<ライブレポート>シルク・ソニック、25日間の米ラスベガス常設公演が華々しく開幕

2022年2月28日 / 16:30

 2022年2月25日、シルク・ソニックことブルーノ・マーズとアンダーソン・パークが、25日間にわたる常設公演『アン・イヴニング・ウィズ・シルク・ソニック』を米ラスベガスでスタートさせた。

 パークMGMのドルビー・ライブ・シアターが、「777」の導入部分と、ベガス・ストリップに巨大なファンク宇宙船が着陸するという奇想天外な映像で揺れると、ブルーノとアンダーソンがこれまでデュオとしてこの規模のショーをやったことがなかったことが信じられない気持ちになった。

 そして、「この勝負のあとに俺はラスベガスを買うんだ……カモン、7-7-7、レッツゴー」という歌詞と共にフリルのついた赤い絹の幕が上がり、二人の実力派ミュージシャンを中心とする、ダンサブルなファンク、ソウル、R&Bの楽曲の数々で彩られた一夜が始まった。

 ネオンが輝く半円形の音楽堂を模したセットを背景に、ブルーノとアンダーソンによるボンゴとドラム対決が始まり、特殊効果の花火が降り注ぐ中、「777」から「Skate」へと曲が移る。そしてバレンタイン・デーにリリースされたコン・ファンク・シャンの1982年の名曲「Love’s Train」のカヴァーもライブで初披露された。

 ミラーボールの煌めきをよく捉えるラインストーン入りのジャケットを着たシルク・ソニックの二人は、ドラム演奏やシンクロした振り付け、ライト・テナーのヴォーカルの妙技を難なく披露しつつ、MCの気さくな会話や滑らかな白いブーツ、そして彼らの神であるファンクのパイオニア、ブーツィー・コリンズによるビデオ出演に至るまで、最後まで飽きさせない工夫を随所に取り入れた演出が繰り広げられた。

 アンダーソンがかけていたヴィンテージ・グッチの黄色いサングラスに、ステージ上の24Kスター・パワーを遮る効果はなかった。シルク・ソニックは、このサウンドとダンスを自分たちが発明しましたと言わんばかりに軽々とやってのける。それらは単に思い出をたどるだけではなく、R&B、ラップ、ファンク、ソウルといったジャンルを融合させた、時代を超えた現代に着地したスタイルのフュージョンなのだ。

 「皆さんは開幕公演に来てくださったわけですが、僕らは問題点を解決する機会すらなかったんですよ」とアンダーソンはぼやきつつも、完璧かつ予定外のマイク・ドロップまで含む約90分のショーを遂行した。彼はこの劇場は初めてだが、ブルーノにとってドルビー・ライブは、2016年以来40回以上の公演を行ってきた馴染みのあるステージだ。

 携帯電話をYondrのポーチに入れるというポリシーもあり、開幕公演ではパフォーマーと同じように激しく踊っている観客が多かった。ブルーノとアンダーソンが一緒に、「みんなの電話を取り上げた……ベガスで起きたことは、ベガスに置いていけ」と歌うなど、人々にその晩の芸術に参加してほしいという意図から設けられたルールだった。

 スタジオ・アルバム『アン・イヴニング・ウィズ・シルク・ソニック』全曲を含む17曲のセットリストに加え、10人編成のバンドは、ブルーノのヒット曲である「Treasure」や「Runaway Baby」、アンダーソンの人気曲「Am I Wrong?」や「Come Down」などを織り交ぜて滑るように演奏していった。

 また、【グラミー賞】受賞者のモーリス・“モベッタ”・ブラウンが、「Everybody Loves the Sunshine」のトランペット・ソロを、「Fly As Me」から「Smoking Out the Window」に移行する部分で披露したこともとりわけ目を引いた。

 最後にはオープニングの宇宙船の映像が「Blast Off」と共に復活し、シルク・ソニックの面々は次の冒険を始める前の束の間の休息を取りにファンク宇宙船に戻って行った。アンコールの「Leave The Door Open」でブルーノとアンダーソンがステージに再登場すると、公演の最後を飾る大量の紙吹雪が降り注ぎ、二人は別れの挨拶をした。


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