変化に富んだ曲の構成も完璧、3年もの年月を費やしたR.ケリー渾身のホリデー・アルバム(Album Review)

　2015年末に発売された、13枚目のスタジオ・アルバム『ザ・ビュッフェ』では、濃厚なスロウから、ムードたっぷりのアダルト・コンテンポラリーまで、大人のためのR&Bを愉しませてくれたR.ケリー。そして、今年2016年は、自身初のホリデー・アルバム『12ナイツ・オブ・クリスマス』をリリース。先立って10月21日に発売された本国アメリカでは、「2016年最高のクリスマス・アルバム！」など、SNSで大絶賛されている。

　『ザ・ビュッフェ』をそのまま引き継いだような、大人のためのリズム＆ブルースと、ロバート氏独特のボーカル・ワークが見事に調和し、ちょっとアダルティな大人のクリスマスを演出する。R.ケリーの人気が20年以上も衰えないのは、こういったサウンドの確立にあるだろう。悪くいえば「変わり映えがない」が、ファンが求めている「絶対に裏切らない」アルバムを作ってくれることだ。

　ピアノ1本で歌い上げるゴスペル・ソング「マイ・ウィッシュ・フォー・クリスマス」から始まり、お得意の横ノリ「スノーマン」、「きよしこの夜」を引用した「ホーム・フォー・クリスマス」、ジャジーなムード・トラック「ミセス・サンタ・クロース」、スタンダードなホリデー・ソング「ワンス・アポン・ア・タイム」など…心温まる気持ちにさせてくれたり、ムードたっぷりの雰囲気を演出してくれたり、変化に富んだ曲の構成も完璧だ。思わず腰が浮く「ザ・グレイテスト・ギフト」や、タイトル曲など、フロアで踊りたくなるような、90年代ファンにはたまらないナンバーも目白押し。

　本作を制作するにあたっては、なんと3年もの年月を費やしたと話す、R.ケリー。自身が「セールスとは関係なく作った」と言うだけはあり、ヒットを狙ったクリスマス・アルバムというよりは、10年、20年先も違和感なく聴ける、世代を超えた内容に仕上がっている。

　2016年11月16日発売の国内盤ボーナス・トラックには、「サンタ・センド・マイ・ベイビー・バック・ホーム」、「 セイヴ・ザ・ワールド・フォー・クリスマス」の2曲が収録される。

◎リリース情報
『12ナイツ・オブ・クリスマス』
R.ケリー
2016/11/16 RELEASE
2,592円(tax incl)