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ポップ、ジャズ、ファンク、あらゆる音楽の障壁をぶち壊した天才プリンス。2002年以降ずっと来日してくれなかったが、2016年4月21日にこの世を去ったことで、もう永遠に日本の地を踏むことはなくなってしまった。しかし今も尚悲しみに暮れるファンには大朗報がある。プリンスのバック・バンド、ザ・ニュー・パワー・ジェネレーションの来日だ。
実は2017年3月にザ・ニュー・パワー・ジェネレーションはビルボードライブ東京、大阪で演奏しているのだが、今回のメンバーはその時とはガラリと変わっている。90年代プリンスと共に音楽シーンを駆け抜けた盟友から、晩年に才覚が認められた若きプレイヤーまで、多岐に渡った構成ながら、皆プリンスのファンなら歓喜の声を上げる珠玉のメンバーばかり。その中でもプリンスが最も信頼を置いていたミスター・ヘイズがプリンスのサウンドを具現化する総監督としていることには注目である。
2018年3月22日、ビルボードライブ東京。観客のライブへの期待は頂点に達していたが、彼らの演奏はその期待に十二分に応えるものとなった。まずプリンスの代わりとなるメイン・ボーカリスト、キップ・ブラックシャイヤーがとてもプリンス的な喉を披露していること。さながらプリンスがそこで歌ってくれているようで、女房役となるテイマー・デイビスとも息がピッタリだ。往年のヒット曲の連続に皆大興奮となったが、プリンスの何たるかを知っている面子揃い、その当時の、その時だけのアレンジで披露してくれたりして、通なプリンス・ファンも唸らせる。そしてラッパー、トニーMがいることで、バンドのデビュー当時の看板メニュー、90年代前期のプリンス流ヒップホップのナンバーが堪能できたことも嬉しい。
プリンスがライブで観客にお題目のように唱えていた、リアル・ミュージック・バイ・リアル・ミュージシャンという言葉。その音楽性が今の彼らに完全に引き継がれていることは今回のライブを観れば一目瞭然。プリンスの一挙手一投足を常に見ていたニュー・パワー・ソルジャー達が、彼ら自身によってリアルな音楽を提供すべく動き出した。
彼らには23日東京二日目のステージがまだある。プリンス・ミュージックの進化継承を目の当たりにする機会を是非お見逃しなく。
◎公演情報
【ザ・ニュー・パワー・ジェネレーション
“celebrating PRINCE” with the NPG】
2018年3月20日(火)<終了>
ビルボードライブ大阪
2018年3月22日(木)- 23日(金)
ビルボードライブ東京
Photo: Masanori Naruse
Text: 長谷川友(プリンス研究家/ライター)
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