【米ビルボード・ソング・チャート】マライア・キャリー「恋人たちのクリスマス」通算12週目の首位、ホリデー・ソングがTOP7を独占

2023年1月5日 / 09:30

 マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」が通算12週目の首位を獲得した、今週の米ビルボード・ソング・チャート。

 1994年にリリースされた「恋人たちのクリスマス」は、ストリーミングが集計に加算されるようになった2014年以降、ホリデー・シーズン毎に最高位を更新して、2017年の12月に初めて9位にTOP10入りし、翌18年には3位まで上昇。2019年12月21日付では発売25年目で通算19曲目の首位に輝き、ザ・ビートルズがもつ20曲に次ぐ歴代2番目の記録に浮上した。ホリデー・ソングとしては、1958年12月22日~1959年1月12日付まで4週1位をキープした、デヴィッド・セヴィル&ザ・チップマンクスの「ザ・チップマンク・ソング」以来、史上2曲目の首位獲得で、その「ザ・チップマンク・ソング」がもつ4週を上回るホリデー・ソングの歴代最長記録(通算12週目)を更新している。

 今週の集計期間(12月23日~29日)にはクリスマスイブとクリスマス当日が含まれているが、残りの4日間はイベントが終了しているため、ストリーミングが前週から4%減少の4,690万回、エアプレイが38%減少の2,460万回、セールスも47%減少の6,000にそれぞれ下降した。

 先週18週目の首位をマークしたストリーミング・ソング・チャートでは1位から2位に、4週目に記録を伸ばしたデジタル・ソング・セールス・チャートでも1位から3位にそれぞれダウン。エアプレイ・チャートでも11位から24位に順位を下げたが、総合(Hot 100)では今シーズン4週目、通算12週目の首位を獲得した。

 また、今週で2019年、2020年、2021年、2022年、2023年の5年間で首位を獲得する史上初の快挙を達成し、初めて1位を記録した1990年から2023年まで、首位獲得年を通算19年に更新した。なお、これまで2年以上にわたり首位を獲得したのは「恋人たちのクリスマス」のみで、その他に達成した曲はない。

1990年「ヴィジョン・オブ・ラヴ」、「ラヴ・テイクス・タイム」
1991年「サムデイ」、「アイ・ドント・ウォナ・クライ」、「エモーションズ」
1992年「アイル・ビー・ゼア」
1993年「ドリームラヴァー」
1994年「ヒーロー」
1995年「ファンタジー」、「ワン・スウィート・デイ with ボーイズIIメン」
1996年「オールウェイズ・ビー・マイ・ベイビー」
1997年「ハニー」
1998年「マイ・オール」
1999年「ハートブレイカー feat. ジェイ・Z」
2000年「サンク・ゴッド・アイ・ファウンド・ユー feat. ジョー&98ディグリーズ」
2005年「ウィ・ビロング・トゥゲザー」
2006年「ドント・フォゲット・アバウト・アス」
2008年「タッチ・マイ・ボディ」
2019年「恋人たちのクリスマス」
2020年「恋人たちのクリスマス」
2021年「恋人たちのクリスマス」
2022年「恋人たちのクリスマス」
2023年「恋人たちのクリスマス」

 マライアの他に首位獲得年が10年を上回ったのは、ポール・マッカートニー/ウィングス(1971年、1973~76年、1978年、1980年、1982~84年)、マイケル・ジャクソン(1972年、1979~80年、1983年~84年、1987~88年、1991年~92年、1995年)、マドンナ(1984~87年、1989~92年、1995年、2000年)の3組がいる。なお、ポール・マッカートニーはザ・ビートルズとして7年(1964~70年)、マイケル・ジャクソンはジャクソン5として1年(1970年)を記録しているが、それを含めてもマライアの19年が史上最長となる。

 マライアにとって12週以上首位を獲得したのは「恋人たちのクリスマス」が通算3曲目のタイトルで、3曲以上を記録したのはボーイズIIメンに続く史上2組目、女性アーティストとしては初の快挙。

マライア・キャリー
16週「ワン・スウィート・デイ with ボーイズIIメン」(1995~96年)
14週「ウィ・ビロング・トゥゲザー」(2005年)
12週「恋人たちのクリスマス」(2019~22年)

ボーイズIIメン
13週「エンド・オブ・ザ・ロード」(1992年)
14週「メイク・ラブ・トゥ・ユー」(1994年)
16週「ワン・スウィート・デイ with マライア・キャリー」(1995~96年)

 Hot 100で首位獲得週が12週を超えたのは「恋人たちのクリスマス」が史上22曲目で、1位を獲得した全1,144曲のわずか2%にも満たない。

 「恋人たちのクリスマス」の首位獲得週は以下の通りで、初めて首位を獲得した2019年12月21日付から今週2023年1月7日付までの期間を3年2週間に、歴代最長記録を更に引き伸ばした。また、デビュー曲「ヴィジョン・オブ・ラヴ」が初めて首位を獲得した1990年8月4日付から今週(2023年1月7日付)までの期間を32年5か月に、1位獲得のブランク記録としても史上最長を更新している。

2019年12月21日
2019年12月28日
2020年1月4日
2020年12月19日
2021年1月2日
2021年12月25日
2022年1月1日
2022年1月8日
2022年12月17日
2022年12月24日
2022年12月31日
2023年1月7日

 首位獲得総週も通算91週目に更新し、2位以下と大差をつけてトップを独走している。

91週 マライア・キャリー
60週 リアーナ
59週 ザ・ビートルズ
54週 ドレイク
50週 ボーイズIIメン
47週 アッシャー
43週 ビヨンセ
37週 マイケル・ジャクソン
34週 アデル
34週 エルトン・ジョン
34週 ブルーノ・マーズ

 ホリデー・ソング・チャート“Holiday 100”では2015~16年のシーズン以降42週連続、通算57週目の首位をマークし、同チャートの集計が始まった2011年以降の歴代最高記録をさらに更新した。なお同チャートの総週は62週で、そのうちの57週を「恋人たちのクリスマス」が独占している。

 ブレンダ・リーの「ロッキン・アラウンド・ザ・クリスマス・ツリー」(1958年)も今シーズン4週連続、2019年12月以降4シーズンで通算9週目の2位を獲得した。同曲もエアプレイが29%減少の2,090万回、セールスも58%減少の2,000にそれぞれ下降したが、ストリーミング・チャートでは4,687万回を記録して1位を獲得している。なお、前述の「恋人たちのクリスマス」が4,690万回で2位ということに矛盾が生じるが、ストリーミングの集計方法は定額制の有料サイトや広告付きのものなど、再生されたサービスによって比重が異なるため、順位が入れ替わることがある。

 ボビー・ヘルムズの「ジングル・ベル・ロック」(1957年)は3位をキープし、ワム!の「ラスト・クリスマス」(1984年)は先週の5位から4位に最高位を更新。入れ替わってバール・アイヴスの「ホーリー・ジョリー・クリスマス」(1964年)は4位から5位にダウンした。

 6位はアンディ・ウイリアムスの「イッツ・ザ・モスト・ワンダフル・タイム・オブ・ザ・イヤー」(1963年)が同位をキープして、今シーズン4週目のTOP10入りを果たしている。それにより「ロンリー・ストリート」が初めてTOP10入りした1959年10月12日付からのブランク記録を、歴代最長の63年3か月に更新した。

 先週8位にTOP10復帰したホセ・フェリシアーノの「Feliz Navidad」(1970年)は今週7位に上昇し、TOP7をホリデー・ソングが独占する初のチャート・アクションとなった。同曲は2020年に最高6位を記録している。

 初登場(2022年11月5日付)から6週間首位をマークしたテイラー・スウィフトの「アンチ・ヒーロー」は、先週の9位から8位に上昇し、前週から1%増加の8,030万回を記録してエアプレイ・チャートでは2週目の首位をマークした。次週は上記ホリデー・ソングが一掃されるため、首位に返り咲く可能性も高い。

 続いて今週9位には、先週の11位からナット・キング・コールの「ザ・クリスマス・ソング」(1946年)が上昇し、1962年に2位を記録した「ランブリン・ローズ」、1963年に6位をマークした「暑い夏をぶっとばせ」以来59年6か月1週間ぶりのTOP10入りを果たした。この記録は、昨シーズンにザ・ロネッツが「ビー・マイ・ベイビー」から「そり滑り」で達成した58年2か月を上回る歴代最長記録となる。 

 ナット・キング・コールが最後にTOP10入りしたのは1963年6月29日付で、Hot 100(100位内)には1966年8月から2013年のホリデー・シーズンまで約47年ランクインしなかった。なお、娘のナタリー・コールがバーチャル・デュエットとして発表した「アンフォゲッタブル」は1991年に14位を記録し、翌92年開催の【第34回グラミー賞】では<最優秀レコード賞>を受賞している。

 「ザ・クリスマス・ソング」は1960年12月12日付でチャートインしてから62年26日をかけて今週TOP10入りした。この記録は、2020年の年末にチャック・ベリーの「ラン・ルドルフ・ラン」が打ち出した62年18日を上回る歴代最長記録となる。

 いくつかの記録を達成しTOP10入りを果たしたが、ストリーミングは4%減少の2,740万回、30%減少の1,550万回、セールスも41%減少の1,000にそれぞれ下降している。

 サム・スミス&キム・ペトラスの「アンホーリー」は先週に続き10位をキープした。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは1月6日以降掲載予定となります。

◎【Hot 100】トップ10
1位「恋人たちのクリスマス」マライア・キャリー
2位「ロッキン・アラウンド・ザ・クリスマス・ツリー」ブレンダ・リー
3位「ジングル・ベル・ロック」ボビー・ヘルムズ
4位「ラスト・クリスマス」ワム!
5位「ホーリー・ジョリー・クリスマス」バール・アイヴス
6位「イッツ・ザ・モスト・ワンダフル・タイム・オブ・ザ・イヤー」アンディ・ウイリアムス
7位「Feliz Navidad」ホセ・フェリシアーノ
8位「アンチ・ヒーロー」テイラー・スウィフト
9位「ザ・クリスマス・ソング」ナット・キング・コール
10位「アンホーリー」サム・スミス&キム・ペトラス


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