ZAZEN BOYS さりげなくブチ込む、師走の大合唱

2013年1月4日 / 16:46

 この日、最もそのバンドTシャツを着ているファンを多く見かけたマキシマム ザホルモンのステージが佳境を迎えているであろうその頃、ZAZEN BOYSがスルっとGALAXY STAGEに登場。

 おなじみ本人によるサウンドチェックの後、「幕張、マクハリ、時には女まぐわり…」の前口上から、鋭角に研ぎ澄まされたサウンドで一気に会場全体をZAZENワールドにずずずっと引きずり込む。オープニング・セッションからなだれ込んだ「Honnoji」に続き、今年リリースされた4年ぶりのニュー・アルバム『すとーりーず』からのナンバー「泥沼」では、“ズボッ、ズボッ、ズボーーーーーッ”と、泥沼にハマるその様を、向井秀徳のみぞ知る独自のタイミングで繰り出し続ける。最初は単純にその言葉遊びに向けられていたであろうオーディエンスの笑みは、いつしか向井の言葉に完璧に応酬し続けるメンバーの超絶ブレイクへの“笑いを禁じざるを得ない”といった種ものへと変遷していく。その見事なまでの完成度は、ニュー・アルバムのを引っさげたツアーを通じ、もはや究極の域に到達しているのは言うまでもない。

 まるで異種格闘技のような超人的セッションを経て、同じく『すとーりーず』からのナンバー「サイボーグのオバケ」改め“パンツ行進曲”に突入。え?タイトル変えたの?その真意か否か、鋭いギター・カッティングとともに“パンツ”にまつわる卑猥なワードを含即興をひとしきり吐き出すと、今度はややリラックスした笑い、いや、大爆笑が巻き起こる。音、言葉、そして空気さえも自在に操る男、それが向井秀徳なのだ。

 ライブ終盤「COLD BEAT」の途中、チャルメラの音階に合わせて“さりげ~なく、抱きしめてよ~”“とめど~なく、くちづけてよ~”と、ギターのカシオマンとベースの吉田一郎の2人に歌わせハモらせると、さらにはオーディエンスを巻き込んで“さりげ~なく、ブチ込んでよ~”と大合唱させる。そして最後に「フリースタイルで、思い思いに。」と散らかす(笑)。大合唱団を率いるマエストロと化した向井の、音と言葉を巧みに使った壮大なるアソビに会場全員が弄ばれ、得体の知れない快感と一体感に包まれたのだった。


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