<ライブレポート>テイク6、世代を越えて聴く者の胸を打つ極上カバーの連続

2019年8月9日 / 15:00

 重厚にして美しいハーモニーとショウマンシップに溢れたステージングで、88年のデビュー以降に最高峰のヴォーカル・グループとして不動の支持を集めてきたテイク6。昨年にリリースされた最新作『Iconic』ではエリック・クラプトン、クリストファー・クロスから、ノラ・ジョーンズやジャスティン・ティンバーレイクにまで至る新旧の様々な名曲を取り上げ、最近では彼らを敬愛する天才ジェイコブ・コリアーとの共演も話題を集めた。アカペラ・グループの新次元を切り開き、デビューから30年以上のキャリアを重ねてなおフレッシュさを失わない彼らのステージは、キラー曲満載な最新作からのナンバーを随所に散りばめながら、ジャズ、ソウル、ヒップホップ、ドゥーワップなどの多彩な要素を自在に繰り出すエンターテイナーとしての魅力を痛快に全面発揮したものとなった。

 マイクを持ちながら登場した6人のメンバーがステージ上に一線に並び、冒頭から客席のハンドクラップも誘いながらアカペラでグルーヴィーに歌われたのは、最新作にも収録された77年に大所帯バンドのL.T.D.がヒットさせたディスコ・クラシック「Back In Love Again」。続いて、ややジャジーに転じながら、中期ビートルズの名曲にしてアース・ウィンド・アンド・ファイアーの好カバーでも親しまれる「Got To Get You Into My Life」を彼ら独自のアレンジで響かせた。序盤から『Iconic』で示した新境地で楽しませると、速いテンポのスリリングな4ビート調からヒューマンビートボックスを効かせたヒップホップ的なビートに転じる「I’ve Got Life/Spread Love」のメドレーなどで盛り上げたところで、「たぶん聴いたことのある曲だと思うけど」と前置きしてクリストファー・クロスの「Sailing」を。テイク6ならではといえる豊かなハーモニーを駆使し、伴奏までもすべて声で表現しながらAOR屈指の名曲をメロウに聴かせると、続いても原曲のコード進行の巧みさをカラフルに増幅させたようなマーク・キブルのアレンジが絶品な「Change The World」、6人のうちの4人がアコースティック・ギターとキーボードを演奏しながらの心地よい伴奏を伴ってのスティービー・ワンダー「Overjoyed」と、世代を越えて聴く者の胸を打つ極上カバーの連続で集まった観客を魅了した。

 さらに、彼らの先輩格で初期から親交が深かった故アル・ジャロウのナンバーも幽玄なブラジリアン・テイストでしっとりと聴かせると、「ここからはお楽しみの時間だ」とベース・ボーカル担当のアルヴィン・チーアがMCを挟み、ダンスのムーブをレクチャーしたところでおなじみの「Stand By Me」を。続いてもアカペラらしいドゥーワップ的な曲展開の「Fly Away」でボーカル・グループとしての王道を示すと、スウィンギーな高速4ビートで疾走する90年発表のアルバム・タイトル曲「So Much 2 Say」へと流れ込み、6人のメンバーそれぞれがジャズ・セクステットの各楽器を模した超絶スキルの応酬によるヴォカリーズ合戦から、マイケル・ジャクソンの物真似バトル、スクラッチも絡むツイン・ヒューマン・ビートボックス、さらにはビージーズの某名曲までも飛び出す変幻自在な声のマジックで圧倒。本編ラストは、再び17年に亡くなったアル・ジャロウへの敬愛を表現するように最新作にも収録された「Roof Garden」をメロウに響かせ、バラエティに富んだステージを締めた。

 テイク6の多様性を改めて明快に示した最新アルバム『Iconic』を完成させ、デビューから30年以上を経て再び新たな好調期に突入したような勢いすら感じさせる今回のツアー。10日(土)から12日(祝)の真夏の3連休にビルボードライブ東京で行われるステージで、ヴォーカル・グループの頂点に君臨し続ける彼らのあらゆるジャンルを包括した”声のエンタテイメント”を堪能してほしい。

◎公演情報
【テイク6】
2019年8月8日(木)※終了
ビルボードライブ大阪

2019年8月10日(土)~12日(月・祝)
ビルボードライブ東京
1st ステージ 開場15:30 開演16:30
2nd ステージ 開場18:30 開演19:30

詳細:http://www.billboard-live.com/


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