく投げかけると、すかさず歓声と拍手が沸き起こり、2022年12月にリリースされた「ちょっとまって」でスタート。待望の振替公演ということもあり、ライブ序盤から会場は異様な盛り上がりで、熱気を帯び、すでに最高潮だ。嬉しそうにパフォーマンスするメンバー5人と、フロアでは各々自由に体を揺らしクラップなどで応えるオーディエンスの姿が感慨深い。声出し解禁、箱はパンパンで久しぶりにライブハウス特有の懐かしい匂いにも包まれていた。

 この日のセットリストは「レイドバックヒーロー」「ジェネリックラブ」などアンセム的な曲から最新曲まで緩急あるセットリストで惜しみなく構成される。バンドのテンション感はライブが進むにつれ加速し、前のめりなバンドサウンドとまっすぐ力強い歌唱で、オーディエンスを確実に魅了していった。ライブに合わせた照明やスクリーンのVJなどライブ演出も秀逸で、まるでKlang Rulerがライブで作り出す音楽の世界へ本当に宇宙旅行している気分に引き込まれる。

 曲間MCでは「おかえり!」「待ってたよー!」とたくさんのファンからの温かな声援と拍手に、メンバーはたまらず感極まり嬉しそうに涙ぐむシーンも。「【Odyssey】は宇宙の旅ということで、なかなか簡単なスタートはきれなかったんですけど、12月に一度途中着陸してからの再出発を無事きれたということで本当に嬉しいです! ありがとうございます」「今日は【Odyssey】完全修復したということで、最後まで最高な1日をお届けしたいと思います」とやすだがこの日を迎えられたことへの喜びと感謝を伝えると、会場はさらに大きな声援と拍手に包まれた。

 そこからドリーミーなサウンドと歌詞が特徴的な「ビビデバビビ」など、オーディエンスの体を心地よく揺らすジャンルレスで多彩な楽曲たちが立て続けに投下されていく。MCを経て会場のボルテージはさらにうなぎ登りで、Klang Rulerの織りなすサウンドにオーディエンスは聴き惚れ、クラップや歓声も上がる程の盛り上がりをみせた。「やっぱり声出しあり、めっちゃ楽しいですね!」とやすだがこぼした言葉から、メンバーも渋谷WWWにいる全員がライブを楽しんでいる様子が十二分に伝わってくる。ライブ終盤の「MIDNIGHT SESSION」のコーナーでは、「私たちにとってずっと大切にしてきた、ルーツが詰まった企画なので楽しんでもらいたいなと思って」と紹介を経て、やすだが加入するきっかけとなった「接吻」、パラパラを披露した「渋谷で5時」など、“誰もが聴いたことのある名曲たち”を現代風にカバーし会場を大いに盛り上げた。

 その後、【Odyssey】のクルーが行方不明になっているというストーリーが流れ、「緊急事態」というアラームと共に一気に不穏な雰囲気に。何かから逃げるような映像と共に疾走感のある「Set Me Free」、そして「iCON」へと繋げた。先ほどの安全確認も無事終わったことが伝えられ、「私たちの音楽はいつでもあなたのそばにあります」とAIシステム“HAL”の船内アナウンスを経て、「銀河で燃えろ」「I think about you now」「Be fin.」とラストを駆け抜けた。

 本編が終了するとすかさず会場からはクラップが沸き起こり、アンコールへ。スクリーンには2月24日に新曲「飛行少女」が配信リリースされる告知ムービーと、続けて「【Odyssey】は新たな場所へと向かいます」とAIシステム“HAL”の船内アナウンスで、初となる東名阪対バンツアーの開催を発表。その後メンバー全員が一言ずつ話すシーンでは、SimiShoが「もう一回戻って来れて本当に良かったと思います」と伝えると「SimiShoおかえりー!」と温かい声援が起こった。ラストはアップチューン「ミレニアムキッズショウ」を投下。オーディエンスから「ありがとー!」とたくさんの声援と鳴り止まない拍手が贈られ、大盛況のなか無事に最後まで走りきり幕を閉じた。再出発を果たし、ライブを開催することへの喜びと嬉しさ、楽しさ、Klang Rulerの音楽へ対する姿勢や心意気、たくさんの込み上げる思いが全て詰まった圧巻の空間だった。これから新たに出発する対バンツアーもどんな旅が待っているのか今からとても楽しみだ。

Text by Rumi Miyamoto
Photo by Ryuji Kainuma

◎セットリスト
【Klang Ruler 1st One Man Tour “Odyssey”】
2023年2月20日(月)東京・Shibuya WWW
1. ちょっとまって
2. レイドバックヒーロー
3. The Way You Are
4. ジェネリックラブ
5. ビビデバビビ
6. 曖昧とミーマイン
7. 飛行少女

-MIDNIGHT SESSION-
8. Sparkle
9. 接吻
10. 渋谷で5時
11. タイミング ~Timing~

12. Set Me Free
13. iCON
14. 銀河で燃えろ
15. I think about you now
16. Be fin.

-En
En1. ミレニアムキッズショウ


音楽ニュースMUSIC NEWS

故マック・ミラー、遺作AL『バルーンリズム』が『サークルズ』5周年記念日にリリース決定

洋楽2024年11月22日

 故マック・ミラーの遺族が、2020年にリリースされた最初の遺作アルバム『サークルズ』の5周年を記念して、2枚目の遺作アルバムをリリースする予定だ。『サークルズ』は、2018年に急逝したミラーが生前に制作していたアルバムだった。  米ピッツ … 続きを読む

Eve、TVアニメ『アオのハコ』EDテーマ「ティーンエイジブルー」MV公開

J-POP2024年11月22日

 Eveが、TVアニメ『アオのハコ』エンディングテーマとして書き下ろした「ティーンエイジブルー」のミュージックビデオを公開した。  現在配信中の本楽曲は、11月27日発売のニューアルバム『Under Blue』にも収録される。 ◎映像情報 … 続きを読む

TM NETWORKのツアーに密着、デビュー40周年ドキュメンタリー映画の公開決定

J-POP2024年11月22日

 TM NETWORKのドキュメンタリー映画『TM NETWORK Carry on the Memories -3つの個性と一つの想い-』が、2025年春に劇場公開される。  1984年4月21日に、シングル『金曜日のライオン』でデビュー … 続きを読む

モーニング娘。’24が初登場、「恋愛レボリューション21」を披露<THE FIRST TAKE>

J-POP2024年11月22日

 モーニング娘。’24の一発撮りパフォーマンス映像『モーニング娘。’24 – 恋愛レボリューション21 / THE FIRST TAKE』が、2024年11月22日22時にYouTubeプレミア公開される。  一発撮りのパフォー … 続きを読む

tuki.、「15歳になるまでに作った曲」を集めた1stアルバム『15』リリース決定

J-POP2024年11月22日

 tuki.が、2025年1月8日に1stアルバム『15』を発売する。  同作は、tuki.が15歳を迎えるまでに作ったという楽曲が収録されたアルバム。「晩餐歌」をはじめ、「一輪花」「サクラキミワタシ」「ひゅるりらぱっぱ」といった既発曲のほ … 続きを読む

Willfriends

page top