Chick-flick(チックフリック)アイドル戦国時代から10年以上──真新しいアイドル誕生を実感させるアプローチ! モデルは『ローゼンメイデン』?

2022年8月23日 / 19:00

 AKB48やももいろクローバーZの大ブレイクを皮切りに全国から幾多数多のアイドルグループが台頭し、アイドルが世界に誇るサブカルチャーとして隆盛したアイドル戦国時代から10年以上。その間、あらゆるコンセプトやスタイルのグループが生まれては消え、真新しいアイドル像を創造するのは困難となってきたはずの2021年末、既存するどのアイドルのようでもない、Chick-flick(チックフリック)というグループが誕生したことをご存知だろうか。

<女の子にも愛される、新しいアイドルグループの創造>

 Chick-flickとは、本来「女性観客をターゲットにした、主に恋愛やロマンスを扱う映画のジャンルを指す俗語」として使用され、例えば『愛と青春の旅立ち』『プリティ・ウーマン』『タイタニック』『プラダを着た悪魔』『セックス・アンド・ザ・シティ』などの映画はこれに属する。また、童話のシンデレラなどのプリンセスストーリーを模した映画もChick-flickと言えるだろう。要するに女の子の女の子による女の子の為の作品である。そして、昨年末に誕生したばかりの若きアイドルグループ・Chick-flickもまた女の子らしい、女の子でしか創造し得ない、女の子に愛されるであろうコンセプトですべてをクリエイティヴしており、当然のように「男性観客をターゲットにした、主に恋愛やロマンスを扱う音楽のジャンル」として成立している女性アイドルシーンにおいては、かなり稀有で異端な存在と言える。

<アイドルが何よりも大好きな女性プロデューサー>

 では、Chick-flickが具体的にどんなプロフィールを持ったアイドルグループなのか紹介しよう。アイドルが何よりも大好きで、自身もアイドル経験が豊富ゆえアイドルの気持ちをよく理解している桜木もち子(Payrin’s)。彼女のメインプロデュースのもと、ちょっぴり甘くてトゲのあるドーリー(人形のようにかわいらしいさま)感を意識したグループであり、従来のアイドルグループが表現してこなかったビッグバンドジャズやタンゴなどの音楽性を取り入れているのだが、これが「君が捨てた、絵本の中–。」というキャッチコピーとそれに伴う童話のような世界観によく似合っている。ちなみに、桜木もち子プロデューサーのイメージした絵本の中の世界を解釈し、tatsu(BLVELY)が楽曲制作した上で監督まで務めた新曲「フルハウス」のミュージックビデオ(https://bit.ly/3w2AC2D)をご覧頂ければ、ここまで説明した「Chick-flickとは何たるや」が一目瞭然なので、ぜひチェックしてみてほしい。

<イメージモデルは戦うドール『ローゼンメイデン』>

 また、7月31日に開催された1stワンマンライブ【Chick-flick ONEMAN LIVE episode II「よあけの森」】を拝見させてもらったところ、お姫様のようなロリータファッションに身を包んだ女の子たちが、可愛くも時として攻撃的かつ挑発的なパフォーマンスやボーカルで魅せていく様は、まさしくちょっぴり甘くてトゲのあるドーリー感を体現しており、まるでアニメのキャラクターのようでもあった。個人的には、19世紀末に東西に分断された架空のロンドンを舞台に繰り広げられる、メイドやプリンセスたちのスパイアクションを描いたスチームパンク作品『プリンセス・プリンシパル』(梶浦由記が手掛けた音楽含め)にも近しい印象を受けた。普段はお淑やかな、或いは可愛らしい女の子たちが、使命や目的の為に激しくアクションする姿に大衆が熱狂する例は『美少女戦士セーラームーン』や『プリキュア』シリーズなどいくつでもあるが、その緩急の振り幅をここまで極端に現実のアイドルが体現している例は珍しかったからだ。

 ちなみに『プリンセス・プリンシパル』と近しい世界観に感じたと桜木もち子プロデューサーに伝えたところ、彼女からイメージモデルとして『ローゼンメイデン』の名を返された。ライブを観ながら「まるで戦うメイドやプリンセスのようだ」と感じていたのだが、なんと彼女は「戦うアンティークドール」をひとつのモデルとしてアイドルグループをクリエイティヴしていたのである。まさかの人間じゃなく人形だった(笑)。とは言え『ローゼンメイデン』に登場する人形たちは、自分の強い意志のもと気高く戦うドールであり、まさしくアンティークドールのように可愛く美しく、それでいて夢に向かってひとつひとつのステージで気高く戦う、Chick-flickのメンバーそのものとも言える。

<1stワンマンライブを埋め尽くした超満員の老若男女>

 なお、Chick-flickの1stワンマンライブは、お披露目からわずか7か月にも関わらず、すでに超満員。唯一無二の世界観や音楽性、メンバーの表現力などの様々な魅力が相まって、老若男女が会場を埋め尽くしていた。Chick-flickとは、本来「女性観客をターゲットにした、主に恋愛やロマンスを扱う映画のジャンルを指す俗語」」と冒頭で記したが、アイドルグループ・Chick-flickも女の子らしい、女の子でしか創造し得ない、女の子に愛されるであろうコンセプトを打ち出しているだけあって、可愛いモノが大好きな女性ファンたちに早くも見つけられている一方で、同時に多くの男性アイドルフリークの心をも掴んでいる。かつては女性向けの作品は女性だけのモノであり、男性向けの作品は男性だけのモノだったかもしれないが、今や少女コミックに男性が涙し、少年コミックに女性が熱狂する時代。Chick-flickが追及する可愛さや気高さ、稀有で異端な在り方もまた、新たに心躍らせてくれる何かを探し求める老若男女へ突き刺さっていくことだろう。

 なお、Chick-flickは早くも次なるワンマンライブ【Chick-flick ONEMAN LIVE episode III 『最果ての我愛□』】(□=にんべんに「尓」)を11月4日(金)渋谷近未来会館にて開催することが決定している。チケットは絶賛発売中なので、ぜひその魅力を生で体感してみてほしい。

取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:保田太陽

◎イベント情報
ワンマンライブ【Chick-flick ONEMAN LIVE episode III 『最果ての我愛□』】(□=にんべんに「尓」)
2022年11月04日(金)渋谷近未来会館
OPEN / START T.B.A(夜帯)
チケット:前売3,000円(+1D代)当日3,500円(+1D代)
https://t.livepocket.jp/e/chickflick-episode3

◎Chick-flick「フルハウス」MV
https://www.youtube.com/watch?v=ubLo-BV20E8

◎2nd EP『よあけの森』配信リンク
https://linkco.re/stqvv0z9

◎Chick-flick ツイッターアカウント
https://twitter.com/chickflick_info


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