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例年、年明けのチャートの動きには、NHK紅白歌合戦の影響がダイレクトに出るので、注目している。今回、最も大きな動きとなったのが、藤井 風の「きらり」だ。実際、彼の出演に関して非常に評判が高く、ネット上でも話題になっていた。それを反映してか、2022年1月5日公開のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”では9位、翌週の1月12日公開分では7位と上昇を続けている(【表1】)。12月29日分が37位だったことを思えば、かなりの大躍進である。
最も大きな反応を見せたのはTwitterだ。それまでは圏外だったのが、1月5日分では一気に39位に急上昇。年末年始のトピックが多い時期にここまで伸びるのはさすが。しかし、翌週1月12日分では99位へと急降下。あくまでも一時の話題性の指標なので仕方がないだろう。一方、ダウンロード数はさらに大きな反響を見せている。12月29日分では70位だったのが、1月5日分で一気に7位へと上り詰めた。しかも翌1月12日分では5位へとさらにポイントを伸ばしている。ダウンロードはストリーミングと違って、一度クリックしたらそれまでだ。ということは、新しいリスナーがこれだけ増えたということの指標にもなる。
他に反応が大きかったのが、動画再生回数で、12月29日分から54位、26位、15位と急上昇している。こちらはダウンロードまではいかないグレーユーザーの反応といったところだろうか。ストリーミングに関しては、もともと根強く横ばい状態だったのでそれほど目立たないが、同じく12月29日分から27位、16位、7位とこちらも右肩上がりで伸び続けている。ラジオのオンエア回数も年末年始での需要が高かったため相当大きな動きをしているし、まだそれほど目立たないがカラオケの歌唱数のポイントも上がり始めている。
このような動きを見る限り、藤井 風の紅白出場は大きなインパクトを持って好意的に迎えられたといえるだろう。すでにブレイクしているとはいえ、さらなる広い層へアピールできたはずだ。彼にとって大きなステップアップになったのは確実だろう。視聴率の低迷で紅白歌合戦の是非が問われているようだが、藤井 風のような才能あるアーティストをさらに大きく成長させる手助けができたと思えば、やはり音楽業界にとって、紅白がなくてはならない存在であることは間違いない。
Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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