ハルカトミユキ、多数の新曲を披露した東名阪ワンマンツアーを完走

2014年11月17日 / 15:00

東京で45年ぶりの積雪が記録された今年2月の大雪の渋谷CLUB QUATTROから9カ月ぶりとなる、ハルカトミユキの東京でのワンマンライヴが東名阪ワンマンツアーのファイナル公演として恵比寿リキッドルームにて開催された。

2013年のメジャ-移籍第一弾1stアルバム『シアノタイプ』を経て、今年5月にリリースされた3rd EP『そんなことどうだっていい、この歌を君が好きだと言ってくれたら』収録の「その日がきたら」では破壊、喪失の果てに花開く再生、誕生を歌うなど新境地へ果敢に挑み続ける二人の動向に注目が集まる中、迎えた久々の東京公演、満場を埋め尽くすファンの期待は嫌が上にも高まり開演前の会場を緊張感が支配する。

ハルカトミユキ、二人の選曲による80’SエレポップやQUEEN、トーキングヘッズという絶妙なBGMが軽快に流れ彼女たちの独特の世界観を更に演出する中、BGMがフェードアウトしピアノとシンセによる四ツ打ちのオリジナルのオープニングSEとクロスフェードしながら演奏はスタートした。会場が拍手に包まれる中、シルクのような光沢を有した白いTシャツと細身のパンツ身を包んだハルカの「ハルカトミユキです!」のMCと共に聞き慣れないメロディと共に幕を開けた1曲目はまさかの新曲! グルーヴィなロックチューン「生まれる」。久々のワンマンに懸けるメンバーの意気込みとテンションの高さが伝わるようなアグレッシヴなギター・サウンドが聴く者の魂を鷲掴みにする。これまでのファンの飢餓感を良い意味で裏切るかのように新曲「裸足」、さらに「もう1曲新曲やります!」のハルカのMCで四ツ打ちの「たった今、生まれたみたいにいたい!」の歌詞も示唆的な「子猫」という新曲をドロップ! 続けざまにライヴではお馴染のキャッチーなギター・リフも印象的な未発表曲「バッドエンドの続きを披露」。短距離走者のようにここまで一気に駆け抜けたハルカが緊張を解すかのように口を開く。「私たちの思いが爆発して飛び散って皆さんに届くように、そしてみんなも爆発してください!」会場から拍手が巻き起こる。ハルカの「残酷な曲を1曲!」のMCと共に2nd EP収録、大人になれない大人を謳った「未成年」。前回のワンマンからの長いインターバルが決して無為なものではなく様々な経験を経て骨太に成長したヒリヒリするようなロック・サウンドに観客は圧倒され続ける。

「ここからしばしミユキと二人だけでやります!」。バンドが一度はけて、ハルカトミユキふたりがステージに残る。先日の小劇場「新宿シアターモリエール」でのアコースティック・ワンマンのソールド・アウトも記憶に新しい、ハルカトミユキのもう一つの魅力とでも言うべきアコースティック・パートへ!

「未来予想図がないと解った時の、絶望とも違うふわっとした不安とかを描きたくて…」というハルカのMCから弾き語りで1stアルバムのタイトル・チューン「シアノタイプ」、そして未発表曲「ひとりごと」の2曲を披露。轟音バンドサウンドもいいが、シンプルな編成ゆえに優れたシンガーソングライター、ヴォーカリストとしての二人の資質がより浮き彫りにされるアコースティック・サウンドに観客は魅了され会場は心地良い静寂に包まれる。

ここで再びバンドのメンバーを迎えピアノのフレーズが印象的な未発表曲「middle」。この日初めてミユキが口を開いた。「今日もフレディ(マーキュリー)のTシャツを着てるんですけど(笑)、今日は東京ヴァージョンで来ました(笑)。(このTシャツのフレディの笑顔みたいに)ギャップ萌えで、私も皆さんの頭からこびりついて離れないようなライブをやるので宜しくお願いします!」ミユキのコミカルなMCに会場から笑い声が上がる。

「ここでカヴァーを1曲やります! フラカン先輩の負けない負け犬のテーマ・ソング、『感情七号線』!」YouTubeのオフィシャル・チャンネルで上述の「新宿シアターモリエール」でのアコースティック・ヴァージョンでの映像が公開され話題のハルカトミユキによるフラワーカンパニーズの「感情7号線」。10月22日に発売されたフラワーカンパニーズ トリビュートアルバム『I LOVE FC MORE THAN EVER ~FLOWER COMPANYZ TRIBUTE~』ではバンド・アレンジで収録されいる。この日は抑揚を押さえたアコースティツクなライヴ・ヴァージョンにて披露。大人を号泣させるあのフラカンによる負け犬ソングの名曲が透き通るようなハルカの歌声、息遣いと共により切なく儚く生まれ変わり、観客の涙腺を刺激するキラー・チューンと化していた。

ここでミユキが観客に呼び掛ける。「このツアー恒例の楽しいコーナーが始まります! 皆さん、盛り上がってくれますかー?」とコール&レスポンスを要求! ハルカトミユキ唯一の(笑)ダンス・ナンバー1stアルバム収録の「Hate you」をドロップ! モータウン風ビートにのせて君が嫌いな理由を繰り返すシニカルなラブ・ソング?!PVでも披露されていたようなミユキの珍妙なパフォーマンスに誘発されて会場からは手拍子が巻き起こる。

続けざまにシンセのストレンジなサウンドが誘う90’sフレイヴァーのポスト・ロック・チューン、「花が咲いている」の歌詞が脳裏に焼き付いて離れない中毒性を有した「フラワー」(未発表曲)を経てライヴはいよいよ後半戦へ。おもむろにハルカが喋り出す。「本当にここに来るまで色々なことがあって…今凄く本当に素直に歌を聞いて欲しい、届けたいと思ってここに立ってます。新たな気持ちで歌いたいと思います!」のMCに会場から優しい拍手が鳴り響く中、最新作3rd EPから「その日がきたら」をドロップ!

ここからはファン待望のハルカトミユキの鉄板セットリストを展開。2nd EPからの「ニュートンの林檎」ではロック・フェスさながらに観客の手が上がる。さらに1stアルバムから2曲、「振り出しに戻る」では自然と手拍子が巻き起こる場面も、そしてライヴで大人気の「マネキン」を披露! 加えて1st EPから「プラスチック・メトロ」を矢継ぎ早に演奏し、会場の盛り上がりはこの日最高潮へ。

「次で最後の曲です!」ハルカのMCと共にラストは現時点の最新作3rd EPの最後を飾る「青い夜明け」。会場に響き渡る鳴り止まない拍手にすぐさま呼び戻された二人は再びステージへ。「アンコールありがとうございます!実はハルミユは今日が今年のライヴおさめになんです!」。ミユキの自然体のMCに会場の空気が和んで行くのが解る。アンコールの1曲目を飾るのはハルカの歌とミユキのピアノとだけという弾き語りスタイルで彼女達の代表曲2ndEP収録「ドライアイス」を情感豊かに歌い上げその素晴らしい歌声を会場に鳴り響かせた。そして本当に最後のナンバー、バンド・メンバーを従えて彼女達のデビュー曲1stEP収録の「Vanilla」を披露。印象的なの「Vanilla」のイントロの旋律が流れるや否や会場から大きな歓声が上がる。

9カ月もワンマンを待ち続けてくれたファンへ二人は感謝の言葉と共にふかぶかと頭を下げて手を振りながらステージを後にした。多数の新曲、未発表曲を数多く披露した久々の東名阪ワンマンツァーのツアー・ファイナル、東京、恵比寿リキッドルーム公演はメンバー決意表明とでも言うべき挑発的なタイトルの新曲「生まれる」からデビュー曲「Vanilla」で終わるというハルカトミユキのヒストリーを逆回しで遡るようなクロニクルの如き構成のワンマンはここに終演を迎えた。大阪、名古屋では「新しく生まれ変わります!」とステージから公言していたそうだが、青写真どころか新しく生まれ変わろうともがきながら進化し続けるハルカトミユキの輝かしいこれからを占う素晴らしい一夜は幕を閉じた。暗転から客電が灯り流れるBGMがミユキの偏愛するQUEENの名曲「SOMEBODY TO LOVE」であったことを付記しておく(笑)。

Photo:Aki Ishii

【セットリスト】
01. 生まれる (新曲)

02. 裸足 (新曲)

03. 子猫 (新曲)

04. バッドエンドの続きを (未発表曲)

05. 未成年

06. シアノタイプ

07. ひとりごと (未発表曲)

08. middle (未発表曲)

09. 感情七号線 (フラワーカンパニーズ/カバー)

10. Hate you

11. フラワー (新曲)

12. その日がきたら

13. ニュートンの林檎

14. 振り出しに戻る

15. マネキン

16. プラスチック・メトロ

17. 青い夜更け

<ENCORE>

ec1. ドライアイス

ec2. Vanilla

Band Member:

Gu.佐藤 亮

Ba.イワイエイキチ

Dr.中畑大樹


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