今年で16回目!FM802による一大ライブサーキット【MINAMI WHEEL 2014】をDJ鬼頭由芽がレポート

2014年10月28日 / 12:56

 FM802が毎年秋に送る一大ライブサーキット【MINAMI WHEEL】が今年も開催された。大阪の「ミナミ」と呼ばれるエリアに点在するライブハウス21か所で、三日間に渡り、400組を超える若手アーティストたちが一日中ライブを展開。パスを持った参加者は好きなだけ会場をハシゴすることができる。
 なんと今回で16年目となるこのイベント。今年もパス交換所のある心斎橋BIG STEPは、パスを首にかけたお客さん、ビラを配るアーティストたちで前が見えないほど大盛況の中、初日を迎えた。実を言うと今年は台風19号の影響で最終日の公演が全て中止になってしまったため、土日に生放送のあった私が参加できたのは二日目・日曜日午後の公演だけ。未練も残る今年のミナミホイールだったけれど、その中でいくつか印象に残ったライブをレポート!

 まずは北海道在住の女子5人組ブルースロックバンドDrop’s。以前ラジオのゲストに迎えた際、華奢で可憐で囁くように喋る彼女たちの姿を見て、ステージではどう変身するんだろうととても楽しみだった。が、想像以上の変貌ぶり。黒のレザーをバシっと着こなし、髪を掻きあげる仕草、マイク片手にゆっくりと会場を見渡す目線、全てが堂々としていて、絵になっている。ジャニス・ジョプリンを思わせるような低く深く響く中野ミホ(Vo&Gt)の歌声と骨太なバンドサウンドに、耳というより体全体が痺れるような感覚に。参加者が好きなだけ会場を出入りできるこのイベントでは、魅力的なライブでないと、どんどんフロアが寂しくなる。逆も然り。Drop’sが出演したこの時間の心斎橋JANUSはみるみるうちに人が溢れかえり、最後は客席からあがる大きな歌声と共に最新シングル「コールミ―」でライブを締めくくった。

 この日、終日入場規制が解かれることの無かったBIG CATにはLEGO BIG MORLも登場。超満員の観客の中でも、スラリと長身なフロント三人の立ち姿はやはり凄い存在感。今年一月に発売された活動休止からの復活シングル「Wait?」でのスタートに、「待ってたぞ!」とばかりの大歓声が起こる。「こんなにたくさんバンドがいる中でここに来るとは…なかなかセンスの良い人たちですね(笑)」というタナカヒロキ(Gt)のいたずらっぽい笑顔で更に会場のムードが温まると、後半、ニューアルバム「NEW WORLD」からの新曲も惜しみなく披露してくれた。ワイルドなバンドアンサンブルだけではなく、打ち込みで緻密に展開していく新曲たちは、常に進化する彼らの新しい音世界をしっかり見せてくれた。

 LEGO BIG MORLのライブから約1kmのワープを遂げ、ダッシュで向かった先は南堀江SOCORE FACTORY。今年1月に初の全国流通版が発売されて勢いに乗るスリーピースバンドThe Cheseraseraが熱演中だった。すでにステージ上の三人はTシャツがぴったり張り付くほど汗だくになり、会場はただならぬ熱気に包まれていた。倉庫を改装したようなガレージ風の会場にビリビリとしたギターノイズが良く似合う。キャッチーなメロディたちを宍戸 翼(Vo&Gt)のハスキーな歌声で最高のロックンロールに仕上げ、熱くも爽やかな汗をかけるライブを楽しむことができた。

 すっかり日も沈んだ頃、秋の夜長をじんわり温めてくれたのは神戸の四人組the fin.。扉が閉まりきらないほど混み合った会場の中、思わず息をひそめてしまうような繊細で美しい演奏が響く。会場間の長距離移動やタイムテーブルとのにらめっこで疲れ気味だった身体と心に、the fin.の優しく壮大な音楽はヒーリング効果抜群。会場内も気持ち良さそうに笑顔を浮かべる観客で満たされていた。

 The fin.で体力を回復して挑む本日のラストは、西宮の狂犬KING BROTHERS。若手アーティストだけではなく、キャリアを積んだアーティストがこうしてひょっこり出演してくれるのもミナミホイールの嬉しいところ。
 会場の中に入った瞬間、ムッとした熱気が伝わる。「XXXXX」でケイゾウ(Vo&Gt)が激しくも艶っぽくロックを歌い上げる隣で、マーヤ(Gt)がこれでもかと暴れまわり、今年加入した新メンバー・ゾニー(Dr)も怒涛のドラムさばきでそれに応える。おなじみのマーヤのダイブも観客がしっかりと受け止め、フロア中を叫びながらサーフしていく。ステージに戻されそうになると「戻すんじゃねー!!!」とキレつつ、観客の上で仁王立ちになり、更にシャウト!百戦錬磨のライブバンドとしての貫録を感じさせる圧巻のステージだ。終盤にはドラムセットごと客席に降りてきて、360度観客に囲まれて大熱狂のパフォーマンス。「に・し・の・み・やー!」の雄叫びと共にミナミの夜を熱く彩った。

 本当は次の日、同じ会場で同郷の後輩バンド・キュウソネコカミが三日間の大トリを務めるはずだったのだが、先述のとおり、ミナミホイール三日目が中止になってしまい、西宮バンドによる二日連続フィナーレは幻になってしまった。出演予定だったアーティストがSNSでメッセージを発信したり、Ustreamでライブを配信したり、それぞれの方法でイベントへの思いを伝えてくれたが、やはり自分の目と耳と足でライブを回りたかったのが正直なところ。この思いはまた来年へ。秋の香り漂うミナミの街で、誰より早く注目アーティストを発見したい、思う存分ライブに浸りたい、賑やかな街で遊びながら音楽を楽しみたい…そんなあなたはまた次回、17年目のミナミホイールでお会いできますように!

Text:FM802 DJ鬼頭由芽

◎イベント概要
【FM802 MINAMI WHEEL 2014】
開催日:2014年10月11日(土)・10月12日(日)※10月13日(月・祝)は台風により中止
会場:knave / SOCORE FACTORY/ club vijon / hillsパン工場/ AtlantiQs / KINGCOBRA / DROP / FANJ twice / BIGCAT /SUNHALL / Soap opera classics / CLAPPER /Pangea/ OSAKA RUIDO / OSAKA MUSE / CONPASS/ FooRock&BEERS / FANJ / JANUS / soma / VARON
http://funky802.com/minami/


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