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スペイン、アンダルシア地方、グラナダ県のサクロモンテ地区。そこはマリオ・マジャ、エンリケ・モレンテ、エバ・ジェルバブエナなど世界的なアーティストを産んだ、フラメンコの聖地だ。
本作は1963年のサクロモンテの水害により、住む場所を追われたヒターノたちのフラメンコ・コミュニティに深く入り込んだドキュメンタリー。代々受け継がれてきた生活と大地に根ざす踊りと歌、そして隆盛を極めた時代の記憶を持つ人々の言葉と表情を通して、その記憶を遺そうとするものだ。
2月18日の日本での映画公開に合わせ、監督のチュス・グティエレス氏が来日。本作に込めた思いや見所を語ってくれた。
インタビュー前編
http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/47684
―ところで、監督はフラメンコを踊ったりされるのでしょうか?
グティエレス監督:ええ、そうですね、ちょっとだけ(笑)。
―何の踊りが一番好きですか? セビジャーナスとか・・・
グティエレス監督:そう、セビジャーナスは一番簡単ですからね(笑)。ルンバも好きです。この映画のなかの、年配の方々のような踊りになっちゃいますけど、ちゃんとマルカールできますよ!(フラメンコのリズム感をもってパソを踏むこと)でも、実は、撮影しながら、彼らから沢山のことを学びました。
ー監督の発表されている作品群からは、二つの文化の衝突や共存というテーマが感じられるのですが、『サクロモンテの丘』の撮影においても、そのようなことは意識されたのでしょうか。
グティエレス監督:そうですね。私はグラナダ生まれですけれども、8歳でマドリードの大都市に移り、18歳でロンドン、21歳でニューヨーク、27歳の時にはアフリカ北部のモロッコにも数ヶ月など、いろいろな所に住んできました。8歳でグラナダを出てから、自分がまるで移民であるような感覚がいつもあるんです。ですから私の中には「文化の衝突や共存」というテーマが常にあって、映画を撮ってきているように思います。
グティエレス監督:私が常に興味があるのは、そんなふうに自分が「違う」と感じる文化の中に自分を置いた時に「でも、人間というのは基本的に求めるものは同じなんだ」「尊厳のある人生、生活、愛して、愛されることを、皆求めているんだ」と感じることなんです。どんなに離れた場所にいても、人間の根底は一緒なんだと思って、私は生きてきました。
ー最後に、今後、監督がどのような映画を撮っていきたいと思ってらっしゃるかお聞かせください。
グティエレス監督:私が撮影したい対象というのは、私にとってミステリーに満ちていること、「知りたいこと」なんです。「それ」に好奇心をそそられて、知るためにカメラを回している。回し終わった時にそれが満たされるかどうかは分からないんですが。映画というのは私にとって、何かを知るためのプロセスだと思っているので、これからもそういうものを撮っていきたいと思っています。
2017年8月下旬には、インタビューに名前が登場したアルバ・エレディアが来日予定となるなど、今年はグラナダの熱い風吹く年となりそうだ。映画『サクロモンテの丘~ロマの洞窟フラメンコ』2017年2月18日より有楽町スバル座、アップリンク渋谷ほか全国順次公開。
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