ソウルで暮らす脱北者の青年を描いた話題作　脱北者が飢餓時代の北朝鮮について語る

　特別試写会後のトークイベントに出席したパク・ジョンボム監督（左）と北朝鮮難民救援基金の加藤博代表　(c)KYODONEWS

　映画「ムサン日記～白い犬」の公開に先駆けて、「脱北者の現実を知る」特別試写会が28日、東京都内で行われ、パク・ジョンボム監督、北朝鮮難民救援基金の加藤博代表、日本在住の脱北者の女性が登壇した。

　本作は、北朝鮮ムサンから脱北しソウルで暮らす青年の孤独と焦燥を描き、2011年ロッテルダム国際映画祭グランプリ＆国際映画批評家連盟賞をはじめとする、数多くの賞を受賞した話題作。メガホンを取ったパク監督は、「映画を作ったきっかけは、大学の後輩に脱北者がいたこと。のちに私が映画監督になり、ぜひ彼をモデルに撮りたいと思った」とコメントした。

　加藤さんは映画を見て「脱北に成功して韓国に定住する人の悩みがよく描かれている。北と南の価値観が全然違うから、脱北者にとって韓国は決して楽園ではない」と話した。

　また、脱北者の女性は、「私は70歳になったが、北朝鮮で飢餓に苦しんだ時代に、おびただしい数の死体を見てきた、それはまさに地獄絵図だった。それからずっと、命を懸けても北朝鮮で起こっていることを世界に伝えないといけないと思った」と当時の様子を語った。

　映画は、5月中旬からシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー。