セリーヌ・ディオン、珍しい神経疾患を患っていることを公表

　セリーヌ・ディオンが、深刻な健康上の苦悩についてファンに打ち明け、2023年のすべて公演を2024年に延期、もしくは中止せざるを得なくなるかもしれないと語った。

　現地時間2022年12月8日、SNSに投稿したエモーショナルな動画で彼女はコントロールできない筋肉の痙攣を引き起こす“全身硬直症候群（SPS）”という珍しい神経疾患との闘病を説明した。

　映像のセリーヌは、「みなさんご存知のように、私は何も隠し事をしません。これまではお伝えする準備ができていませんでした」と今にも泣きそうな重苦しい様子で語り始めた。「でも、もう心は決まりました……長い間、健康上の問題を抱えていて、この難題に直面し、これまで経験したことをすべて話すことは本当に難しかったです」と述べた。

　冷静さを失わないように努めたセリーヌは、100万人に1人の割合で発症する“非常に稀な”病気を患っていると最近診断されたと告白した。彼女のチームはこの病気について学んでいる最中だが、SPSが長らく痙攣を引き起こしていることが分かっているようだ。彼女は「残念ながら、この痙攣は私の日常生活のあらゆる面に影響を及ぼしています。歩行やこれまで歌っていたように声帯を使うことに支障をきたしています」と説明し、「悪戦苦闘していることを認めざるを得ません。私が知っているのは歌うことだけで、それが私の人生でずっとやってきたことなのです」と続けた。

　この結果、来年2月に予定していたヨーロッパでのツアーを再始動することができなくなった。セリーヌは、2023年の春に予定していた全公演の日程を2024年に延期し、来年の夏に予定していた8公演が中止となったと発表した。2023年2月24日から4月11日に予定されていた公演は、2024年3月6日から4月22日に振り替えられ、2023年5月31日から7月17日に予定されていた夏の公演はキャンセルとなった。来年8月26日から10月4日までの公演は今のところスケジュール通りとなっている。

　米国立神経疾患・脳卒中研究所によると、SPSは自己免疫疾患の特徴を持つ稀な神経疾患だそうだ。「体幹や股の筋硬直が上下し、騒音、接触、精神的苦痛などの刺激に対して過敏になり筋肉の痙攣を引き起こし、前かがみやこわばった異常な姿勢が特徴的」だと言う。SPSを患う人は、歩いたり動いたりすることができないほどの障害を持ち、「クラクションの音など街中の雑音が痙攣や転倒の引き金となるため、外出を怖がる」こともある。同研究所によると、女性が疾患する可能性は男性の2倍で、その原因は解明されていない。

　現在の治療法は、抗けいれん剤とバリウムの投与、硬直を緩和し、接触、騒音、ストレスに対する過敏性の低下を目的とした点滴治療となっている。治療によって症状を改善することはできるが、完治する方法は未だ見つかっていない。患者は、標準的な防御反射がないため、頻繁に転倒することがある。

　「私が良くなるように、素晴らしい医師のチームが側についてくれています」と語り、そして“大切な子供たち”も支えになり、希望を与えてくれていると付け加えた。「スポーツ医学のセラピストと一緒に体力を回復し、再びパフォーマンスできるように毎日頑張っています。しかし、正直に言って、それは大変なことです。私が知っているのは、歌うことだけです。それが私の人生でずっとやってきたことであり、最も好きなことです」と述べた。

　落ち着きを取り戻した彼女は、ファンにとても会いたいこと、そしてファンのためにパフォーマンスすることが恋しいと伝えた。「私は100％の力でショーを行います。ですが、今の状態ではそれができません」と話すと、回復する方向に進んでいるという希望を持ち、良くなることに集中することに時間を費やしていると語った。そして「みなさんに本当にすぐ会えることを願っています」という言葉で動画を締めくくった。
　
　今年4月、セリーヌは当時原因不明の深刻で継続的な筋肉の痙攣を理由に【カレッジ・ワールド・ツアー】の延期を余儀なくされた。その際、もともと今年5月にキックオフし9月下旬まで続く予定だったヨーロッパ公演を2023年2月から10月4日までの期間に延期した。そして痙攣を患っていると公表した後、2021年10月に米ラスベガスでの常設公演をキャンセルしている。