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手越祐也が駆け抜けてきた2022年、本人の言葉を借りると「一番歌い続けた年」となった1年が終わりに近づくなか、Zepp Haneda(東京)にて2夜連続で“手越祐也のいま”を象徴するライブが開催された。11月30日の「手越祐也LIVE TOUR 2022 『Music Connect』」ファイナル公演と12月1日の「YUYA TEGOSHI 20th Anniversary Secret Live」である。
2022年の頭から全国をまわったツアー「LIVE TOUR 2022『NEW FRONTIER』」がソロデビューからの序章を総括していたとすると、10月12日のKT Zepp Yokohama(神奈川)から始まり北海道、宮城、愛知、福岡、大阪を経てファイナル公演を迎えた「手越祐也LIVE TOUR 2022 『Music Connect』」は、加速する音楽活動によって急激に充実していくヴォーカリスト・手越祐也をオーディエンスに改めて刻みつける場となった。
10月5日にリリースされたミニアルバムのタイトルを冠したライブは「Music Connect」の名のとおり、これまで手越が音楽を通じてつながってきたアーティストたちの手書きメッセージから始まった。キュウソネコカミのヤマサキセイヤは「パワースポットみたいなやつ」と評し、ナオト・インティライミは「音楽界のエースストライカーになれ!」とエールを送る。それぞれが描く愛に溢れた“手越祐也像”が会場をあたたかく包み込んだ。
11月16日の福岡公演から“制限つき”ではあるものの客席での声出しが解禁され、ライブのたびに「みんなの声を早く聞きたい」と語っていた手越の願いがかなったことも大きい。オープニング曲「OVER YOU」は「HONEYYY singin’ PROJECT!」と題して、事前に全国のHONEYYY(=手越祐也のファン)からコーラスパートを募集し、コロナ禍で声が出せないライブ会場で流すというスペシャル企画が発足していた。この日もコーラス音源が流れていたのだが、曲の終盤に投げかけられた手越の「最後は一緒に歌おうぜ!」の一声で、会場は一体となってコーラスを奏でることに。その美しくも力強い歌声は、これまで発声を我慢していたHONEYYYたちの思いを乗せてステージへと届いたのだろう、幸せそうに会場を見渡す手越の笑顔が印象的だった。
続く「CLOSE CALL」では大人っぽい表情を、「Hello!」ではポップでキュートなさまを、「七色エール」ではヴォーカルをより印象的に聞かせるアレンジを加えながら、歌声もまとう空気も自在に変えていく。英語歌詞の「HOTEL」を軽やかに歌い、デビューシングル「シナモン」はいつもよりも中性的な歌声でしっとりと、「Happy Birthday」はみんなと一緒にペンライトを振りながら楽しそうに歌う手越からは、ツアーで各地をまわったことで満ちた自信や確信による余裕が感じ取れる。
リラックスした空気のなか、バンマスのSinとふたりだけで奏でる「ONE LIFE」も圧巻だ。約1年前にリリースされた「ONE LIFE」はいまの手越祐也を象徴する曲でもあり、ステージ上で何度も歌われてきた曲だ。それをこうしていま、ピアノとヴォーカルのみのスローテンポで丁寧に歌い上げるという選択をした彼の思いは、きっとオーディエンスに伝わっていただろう。
「HONEYYY」、「サイダー」とじっくり聞かせるアレンジが続いたライブ終盤、衣装を替えて登場したのはとびきりセクシーで男っぽい手越祐也だ。「Venus Symphony」での長い溜めや「MAZE WORLD」のザラついた声、「Come Back To Me」の軽やかなステップ、「LOVE SENSATION」のシャウトで会場のボルテージを一気に上げたのち、アンコールでは「ウインク」でクルクルと表情を変え、「プロポーズ」で長尺のアカペラを披露。「Ready Steady」で再びHONEYYYたちと一緒に歌を奏でた手越は「めちゃくちゃ幸せでした!」とツアーを振り返り、名残惜しそうにステージを去っていった。
続く12月1日。デビューした日からちょうど20年を迎えた手越祐也による「YUYA TEGOSHI 20th Anniversary Secret Live」は、2階席後方の立ち見エリアまでギッシリのライブ会場に訪れた人とリアルタイムでVR視聴した人のみが目撃することができる一夜かぎりの特別な体験となった。
20年を振り返るVTRがスクリーンに映し出されると、会場に歓声が伝播する。この日訪れた人それぞれに“手越祐也との出会い”があるのだろう。古い・新しいは関係なく、それぞれが大切な思い出を抱えてこの場に居るということが伝わってくる瞬間だった。
20周年を祝うセットリストはソロデビュー以降の楽曲はもちろんのこと、それ以前のソロ楽曲も多く採用されていた。「いまのソロ活動はそれ以前の18年間がなかったら決して見ることができなかった景色。しっかりとリスペクトしつつ、今日は心を込めて歌っていきたい」と語った手越は「Encore」、「ごみ箱」、「Stars」、「プラトニック」などグループ時代の曲を情感を込めて歌い、その思いがけないサプライズに感涙するファンの姿も多く見られた。
MCでは、これまでグループの一員として歌ってきた彼が、ソロデビューしすべてを一人で歌うことになったときに痛感した体力不足や、歌唱のクオリティを持続させることの難しさを吐露する一幕も。幾多のライブを経てそれらを乗り越えたいま、「歌が楽しくて仕方ない。歌っているのが幸せ」と語った手越は「35歳の手越祐也はハンパないので、よろしくお願いします」と破顔した。
ライブ終盤からアンコールにかけても、ソロデビュー前と後の楽曲を織り交ぜ会場を魅了していく。ラスト曲には「なにがあってもついてきてくれるHONEYYY」たちと奏でる「OVER YOU」を選び、客席に向かって「もっと聞かせて」とコーラスパートを何度も促した。ずっと焦がれていたHONEYYYたちの声が届いたことも理由のひとつなのだろう、ステージと客席をつなぐ歌声を笑顔で聞きながらコーラスを重ねる手越祐也の目には、わずかに涙が浮かんでいた。
text by とみたまい
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