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デビュー30周年のアニバーサリーに突入したSING LIKE TALKINGが、40枚目のシングルをリリース! ドラマ『ブラックリベンジ』の主題歌で、サラ・オレインとの初コラボである注目のタイトル曲「闇に咲く花 ~The Catastrophe~」を中心に、佐藤竹善(Vo&Gu&Key)に話を訊いた。
──「闇に咲く花 〜The Catastrophe〜」はドラマにめちゃくちゃ合いそうな、雰囲気のある楽曲ですね。
「ありがとうございます。かなり壮絶なドラマだし、それとのリンクを目指しました。クラシックとしっかり向き合う創作は初めてだったので、まずモチーフとなったバッハの研究を始めて。何度も聴いてバッハの空気を自分の中に落とし込んで、そこから沸いてくるメロディーを追いかけていく感じでした。」
──バッハを引用した理由というのは?
「ドラマ側からのリクエストです。デュエットであることと、バッハの「ロ短調ミサ」のテイストが欲しいってことで。あとは、締め付けられる感じが欲しいとか。多少の手直しもありながらも、改めてバッハがいろんな音楽のルーツだっていうのが分かって楽しかったですね。作曲的にはサビの後半、5小節目以降にもうワンフック入れました。一番目立つ音のところに不協和音的な和音を付けた上で、ほのかに明るく抜けていくようにしたら、結果的にイメージ通りの曲になりました。」
──これをポップスとしてまとめるのはすごいと思いました。
「でも、ヒップホップとバッハの「カノン」を合わせたアプローチなんかも、10年以上も前に出てますからね(笑)。古いブルーノート楽曲のサンプリングもののクラブミュージックとか、ケンドリック・ラマーがフリージャズに乗せてラップするのとかも見てきたし。今の時代にこういう要求があるのは、さほど特殊ではないんじゃないかな。」
──それにしても、クラシックの要素がふんだんに入ってますよね。
「イントロでの引用に加えて、僕の歌が始まってから3小節…つまり、サビでも「ロ短調ミサ」冒頭、あえて「主よ、憐れみたまえ」の和音の流れをそのまま使ってるんです。」
──サラ・オレインさんとのコラボはいかがでしたか?
「“いつか共演とかしたいですね”なんて話してたら、すぐにドラマの話が来てびっくりでした(笑)。しかも、バッハだし! いろんな偶然が上手く重なったかな。すごくいいキャッチボールができましたよ。自分のイメージを伝えて、歌ってほしいことを試しながら、“こういう歌い方もありますけど、どうですか?”みたいな提案をサラちゃんがしてくれたりもして。バッハが土台になってるので、彼女のクラシックシンガーとしての魅力も活かしたいなと考えてましたね。例えばBメロに細かい譜割りがあまりないようにして、彼女のトーンの伸びを活かしたり。出だしこそ僕が歌ってるけど、次のサビからは同じメロディーのオクターブ上をサラちゃんメインで歌ってて、僕はハモリなんです。とは言いつつも狙いは、いわゆる主従の関係ではなく、両方のメロディーが対等にあって、どっちを主旋律と取るかは聴く人次第っていう。ここもクラシック的な発想かなと思います。」
──確かに、独特のハモリです。
「サラちゃんの高い声って僕は出ないじゃないですか。だけど、今は便利なので、僕がオクターブ下で歌ったものをコンピュータでひとつ上げられて、あのキーで歌ったように試し聴きできるんですよ。このデュエットのニュアンスを家でひとりで作れるから、昔みたいに“歌ってもらうまで分からない”ではなくて、前段階でイメージしやすい。複雑なハモリの曲を自分で上手く組み立てていけたのは、テクノロジーに感謝ですね。歌録りがスムーズに進みました。」
──最後のサビで竹善さんのヴォーカルが前に出てくる感じが、また美しくて。
「たぶんね、そう聴こえるってことなんですよ。サラちゃんが別の応用的なメロディーでどんどん高いほうへ行って…それこそクラシックのクライマックスっぽいイメージで歌ってるから、同じメロディーを繰り返してる僕が前に出たように感じる。」
──サラさんのヴァイオリンも素敵です。
「よりクラシックのムードを出したくてね。僕が作ったヴァイオリンのメロディーもすぐに雰囲気を掴んでくれたし、シンガーとしての存在感と同じく、彼女はヴァイオリニストとしても素晴らしい! それを活かすために、西村には間奏でバッキングに回ってもらいました。ただ、後ろで実はあいつがバロック音階でギターアンサンブルを組み立ててるんです。ヘッドフォンで聴くとよく分かりますよ。これもクラシック的で、ソロの後ろでヴィオラとかがどんな演奏をしてるのか、みたいな概念。西村はクラシックがルーツにあるので、“バロックのブライアン・メイをやってくれ”とお願いして(笑)。」
──仕掛けがいっぱいですね!
「それでいて、基本的なサウンドはエレクトロにしたかったんです。近頃はトロピカルハウスの要素を入れつつ、古い音楽と融合させるのだったり、今の時代との架け橋になる最新のアレンジは常に意識してますね。Aメロで鳴ってる“コンコン”ってシンセとか、“ザーン”って音のパッドとかってトレンドなんだけど、ルーツは80’sにあったりするので。SING LIKE TALKINGはリアルタイムで80’sを知ってる分、若い世代とは違う感覚で鳴らせるかもしれない。100パーセント旬の音にしちゃうと後々で懐メロにしか聴こえなくなるのも、時代時代で見てきたんで。スティーヴィー・ワンダーやスティーリー・ダン、ポール・サイモンといった方々から、大切なものを学んだと思ってます。」
──カップリング曲の「Howl」、「闇に咲く花 〜The Catastrophe〜」のリミックス2曲についても聞かせてください。
「「Howl」はハードでブルージーな陰影があるギターインストで、これもドラマのエグいシーンに合うかも(笑)。リミックスはMichael Kanekoさんには“元の和音進行やメロディーの印象をなるべくそのままにしてほしい”とお願いして、逆にKan Sanoくんには“全部自由にやってください”と伝えました。どちらも素敵な仕上がりです。」
取材:田山雄士
シングル「闇に咲く花~The Catastrophe~」
2017年10月25日発売
UNIVERSAL J
UPCH-5927
¥1,296(税込)
ライヴ情報
『佐藤竹善 with The Jazz Creatures
Your Christmas Night 2017』
12/07(木) 新潟・新潟市音楽文化会館
12/08(金) 石川・北國新聞 赤羽ホール
12/16(土) 愛知・名古屋ブルーノート ※2公演
12/17(日) 山口・Jazz Club BILLIE
『SING LIKE TALKING LIVE TOUR 2018』
1/20(土) 東京・豊洲PIT
1/27(土) 大阪・Zepp Namba
2/12(月) 愛知・Zepp Nagoya
2/24(土) 宮城・仙台PIT
3/25(日) 東京・TOKYO DOME CITY HALL
SING LIKE TALKING
シングライクトーキング:1988年にシングル「Dancin’ With Your Lies」でデビュー。ロックやソウル、ファンク、AORのエッセンスが漂うポップスが魅力で、メンバーはソロ活動も行なっている。2015年より、デビュー30周年に向けた“カウントアップ・スペシャルライヴ”企画を実施中。
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