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ともに80年代初めから活躍し、交流も深かったふたり。今回は大澤が山下に声をかけ、これまで提供してきた楽曲を中心に、新たに制作したアルバム『& Friends』の発表に合わせて4月19日にビルボードライブ大阪のステージに立った。
アットホームなムードのなかで始まったステージは、それぞれの楽曲の制作時、あるいは今作レコーディング時のエピソードなどを交えて、ゆったりと進行していった。
序盤の3曲を新作と同じ順で続けたあと、大澤が31年前を振り返って話す。バンドを解散し、作家として活動を始めた頃、「スタンダードをつくれ」と励まされてできたのが「時代遅れの恋心」。当時、山下に提供した名曲だが、自身でも思い入れが強いと言う。この曲をふたりで披露したあとは、同じく新作にも収録されている「Lover Man」を山下ボーカルで。いずれも”大人のラブソング”と呼ぶのにふさわしい秀逸なバラードだが、発表したのは20代前半の頃。両者の早熟ぶりに驚かされるが、それなりの年齢を重ねてきて今夜、改めて接したリスナーには、より深い響き方をしたのではないか。
中盤から終盤にかけては、各々の”代表曲”が並んだ。それぞれの”聴かせ方”に工夫をみる。「赤道小町ドキッ」はスローなボサノヴァ・バージョンで、山下もしっとりとした歌声でアプローチ。かたや「そして僕は途方に暮れる」は、原曲に忠実な形。オリジナルがすでにある種の諦念を滲ませていたからだろうか。これはこれで今も十二分にしっくりくる。ただ、そのあとに続けて歌った「This Old Heart Of Mine」(アイズレー・ブラザーズのカバー)、これが熱かった。歌い上げるのでなく、シャウトを身上とするソウルシンガー・大澤誉志幸の面目躍如である。
もともとバンド(クラウディ・スカイ)の一員として世に出た大澤は、いくらプロデュース業に長けていたとしても一向に裏方っぽくならない。同様に、女性ボーカリストが”歌姫”や”ディーバ”と浮き世離れした例えで呼ばれるようになる前にこの道を切り拓いた山下は、いつまでも”ロックなお嬢”である。そんな風に、”らしさ”を蹴飛ばすようにして歌ってきたふたりだから、この稀有な共演が実現できるのかもしれない。 終盤、そしてアンコールでの”総立ち”の客席をみながら、強くそう感じた。
Text:大内幹男(2013.4.19 2nd stage)
Photo:Kenju Uyama
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