話題のTVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』、結束バンドのチャートイン記録を振り返る

2022年12月30日 / 18:00

 TVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』が、12月24日に最終回を迎えた。

 芳文社『まんがタイムきららMAX』にて連載中の『ぼっち・ざ・ろっく!』(原作・はまじあき)。ギターを愛する孤独な少女・“ぼっちちゃん”こと後藤ひとりが、結束バンドでドラムをやっている伊地知虹夏に声をかけられたことで、日常がほんの少しずつ変わっていくというストーリーだ。TVアニメが10月8日より放送され、原作では描かれていないアニメオリジナルのシーンや結束バンドの楽曲などが話題を呼び、各話を重ねる毎に盛り上がりを見せてきた。

 ここでは、そんな『ぼっち・ざ・ろっく!』の関連楽曲がビルボートジャパンチャートの記録でどういう功績を残してきたのか、各楽曲のポイント推移を使って考察していく。

■「青春コンプレックス」(作詞:樋口愛 / 作曲:音羽-otoha-)
 まずは10月12日にリリースされたオープニングテーマ「青春コンプレックス」。10月19日公開のチャートでCDセールス20位、ダウンロード25位、ルックアップ56位、Twitter 89位で初登場した。その後、CDセールスとダウンロード、ルックアップが5週連続でトップ100をキープし、11月16日公開の総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で97位をマーク。この頃は、後藤ひとりがライブのチケットノルマを達成するために、ビラを配るというエピソード#06「八景」が放送されたタイミングだ。そこで出会ったベーシストの廣井きくりと路上ライブを行い、後藤ひとりの成長が描かれた。まさにTVアニメと楽曲共にヒットの起点となった。なお、CDセールスは初週1,488枚、以降700~900枚前後の売上をキープしており、11週連続でシングル・セールス・チャート“Top Singles Sales”トップ100をキープ中だ。

■「ひとりぼっち東京」(作詞:樋口愛 / 作曲:永井正道)
 前述した「青春コンプレックス」を表題曲としたCDのカップリング曲。こちらも「青春コンプレックス」と同様にシンガーソングライターの樋口愛(ヒグチアイ)が作詞を担当した。TVアニメで流れない楽曲ではあるが、10月19日公開チャートで登場してから11月16日公開チャートまでじわじわとダウンロードの順位が上がっている。一旦落ち着きを見せたが、再び12月7日公開チャートでダウンロード最高位となる48位を記録している。

■「Distortion!!」(作詞:谷口鮪 / 作曲:谷口鮪)
 続いてKANA-BOONの谷口鮪が作詞作曲したTVアニメのエンディングテーマ「Distortion!!」。10月19日公開のチャートでダウンロード38位で初登場した。エピソード#01~#03まで起用されている楽曲ではあるが、エピソード#04放送以降もダウンロード数が徐々に増えていき、11月9日公開のチャートで最高値をマークしている。

■「カラカラ」(作詞:中嶋イッキュウ / 作曲:中嶋イッキュウ)
 tricotの中嶋イッキュウが作詞作曲した「カラカラ」。歌唱は、結束バンドでベース担当の山田リョウが担当している。エピソード#04~#07までエンディングテーマに起用された。11月2日公開チャートで登場してからダウンロードでトップ100をキープしており、長期的にダウンロードが行われている楽曲だ。

■「ギターと孤独と蒼い惑星」(作詞:ZAQ / 作曲:音羽-otoha-)
 エピソード#05「飛べない魚」にて、結束バンドがライブ出演をかけて行われたオーディションで演奏した楽曲「ギターと孤独と蒼い惑星」。作中では、後藤ひとりの赤裸々な想いが歌詞に込められており、ベース担当の山田リョウが作曲をしている。結束バンドの初オリジナル曲ということもあり、他の楽曲と比べてもポイントが高く、11月16日公開のチャートで総合ソング・チャート59位を記録。また、ダウンロード5位、Twitter 51位と話題性も高かったことが分かった。

■「あのバンド」(作詞:樋口愛 / 作曲:草野華余子)
 エピソード#08「ぼっち・ざ・ろっく」にて、結束バンドが初ライブで披露した楽曲「あのバンド」。エピソード#08放送終了後すぐに配信リリースされ、週末だけの集計で11月30日公開チャートでダウンロード9位を達成。その後12月7日公開チャートでダウンロード4位、総合ソング・チャート64位を記録した。エピソード#08は初ライブ以外にも、メンバーが結束バンドをやる理由、そして「ぼっち・ざ・ろっく」というタイトルの本当の意味などが明かされた。公開されているリリックビデオが300万回以上、本編ライブ映像が450万回以上再生されており、視聴者にとっても印象的な回だったことが伺える。

■「なにが悪い」(作詞:北澤ゆうほ / 作曲:北澤ゆうほ)
 the peggiesの北澤ゆうほが作詞作曲した「なにが悪い」。歌唱は、伊地知虹夏が担当している。エピソード#08~#11までエンディングテーマに起用された。「あのバンド」と同時に配信リリースされたということもあり、11月30日公開チャートでダウンロード12位、12月7日公開チャートでダウンロード9位と、エンディングテーマの中でもいいスタートを切っていた。

■「忘れてやらない」(作詞:ZAQ / 作曲:吉岡大地)
■「星座になれたら」(作詞:樋口愛 / 作曲:内藤英雅)
 最終回のエピソード#12「君に朝が降る」にて、結束バンドが学園祭で初披露した二曲。12月25日にリリースされたばかりの新曲ではあるが、12月28日公開チャートでそれぞれダウンロード19位、ダウンロード16位を獲得している。

■「転がる岩、君に朝が降る」(作詞:後藤正文 / 作曲:後藤正文)
 ASIAN KUNG-FU GENERATIONのカバー楽曲で、エピソード#12のエンディングテーマとして流れた。歌唱は、後藤ひとりが担当している。12月28日公開チャートでは、ダウンロード20位を記録した。結束バンドとASIAN KUNG-FU GENERATIONの繋がりは、TVアニメのあらゆる場面で登場してくる。結束バンドのメンバー4人の苗字が、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのメンバーと同じであったり、各エピソードのタイトルが楽曲から取られているなど、音楽好きには嬉しい要素だ。

 全体的に見てみると、エピソード#08が放送された後の12月7日公開チャートでは、全楽曲のポイントが上昇していることが分かる。そして、エピソード#12の最終回放送後もほとんどの楽曲ポイントが上昇。特に「なにが悪い」の総合ソング・チャートのポイントは前週の約2.6倍に膨れ上がった。また「フラッシュバッカー」「ひみつ基地」「小さな海」「ラブソングが歌えない」などの新曲もダウンロードでトップ100に初登場。TVアニメ放送後、数日置いて動画配信サービスで配信という周期性が、より長く楽曲が聴かれるというサイクルを生み出しているように感じる。それだけでなく、楽曲の編曲を手掛けた三井律郎による弾いてみた動画や、後藤ひとり役の声優・青山吉能による「ギターヒーローへの道」企画、メインキャストたちによる「ぼっち・ざ・とーく!」、フレッシュネスバーガー下北沢店とのコラボ、イソスタ(Instagram)生配信等々、大量のコンテンツもTVアニメと楽曲を盛り上げていた。

 なお、結束バンドの1stアルバム『結束バンド』が12月28日にリリースされた。上述した楽曲が全て収録されており、TVアニメのシーンを思い返しながらじっくり聴いて頂きたい。

Text by Tatsuya Tanami


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