<ライブレポート>広瀬香美×オーケストラが冬を豪華に奏でたデビュー30周年コンサート、名古屋で千秋楽

2023年1月20日 / 17:00

 12月から全国4都市で行われている【Alpen Group presents Kohmi 30th「ロマンスの神様」 Symphonic Concert】。
 オーケストラとの共演を選び、当サイトに掲載されたインタビューや自身のYouTubeチャンネルで、コンサートへの想い、リハーサルや東京公演の様子を公開してきた公演が千秋楽を迎えた。デビュー30周年の集大成が繰り広げられた愛知県芸術劇場大ホールでの公演のレポートをお届けする。

 まずはじまったオーケストラのチューニング。しばらく耳を澄ましてこれから奏でられるシンフォニックの響きの予感を味わう。チューニングが終了し舞台が照らされると、しなやかな揺れるストールがデザインされたシャンパンゴールドのパンツドレスに、髪にティアラを飾った広瀬香美が現れた。手には指揮棒。会場を背に指揮棒を振ると、やわらかで深い音が広がる。「ロマンスの神様」のインストゥルメンタルバージョンで公演の幕を開けた。月明かりの中、見つめ合う恋人たちを祝福するかのようにしんしんと雪が降り積もるイメージが浮かぶほど、美しくゆったりとしたバラード。なんてロマンチックな響きなのだろう。

 続いての「ストロボ」では、宇宙の果てまで突き抜けていきそうなパワフルな歌声が聴き手の耳を潤す。指揮をしながら歌うという偉業を成し遂げ中の広瀬香美が曲の合間ににっこり笑って振り向き、ようやく会場のみんなにしっかりと顔を見せてくれた。

 「広瀬香美といえば名古屋のみなさんのおかげ。(名古屋に本部がある)アルペンさんのCMのおかげで全国区へと育ててもらいました。5歳でデビューして30周年。まだピチピチでございます!」。オーケストラとコラボというエレガントなシチュエーションだけに、これまでかしこまっていた会場の空気が一気にゆるむ。

 指揮をしながら歌う美技は「Groovy!」「Venus Line」とまだまだ続く。広瀬ならではのジェットコースターのようなスリリングなフレーズを、ビルボードクラシックスオーケストラの奏者が遊ぶように楽しく奏でているように見える。その豊かなサウンドから改めて曲の魅力を感じることも出来た。

 「楽しそうに見えて大変なのよ。長い時間心臓より高く手を上げていると動悸息切れが」。曲間のMCでは息を切らしつつ、指揮をしながら歌うことは想像以上にむずかしいと語る広瀬は、指揮に挑戦して失敗した15年前の東京公演をいまだ引きずっていることを打ち明けた。「今思うと若気の至り。自分で譜面を書いて一生懸命やったけど、最初はテンポ良くはじまったロマンスの神様がだんだんバラードになっちゃった。終わってから楽屋で一生やらないって大泣きしたの。今回は指揮に対する苦手意識を克服したくてコンサートマスターと指揮者に相談しました」。

 この後、自身による歌と指揮にピアノ演奏を加えて「幸せをつかみたい」をはじめとしたメドレーを展開。克服なんてものじゃない。努力を続け進化し、驚かせ楽しませ続ける真のエンターテイナーを魅せてくれた。

 コンサートはさらにディープな世界へ。当たりのマークがついたグッズを購入したお客さんを舞台に招くサプライズ企画では、当たりを引いたお客さんから「この光景を初夢で見た」という驚きのエピソードが飛び出した。また、15年前に2年間休業をした理由を告白した広瀬香美。「手術にリハビリ。声がかすれて元のように出なかったどん底の時期だった。歌の練習用に作ったこの曲はわたしを初心に帰らせてくれる。今日はみなさんのために歌います」と、オーケストラとともにマイクを通さず「GIFT」を歌う。こののびやかな歌声は奇跡なんだと、より一層耳を傾けた。

 昨年は1993年にリリースをした「ロマンスの神様」がTikTokクリエイターのタイガの振り付けをきっかけに世代を超えた国民的ソングへと飛躍し、Billboard JAPAN TikTok Weekly Top 20で2週連続1位を獲得。さらに、関連動画の再生回数が16億回を突破するなどデビュー30周年を時代のトレンドとともに華々しく彩った。コロナ禍ではYouTubeからテレビまで溢れんばかりの笑顔と歌声を贈り続けた姿は記憶に新しい。広瀬香美は音楽の力を信じている。

 終盤は「promise」「ゲレンデがとけるほど恋したい」でさらに会場がヒートアップ。高音を歌うときに右足をぴょこんと跳ね上げる仕草がかわいい。すべてがひとつになったのか、いつの間にか舞台と客席との境目がなくなっていた。大ホールなのに近くにいるようだった。

 「みなさんの熱い想いが伝わってきて歌わされている感じがします、かんばれ香美って。指揮もむずかしいけど歌もむずかしい。31年目は4オクターブ+1を目指して精進していきます!」。最後の曲はツアータイトルにも入っているお待ちかねの「ロマンスの神様」。客席にマイクを向けられ、♪Boy Meets Girl ♪Fall In Love を心の中で思いっきり歌う。

 アンコールはデビュー曲「愛があれば大丈夫」をアカペラで。全身全霊の歌声が響き渡る。広瀬香美からたくさんのエールを受け取った。

Text:早川ひろみ

◎公演情報 ※全公演終演
【Alpen Group presents
Kohmi 30th「ロマンスの神様」 Symphonic Concert】

2022年12月8日(木) 東京・Bunkamura オーチャードホール
2022年12月15日(木)福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール
2022年12月20日(火) 兵庫・兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
2023年1月12日(木)愛知・愛知県芸術劇場 大ホール

出演:広瀬香美
指揮:広瀬香美、松元宏康
管弦楽:パシフィックフィルハーモニア東京(東京)、大阪交響楽団(福岡・兵庫)、ビルボードクラシックスオーケストラ(愛知)

編曲監修:山下康介

◎セットリスト(愛知公演)
1. ロマンスの神様~ballade~
2. ストロボ
3. Groovy!
4. Venus Line
5. (メドレー)
 幸せをつかみたい~
 青い冬ハジマレ~
 愛はバラード~
 ドラマティックに恋して~
 真冬の帰り道
6. 甘いお話 Part3
7. プレミアムワールド
8. ブランケット プリーズ
9. DEAR…again
10. GIFT
11. You’re my hero
12. promise
13. ゲレンデがとけるほど恋したい
14. ロマンスの神様
EN1. 愛があれば大丈夫


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広瀬香美

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東京2014/2/8

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