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今年の音楽シーンは、冒頭からサム・スミスの話題で持ち切りだった。2014年の年間チャートには、第10位に「ステイ・ウィズ・ミー ~そばにいてほしい」がランクイン、続いて「アイム・ノット・ジ・オンリー・ワン」が年をまたぎロングヒットを記録。そして、2月に開催された【第57回グラミー賞】では主要3部門と最優秀ベスト・ポップ・ヴォーカルアルバム賞、合わせて4冠を獲得し、全世界にその名を轟かせた。
私生活でも話題に事欠くことなく、TV番組で同性愛者であることを明かしたり、4月のオーストラリア公演後、声帯から出血し、ドクターストップにより来日公演をキャンセルしたりと、日本でも何かとサムのことが報道されていたのも、記憶に新しい。その後開催された【2015 ビルボード・ミュージック・アワード】では、最優秀男性アーティスト賞を含む3部門を受賞。デビュー作『イン・ザ・ロンリー・アワー』はアメリカで200万枚、全世界で850万枚を売り上げ、男性ソロ・アーテイストとしては、この1年で最も成功したシンガーといえる。
そうなると、そろそろ2ndアルバムのリリースを期待したいところだが、次のアルバムはじっくり練り込んでいるようで、先立って発売されたのが、新曲「ライティングズ・オン・ザ・ウォール」。これまで、デュラン・デュランやカーリー・サイモン、ポール・マッカートニーにマドンナと、超大物が主題歌を担当した映画『007』シリーズの最新作『007 スペクター』のテーマソングに抜擢され、10月4日にビデオも公開されたばかり。復帰後ということもあり、声の調子も気掛かりだったが、美声も健在、男らしさに磨きがかかったようにも見える。
シリーズ第23作『007 スカイフォール』の主題歌としてリリースされた、アデルの「スカイフォール」にも通ずる壮大なバラードで、これまでお得意としていた“泣かせ”のメロウチューンというよりは、圧迫感や緊張感を漂わす、本作に相応しいスケールに仕上がっている。ビデオも、映画のシーンを取り込みつつ、サムもそのシーンに溶け込みながら歌う様が描かれていて、歌のイメージともピッタリだ。
まさに“完全復帰”を信証する1曲となった「ライティングズ・オン・ザ・ウォール」。ロングヒットを記録した、「ステイ・ウィズ・ミー ~そばにいてほしい」や、「アイム・ノット・ジ・オンリー・ワン」に続く大ヒット、そして両曲では成しえなかった、米ビルボード・シングル・チャート初のNo.1獲得も期待したい。来月には、5月の来日公演のリベンジ、振替公演が、11月24日に代々木第一体育館、11月25日に神戸ワールド記念ホールで開催される。映画『007 スペクター』の日本公開日は、12月4日にとなっている。
Text: 本家 一成
◎「Writing’s On The Wall 」MV
https://youtu.be/8jzDnsjYv9A
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