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2012年の完全復活(http://bit.ly/1gmnM4p)以降、活動30年間を地球潜伏期間と銘打ち、リアルとファンタジーの狭間で世界中のFANKSに衝撃を与えてきたTM NETWORK。そのクライマックスとも言える公演【TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA】を埼玉と神戸で開催した。
<裏切り、驚かせる。それこそがTM NETWORK>
TM NETWORKは周囲の想像を裏切り、上回り、覆してきたユニットである。活動30年を迎えてもソレに変わりはなく、我々は「こう来たか!」「騙された!」と毎度驚かされてきた。2012年 日本武道館(http://bit.ly/1gmnM4p)で急にライブが頓挫したときも、2013年 さいたまスーパーアリーナ2days(http://bit.ly/1gOQpRz)で『CAROL』組曲を外国人キャストが歌い出したときも、2014年春の全国ツアー(http://bit.ly/1jFQle5)で映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を髣髴とさせる演出と共に「Beyond The Time」を披露をしたときも、昨年冬の全国ツアー【TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30】(http://bit.ly/1yCmfiy)でミッション終了を“キックスターター”小室哲哉が覆したときも、驚かされた。そして子供のように目を輝かせた。
<Opening SEだったはずの名曲「SEVEN DAYS WAR」を3人並んで披露>
今回の【TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA】は昨年冬のツアー内容に情報量を増やしたものと示唆されており、「その量が多ければ多いほど嬉しいな」と誰もが思っていたはず。が、セットリストがほぼ丸々違う公演になるとは、スクリーンに流れる映像も物語も何もかも別モノになっているとは、デビュー当時から3人に騙され続けてきた古参FANKSでも想像できなかったことだろう。小室哲哉も「僕らは間に合ったという安堵感でいっぱいです」とツイートしていたが、昨年冬のツアーからたった2か月でほぼ真新しい、しかも超大掛かりな公演を用意できるなど誰も思わない。でもソレこそが我々を30年間振り回し続け、魅了し続けてきたTM NETWORKである。Opening SEだったはずの名曲「SEVEN DAYS WAR」を3人並んで披露された瞬間から「えぇ~!?」と大興奮するのがFANKSである。
<『CAROL』組曲、再び。>
そして「Birth」の後は「WILD HEAVEN」「TIME TO COUNT DOWN」を披露するはずなのに、まさかの「LOUD」から『CAROL』組曲が始まる。
テクノロジーに
ファンタジーのドレスを着せ
音が盗まれる物語を創りました
音楽すらなくなってしまう
未来への危機感を
抱いたからです
1988年にリリースされたアルバム『CAROL ~A DAY IN A GIRL’S LIFE 1991~』は、コンサートツアーや小説、ラジオドラマ、アニメにまでその世界観を同期させ、前代未聞のメディアミックスとして伝説化されているが、なんとこの日は収録曲を披露していくだけでなく、大人になったキャロルが「10才の私をお見せしましょう。全てはここから始まりました」とストーリーテラーになり、当時のミュージカル然としたライブ映像も映し出され、あの頃の3人と今目の前にいる3人が共に同じ曲を奏でるという、メディアどころか時空までミックスしてしまう演出で度肝を抜く。誰もが人差し指を何度も高く掲げた「Just One Victory」の興奮たるや、キャロルの「最後に大切なメッセージを贈ります。聴こえますか?」の声から巻き起こった「STILL LOVE HER」のシンガロングの感激たるや、涙なしで受け止められるものではなかった。
FANKSのアバターと
その日々を描いた
「CAROL」は
僕ら30年間を
代表する作品になりました
時代を超え
ここに戻ってきてくれて
ありがとう
最後の二行はそのまま3人に返したい言葉。また会えてよかった。2013年の同所で披露された『CAROL』も衝撃的で印象深かったが、やはりこの3人で歌い奏でる『CAROL』に勝るものはない。キャロルも「あなたは私の理想の男性でした」と言っていたが、やっぱり宇都宮隆が歌う『CAROL』が一番愛おしい。
<TM NETWORKは負けず嫌いでもある。細部にわたって最高峰を目指す>
そんな“続いていく”からこそ直面できた美しい世界に感謝していると、木根尚登がギターで「Looking At You」を弾き語る。キャロルも「あなたはまるで優しい兄でした」と微笑んだが、それはFANKSにとっても言えること。彼の切なくも優しい歌声と音色に誰にが耳を澄ませる。そしてライブはクライマックスへ。「Always be there」で“逃げないでそばにいてくれたから”とメッセージし、マルチ画面で世界各地の情景が映し出されると、曲は「We Love The Earth」へ。我々がこの星で出逢えた奇跡、この星で生きていく実感を与え、小室哲哉の炎を燃え盛らせながらのkeyboard soloから「Get Wild」が響き渡れば、会場中の人々の生命力がスパーク。「サカナクションやきゃりーぱみゅぱみゅのライブを超えるレーザーの凄さ」というツイートも見かけたが、TM NETWORKは負けず嫌いでもある。細部にわたって最高峰を目指し、ひたすらにオーディエンスを鼓舞させていく。
<ただのdreamer 人は言うけれど この地上にあふれる全ては
僕に似た昔の誰かが 夢見てはかなえてきたもの>
2012年の完全復活以降、TM NETWORKのアンセムとなっている「I am」をみんなの音と声と全身で表現し、宇都宮隆が「Yes I am, Yes I am Yes I am a human… You’re human」と告げるたところで、スクリーンにもメッセージが映し出される。
みなさんのエネルギーを
借りる事で
その時代その時代を
表現できた30年間でした
だから
今日、もしも
人生を彩る音を
見いだしてもらえたら
光栄です
ラストソングは「Fool On The Planet」。2012年 日本武道館の1曲目に披露された珠玉の名バラードが再び披露される(その理由は各々に想像してください)。太陽が真っ直ぐにこちらを捉え、ダイナミックでドラマティックで優しい音の群れに包まれながら共に口ずさむ「ただのdreamer 人は言うけれど この地上にあふれる全ては 僕に似た昔の誰かが 夢見てはかなえてきたもの」「You might think Just a dream 時が巡ってもきっと人は惑星に立って Make a wish make it true 想いを描くよ Like a fool they said 捜し続けてくforever」といったフレーズたちは、どれもTM NETWORKがその音楽活動で体現してきた姿勢そのもの。それはメッセージとなり、FANKSの心を何度も励まし、突き動かしてくれた。だから今この瞬間があった。
There will be love & peace
from
HUGE DATA.
次は【TM NETWORK 30th FINAL CONCERT】。3月21日と22日 横浜アリーナにて開催される文字通りのコンサート。1980年代にこの未来=今を予見した彼らが、この時代に何を刻もうとしているのか。伝えようとしてきたのか。最後まで見届けてほしい。
取材&テキスト:平賀哲雄(FANKS)
Photograph:Yukitaka Amemiya
◎ライブ【TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA】
02月07日(土)08(日)さいたまスーパーアリーナ セットリスト:
01.SEVEN DAYS WAR
02.[QUIT30]Birth
03.LOUD
04.[CAROL2014]A Days In The Girl’s Life
05.[CAROL2014]Carol (Carol’s theme I)
06.GIA CORM FILLIPPO DIA (DEVIL’S CORM)
07.[CAROL2014]In The Forest
08.[CAROL2014]Carol (Carol’s theme II)
09.Just One Victory
10.STILL LOVE HER
11.Looking At You
12.Always be there
13.We Love The Earth
14.keyboard solo
15.Get Wild
16.I am
17.Fool On The Planet
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