エンターテインメント・ウェブマガジン
ショーン・メンデス通算3作目のスタジオ・アルバムは、自身の名前をタイトルに冠したことからも、「自信作」であることが伺える。
前2作も素晴らしかった。2015年リリースのデビュー・アルバム『ハンドリトゥン』は、とても(当時)16歳とは思えない落ち着きが表現された傑作で、3rdシングル「スティッチズ」が全米4位、全英チャートでは初のNo.1を獲得。翌2016年にリリースした2ndアルバム『イルミネイト』も密度の濃い内容で、本作からは「トリート・ユー・ベター」(全米6位/全英6位)と「ホールディン・ミー・バック」(全米6位/全英4位)の2曲がTOP10入りし、アルバムは各国でプラチナ認定される大ヒットを記録した。
本作からも、「トリ―ト・ユー・ベター」を手掛けたスコット・ハリスとテディ・ガイガーが制作した1stシングル「イン・マイ・ブラッド」が、UKやカナダなどでTOP10入りし、高い評価を得ている。アコースティック・ギターのイントロから壮大なサビに繋げる、ショーンらしいナンバーで、突き抜けるような高音と、甘く語り口調のような低音の高低差あるボーカルが、曲のもち味をうまく引き出した。
「イン・マイ・ブラッド」と同時にリリースされた「ロスト・イン・ジャパン」は、ファレル・ウィリアムス~ジャスティン・ティンバーレイク直結のファンク・ポップ。本来は声の“張り”を売りにできるタイプだが、この曲では良い意味で終始力の抜けたボーカルを聴かせる。プロデュースは、カミラ・カベロの「ハヴァナ」やカイゴ&セレーナ・ゴメスの「イット・エイント・ミー」を大ヒットさせたルイス・ベル。タイトルからもお分かりの通り、日本について歌われた、遠距離恋愛がテーマのラブ・ソングだ。この曲のノリに近いのが、ワンリパブリックのライアン・テダーが制作した「パティキュラー・テイスト」。ループするフックではラップみたいな歌い回しも飛び出し、ショーンの新たな一面が垣間見える。
ロードやカリードのデビュー・アルバムを担当した、ニュージーランドのソングライター=ジョエル・リトルがプロデュースした3rdシングル「ユース」も、独創的で良い曲。そのカリードがデュエット・パートナーを務めているだけはあり、オルタナティヴR&Bとアコースティック・ポップが見事にブレンドされた、ネオ・ソウル風のナンバーに仕上がっている。本作収録の「ホエア・ワー・ユー・イン・ザ・モーニング?」も、ファルセットの歌い方と横ノリのオーガニック・サウンドが、ネオ・ソウルっぽい。
ジャスティン・ビーバーの「ソーリー」(2015年)のソングライターとして注目され、昨年リリースしたソロ・デビュー曲「イシューズ」も大ヒットさせた女性シンガー・ソングライターのジュリア・マイケルズは、2曲を提供。アルバムのリリース直前に配信された「ナーヴァス」は、ショーンがインタビューでも答えているように、故プリンスを彷彿させるファンク・チューン。ジュリア自身がフィーチャリング・アーティストとして参加した「ライク・トゥ・ビー・ユー」は、大自然が目に浮かぶようなカントリー&ウェスタンで、どちらもこれまでのジュリアっぽくない、ショーンに寄せていった感じの傑作だ。
エド・シーランとジョニー・マクデイドが共作した「フォーリン・オール・イン・ユー」は、まさに“エド節”炸裂のノスタルジックでブルージーな、温もりあるミディアム・ソング。「ビコーズ・アイ・ハド・ユー 」も同調の心に響く良い曲だ。その他にも、言葉ひとつひとつを丁寧に歌う、繊細なバラード曲「ホワイ 」や、ピアノとアコースティック・ギターで仕上げたマイナー調のメロウ「パーフェクトリー・ロング」など、ミディアム~メロウが充実している。声を張り上げていないのに、もの凄い説得力があるショーンのボーカル・ワークも見事。
イアン・カークパトリック(ジャスティン・ビーバー、ブリトニー・スピアーズなど)が制作した「ミューチュアル」や、ライブで披露したら会場から手拍子が湧き上がりそうな「クイーン」など、初期の作品に近いポップ・チューンも間に挟みながら、アルバムは米ブルックリン出身の女性シンガー・ソングライター=エイミー・アレンが手掛けた、ラストを飾るに相応しい「ホエン・ユア・レディ」で幕を閉じる。
前2作と違うのは、アンビエント的要素が含まれていること。リスナーを無視したというワケではなく、「ヒットさせなきゃ」という圧みたいなものが感じない、という意味で。
Text: 本家 一成
◎リリース情報
アルバム『ショーン・メンデス』
デジタル配信、輸入盤:2018/5/25 RELEASE
日本盤CD:2018/5/30 RELEASE
<初回生産限定スペシャル・プライス盤>
UICL-9116 2,200円(plus tax)
J-POP2024年4月28日
AA=が、5月23日にリリースとなる配信シングル『FIGHT & PRIDE』のジャケット写真を公開した。 バンテージが巻かれた手の写真は、旧来より上田剛士と親交のある格闘家の五味隆典がフィーチャーされている。さらにVICT … 続きを読む
J-POP2024年4月28日
ロクデナシが、ニューシングル『ユリイカ』の収録曲の詳細を発表した。 同作にはオリジナルTVアニメ『終末トレインどこへいく?』のエンディング主題歌「ユリイカ」に加えて、シングルダブルリードトラックとしてボカロP・Guianoをコンポー … 続きを読む
J-POP2024年4月28日
Perfumeが、2023年末に神奈川県のぴあアリーナMMにて開催した【Perfume Countdown Live 2023→2024 “COD3 OF P3RFUM3” ZOZ5】映像作品本編のスペシャルティザー映像を公開した。 … 続きを読む
J-POP2024年4月28日
AZKiが4月30日に「いのち(2024 ver.)」を配信リリース、同日20時30分からミュージックビデオをプレミア公開することが決定した。 AZKiは先日『100万人を目指して100曲を歌う』生配信を実施。記念すべき100万人突 … 続きを読む
J-POP2024年4月28日
すとぷりが、新曲「リテラシー」のミュージックビデオを公開した。 新曲「リテラシー」は志倉千代丸が作詞・作曲を手掛けた、現代社会を生き抜く等身大の自分を歌った1曲。シリアスで重い雰囲気の曲調で社会を生きることの葛藤を綴りながら、自己と … 続きを読む