野宮真貴、【Slow LIVE '15 in 池上本門寺】にて渋谷系を歌う　村井邦彦/RN&SCOF/小沢健二/ピチカート・ファイヴ

　9月6日に東京・池上本門寺にて行われた【Slow LIVE ’15】にシンガーの野宮真貴が出演しパフォーマンスを行った。

　9月4日から3日に渡って様々なアクトが演奏を繰り広げた今年の【Slow LIVE】。その三日目にあたる6日の公演は「Back to The Street-POP」と名付けられ、ORIGINAL LOVE（アコースティックセット）、KIRINJI、原田知世、paris matchなど、渋谷系以降の洗練された音楽性で、90年代以降の日本のシーンを彩ってきた面々が集結した。

　あいにく前半から断続的に雨が降り、後半はかなりの降雨続きとなったこの日。巧みなパントマイムと誰もが知っている有名洋楽曲を駆使した音楽芸で魅せたが～まるちょばに続いて野宮は登場した。

　近年は「渋谷系を歌う」と題し、自身の所属したピチカート・ファイヴや渋谷系の名曲を“21世紀のスタンダード”とすべく継続的に歌ってきた野宮。この日も、パーカッション、ガット・ギター、ベースというアコースティックな編成をバックに、ボサノヴァ調にアレンジされたピチカート・ファイヴ「東京は夜の七時」から演奏をスタート。洒脱で丸みを帯びたその歌声が、雨に疲れた観客の心と体に優しく染み込むようだった。

　ライブ中盤では、渋谷系のルーツにあたる曲として、それ以前にリリースされた名曲3曲のカヴァーも披露。野宮に「日本のバート・バカラック」と紹介された村井邦彦作曲のトワエモワ「或る日突然」、さらに松任谷正隆プロデュース、ティン・パン・アレー演奏で当時リリースされた尾崎亜美の「マイ・ピュア・レディ」と和モノ2曲の演奏を続けた後、洋楽曲としてロジャー・ニコルス＆ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズの「Love So Fine」を歌唱、エレガントな歌声で会場を魅了した。

　その後、ピチカート・ファイヴの「マジック・カーペット・ライド」を披露するも、この辺りで雨が一層強く。屋根のあるスペースに移動する観客もチラホラ表れる。演者は屋根に守られてはいたが、思わず野宮も心配して客席に「みんな大丈夫？」と声を掛けたが、もちろん、そんな中でも席を離れず、バンドの演奏に熱心に耳を傾ける観客も多く、客席を気遣いながらもバンドは演奏を再開した。

　終盤には「渋谷系と言ったらこの人は欠かせません。」と野宮がMCし、小沢健二の「ぼくらが旅に出る理由」のカヴァーを披露。時代を代表する名曲に、豪雨への恐怖をひと時忘れ、会場が全体が軽やかに揺れていた。最後は再びピチカート・ファイヴで、「スウィート・ソウル・レヴュー」を演奏。後半は雨との戦いの様相も呈したライブだったが、晴れやかな演奏を前にいつしか雨も止み（それもフェス全体では一時的なものだったが…）、思わず野宮も「雨、止んだ～！」と喜びの声を上げ、会場からは大きな拍手が起こった。

　渋谷系、そしてそのルーツにあたる名曲の演奏を通して、時代を振り返るとともに、単なる懐メロに留まらない新たな光を当てる野宮真貴。そんな彼女は【野宮真貴、渋谷系を歌う−2015−。】と題し、11月13日にビルボードライブ大阪、11月19日～20日にビルボードライブ東京にて、同じく渋谷系をテーマにした公演を行う予定。更に新アルバムのリリースも決定しておりその活動はますます深化していく。ぜひ注目しよう。

PHOTO：TEAM LIGHTSOME

◎公演情報
【Slow LIVE ’15 in 池上本門寺】
2015年9月4日（金）～9月6日（日）東京・池上本門寺 野外特設ステージ

【野宮真貴、渋谷系を歌う−2015−。
～Miss Maki Nomiya sings Shibuya-kei Standards 2015～】
ビルボードライブ東京
2015年11月19日（木）・20日（金）
1st OPEN 17:30/START 19:00
2nd OPEN 20:45/START 21:30

ビルボードライブ大阪
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30