＜ライブレポート＞Reol　新旧混在、石破天驚の全国ツアー【新式浪漫 Neo Nostalgia】東京公演

　Reolが、1月29日に【Reol Oneman Live 2023　新式浪漫 Neo Nostalgia】を東京・TOKYO DOME CITY HALLにて開催した。

 　「回顧上映」を公演テーマに掲げ、Reolとして最大規模となる今回の全国ツアー。観客にはツアーファイナルまで“ネタバレ厳禁”令が敷かれているため一部を抜粋しての形になるが、本稿ではツアー最大キャパとなる2本目・東京公演の模様をレポートする。

　オープニングムービーを終えて紗幕が開くと、最新シングル収録曲「secret trip」からライブがスタート。原曲では無機質な打ち込みのビートが、ライブでは生のドラムとベースによる演奏で有機的なうねりが生まれ、また違った表情をみせる。いつも想像する“Reol”のそれとは違う、低いキーとつぶやくような歌い方が印象的な曲だが、そのアンニュイな印象とは裏腹に、客席を隅々まで見渡し、時に指を差して微笑む彼女の姿に、会場もどんどん笑顔に包まれていく。

　「drop pop candy」では中川絢音＆根本紳平（水中めがね∞）の男女ダンサーを従え、ビニール傘を手にキュートなダンスを披露。サビでははじけるビートに合わせてReolがジャンプし、それに合わせて飛び跳ねる観客の姿も。エキゾチックなかぶり笠と白いドレスで登場した「水底游歩道」では、ステージいっぱいに広がったスモークがより神秘的なムードを演出する。先の曲では客席を煽るように飛び跳ねていたReolだが、この曲では大きな笠で顔を隠し、終始優雅な動きで観る人を魅了した。

　“JAPAN Heatseekers Songs”チャートにて5連覇を達成、Billboard JAPANにおけるストリーミング累計再生回数で自身初の1億回を突破した代表曲「第六感」の、〈いつか見ていた映画の中みたい〉というまさに公演テーマ「回顧上映」を回収するような歌い出しが聴こえはじめると、客席からは自然に手拍子が湧き上がる。原曲より主張の激しいスラップベースのアタック音がより疾走感を煽り、Reolも〈今最高潮なんでしょ!?〉と歌詞にアレンジを効かせ、さらにフロアを沸かせた。また“れをる”名義時代の作品『極彩色』より、インスト曲「-nil-」から「極彩色」の流れが決まると、Reolはどこからか扇を取り出し、楽曲のエスニックで妖しい雰囲気を盛り立てる。重めのビートに、彼女の真骨頂といえる突き抜ける高音が耳に気持ちいい。

　そして、リズムに合わせて赤と白の眩しい光が瞬く中、ダンサー2人とともにReolがハードなボンデージ衣装に身を包んで姿を見せると、歌い出されたのは最新曲「SCORPION」。ヒップホップとEDMを織り交ぜたようなゴリゴリのトラックに、熱く自分を鼓舞するような歌詞が絶妙にマッチする。曲終わりには歌詞に合わせReolが客席へ銃を放つ演出もあり、観客の度肝を抜いた。その火薬の残り香が会場に漂うなか、トラップビートに彼女のラップスキルが映える「ウテナ」へ続くと、観客もその雰囲気に合わせるように、手を上下に大きく振ってビートに乗ってみせた。

　ラップベースのハードな曲が続いたあとは、Reolもスタンドマイクを手に取り、モータウン風のビートにあわせて軽やかなステップを踏み始める。「お手を拝借！」と手拍子を煽ると、ジャジーなサウンドが豪華な「ROXY」へ。激しく乱高下するメロディを乗りこなしつつ、さらにダンサーとシンクロする激しいダンスを息も切らさず踊り切る彼女のパワフルさには目を見張ってしまう。

　一転し、バラード「秋映」は、原曲より芯の強さを感じるアカペラでスタート。これまでの重いビートとは打って変わって、歌にそっと寄り添うようなソフトな伴奏が彼女の澄んだ声をより引き立てる。終盤には秋の夕日のような深いオレンジの光がReolを照らした。そして、これまでの活動を振り返る熱いMCを挟んだあとは、そのしっとりムードを一気に変える明るいビートが鳴り響き、シンセの音色とコーラスがキュートな「ニュータイプトーキョー」へ。曲中ではコミカルな“胃もたれ解消ダンス”で楽しみ、そこから最後まで駆け抜けるように観客を踊らせ、ステージの幕を下ろした。

　この抜粋だけであっても、今回のツアーがまさに新旧混在、万華鏡のようにころころ変わるReolの様々な顔が観られるライブであることがわかるのではないだろうか。【Reol Oneman Live 2023　新式浪漫 Neo Nostalgia】は、2月5日の宮城・仙台PIT公演から、彼女の故郷でもある3月5日の長野・まつもと市民芸術館公演まで、残り7公演が予定されている。続く公演でも、Reolは観客一人ひとりをまっすぐ見つめ、導くようなその声と音楽で私たちを魅了してくれるはずだ。

Text by Maiko Murata
Photo by Loco Kinoshita

◎公演情報
【Reol Oneman Live 2023　新式浪漫 Neo Nostalgia】
2023年1月29日（日） 東京・TOKYO DOME CITY HALL
2023年2月5日（日） 宮城・仙台PIT
2023年2月11日（土） 神奈川・KT Zepp Yokohama
2023年2月18日（土） 福岡・Zepp Fukuoka
2023年2月23日（木・祝） 広島・広島クラブクアトロ
2023年2月25日（土） 大阪・Zepp Osaka Bayside
2023年2月26日（日） 香川・高松festhalle
2023年3月5日（日） 長野・まつもと市民芸術館
※終了した公演は省略