JUVENILE、大人気コスプレイヤー&歌手・Liyuuとの新曲配信記念インタビュー公開「全ジャンルのリスナーに音楽を発信したい」

2021年6月25日 / 19:00

 「From Tokyo To The World」を掲げ、RADIO FISH「PERFECT HUMAN」など手掛けてきた楽曲群のYouTube総再生数は1億回以上。独自のCity Musicを発信し続けるDJ/アーティスト/音楽プロデューサーのJUVENILEが、6月18日に大人気コスプレイヤーで歌手としても人気沸騰中のLiyuuをフィーチャリングした新曲『ミラールージュ feat.Liyuu』を配信リリース。このタイミングで自身の音楽人生を語るインタビューに応えてくれた。

 昨年末リリースの自身初セッションアルバム『INTERWEAVE』で“音楽愛と人間愛溢れるエレクトロミュージック”を多種多様なアーティストと表現し、その先の展開にも注目が集まっていたJUVENILE。このインタビューでは、音楽制作に目覚めたきっかけからデビューに至るまでの物語、そして『INTERWEAVE』で決定付けた方向性や『ミラールージュ feat.Liyuu』から始まる新しいストーリーについても語ってくれているので、ぜひご覧頂きたい。

◎JUVENILE『ミラールージュ feat.Liyuu』配信記念インタビュー

<坂本龍一「energy flow」~YMOとの出逢いから始まった音楽人生>

--こうしてインタビューさせて頂くのは初めてなので、JUVENILEをまだ知らないリスナーにも興味を持ってもらえる内容に出来ればと思っているのですが、デビュー前はどんな音楽ストーリーを歩まれていたんでしょうか?

JUVENILE:小さい頃から近くの音楽教室に通ってずっとクラシックピアノを習っていたんですけど、そのまま小学生に上がって何年か経ったときに坂本龍一さんの「energy flow」がリリースされたんですね。当時、坂本龍一さんは白髪のロマンスグレーで「教授」という愛称にめちゃくちゃ相応しい感じになっていて。で、ピアノを弾けない人が最初に練習する曲って「ねこふんじゃった」じゃないですか。でもその時期は「energy flow」だったんですよ。だから僕も例に漏れず「弾きたい!」と思って友達と音楽室で弾いていたら、小学校の音楽の先生に「坂本龍一が好きならコレ聴いてみなよ」ってカセットテープを渡されたんですね。それがYMOだったんです。

--それがエレクトロミュージックとの出逢いだったんですね。

JUVENILE:それがきっかけで図書館に行ってYMOを調べたんですね。1999年当時ってまだ家にネットがあるかないかぐらいの時代だったから。そこでVHSのライブ映像とか観ながら「めちゃくちゃメイクしていて、髪型も奇抜なテクノカットで、シンセサイザーを何台も重ねて音楽している人たちなんだ」と知るんです。そのちょい前ぐらいからスーパーファミコンとかゲームボーイとかでシンセ系のピコピコした音は耳に入っていたんですけど、それを弾いている人を初めて観て「面白いな」と思って。その当時はZONEとかWhiteberryとかローティーンのバンドが流行っていたので、自分もバンドをやりたかったんですけど、小学生の10歳ぐらいのコミュニティだとメンバーが集まらないんですよ。

--まだ楽器を持っている人も少ないですもんね。

JUVENILE:なので、その頃にちょうどQY100っていうゲームボーイをでっかくしたようなシーケンサーが登場するんですけど、それを親に買ってもらったんです。それでいろんな曲を耳コピしながら、今だとドラッグストアや100均ショップで流れているようなJ-POPのショボいカバーをひとりで作ったりして。そのときにMIDIと「アレンジとはどうなっているのか」みたいなことを学んだんです。小学生って時間があるので、途轍もないトライ&エラーを繰り返すことができたんですよね。で、中学生に上がると、仲良かった同級生が突然まゆ毛を剃り出したり、自転車のハンドルを曲げたりし始めるんですけど(笑)そいつらが「ヒップホップが格好良い」みたいなことを言い出すんですよ。Dragon Ash feat ACO, Zeebra「Grateful Days」とかキングギドラ「公開処刑」とかみんな聴いていたので。で、友達の兄貴が「ラップやる」っていうことで渋谷VUENOSの昼イベとか観に行ったりして。

--それでヒップホップにも傾倒していくんですね。

JUVENILE:その頃のヒップホップってウェッサイなんですよね。その前だと、ニューヨーク系のNASとかジェイ・Zとかレコードを切ってピッチ変えてそこにビート打ち込むヒップホップが主流だったんですけど、西海岸系のギャングスタ・ラップとかシンセで組むウェッサイが日本では主流になっていった時代だったんです。だから僕からしたらちょうど良かったんですよ。それでシーケンサーとかMPCとかでヒップホップの音も作るようになって。ただ、ウェッサイは日本では流行っていたんですけど、本国ではもう廃れていたんです。マイアミとか南のほうに行っていて、ビートの感じとかも違っていて。本場を掘り出したら「あれ? あんまり好きなヒップホップじゃないな」と思って、逆に昔のヒップホップを掘るようになるんですけど、それと同時にCAPSULEを知るんです。

<道なき道を切り拓いたJUVENILEデビューまでの物語>

--中田ヤスタカの音に触れるわけですね。

JUVENILE:それが高校生のときなんですけど、サンレコ(サウンド&レコーディング・マガジン)とか読むと、中田さんはレコーディングからミックスからアレンジからひとりで全部やっていると。しかもパソコン1台で。まだ僕はハードシンセとMPCで音楽を作っていたんですけど、そこで「パソコン1台で、ソフトシンセで全部出来る」ということを知るんです。で、大学に入るぐらいのタイミングでそのスタイルに変えるんですけど、そこで「表に出たい」と思うようになるんですね。それまでは部屋の中で音楽を作るだけで終わっていたので。ただ、ラップも得意じゃないし、歌もそんなに得意じゃないし、何でライブをしようか考えたときに「高校2年生ぐらいに知ったトークボックスをやって現場に出て行こう」と。でもここでまたひとつ問題があって、トークボックスのライブをする場所がなかったんですよ。

--では、どうしたんですか?

JUVENILE:大学の友達がダンスサークルに入っていたんですけど、その公演を観に行ったら、ロボットダンスみたいな動きをするポップダンスというジャンルがあるんですけど、トークボックスの曲を使いながら踊っていて。動きがロボットっぽいから声がロボットっぽいトークボックスと親和性があったからだと思うんですけど、「あ、ここに需要がある。ダンス系のイベントの箸休めにライブを入れさせてもらえばいいんだ」と思って、そっち方面に営業をかけるようになるんです。で、その当時は飛び道具系の奴らがそういうイベントをドサ回りしていて、実はヒカキンくんと同じイベントに結構出ていたんですよ。僕はトークボックスをやっていて、彼はヒューマンビートボックスを当時やっていたから。そのダンス界隈のイベントによく出ていたことがきっかけで、オリエンタルラジオのあっちゃんの弟のFISHBOYさんとも知り合うんですよね。

--その流れで、RADIO FISH「PERFECT HUMAN」も手掛けることになると。

JUVENILE:そのあたりからダンス系のトラックを作る仕事が増えていって、音楽でお金が稼げるようになっていきましたね。そこからぬるっと音楽が職業になった感じです。で、仲間が欲しいと昔から思っていたんですけど、中高生の頃はみんなやっぱりバンド系だったし、なかなか自分と合う奴がいなかったんです。そんな中で初めて「コイツと一緒にやりたい」と思った相手がダンサーとして活躍していた、24時間テレビのダンス甲子園で2年連続優勝したMad Skills StylerのRYUICHIだったんですよ。地元が一緒なんですけど、彼から「このままプロダンサーになってもバックダンサーかインストラクターしかない、それはやりたいことじゃない。ダンスもやりたいけど、自分は元々音楽もやりたかった」という話を聞いたので、「じゃあ、一緒にやろうか」とOOPARTZというエレクトロユニットを結成したんです。

--初めての相方が出来たわけですね。

JUVENILE:そのOOPARTZが始まってから「サポートをしてくれる人がほしいな」と思って。そしたらRYUICHIが今マネージメントしてくれているスタッフと繋がりがあったので、こちらからモーションをかけたら面白がってくれてホリプロインターナショナルのお世話になることになって、今に至る感じです。

<ジャンルを絞らない覚悟から生まれたアルバム『INTERWEAVE』>

--昨年末にリリースした初のセッションアルバム『INTERWEAVE』は、今お話頂いたJUVENILEの音楽人生が詰まった作品であり、その人間性やキャラクターまでをも決定付ける名刺代わりのアルバムだったと感じているのですが、実際はどのような意味合いや想いを込めて制作されたんでしょうか?

JUVENILE:OOPARTZが活動休止になるタイミングでもあって、実は迷っていたんですよね。大きい仕事というかメジャーな案件を頂くのってアイドルとかアニソンとかサブカル系が多くて。で、自分にはヒップホップのグラウンドがある。でも世間にバーン!と知り渡った楽曲はエレクトロなんですよ。だから「どれを打ち出していくべきなんだろうな。ひとつに絞って集中したほうがいいのかな?」と悩んだんです。「僕はアニソンに強い人です」と言うのか「バキバキの現場のエレクトロの人です」と言うのか「日の当たらないアングラのヒップホップの人です」と言うのか……2020年の冒頭にコロナ禍になって何にもしなくていい時間があったんで、いろいろ考えたんですよね。

--たしかに、何かひとつのジャンルに絞ったほうが世間からは「○○の人」と分かり易く捉えてもらえますからね。

JUVENILE:ただ、その結果「どうすれば一番後悔しないか」という発想に辿り着いて、例えばヒップホップの道に進んだときに「やっぱりアニソンもやりたいんだよな。『ヒプノシスマイク』やりたいんだよな」とか「アイドルの曲も書きたいんだよな」とか「エレクトロでULTRA界隈のイベントにも出たいんだよな」とか思うんだったら、例え全部が中途半端に終わっちゃったとしても、やりたいことを全部やってしまったほうが後悔は少ないなと思ったんです。で、自分って結構強欲なんだなとも思ったんですけど(笑)何かひとつスマートにこなすより全員に好かれたいし、全部やってしまおうと。だから今もまだ苦しくはあるんですよ。たぶん世間からしたら「何の人なんだろう?」って感じだろうし。でも自分の中で折り合いはついたんで。全部やると決めたんで、それをまずやってやろうと思って取り掛かったアルバムが『INTERWEAVE』で、いろんなジャンルの人といろんな曲を作らせて頂きました。

--その「やりたいことは全部やってしまえ」「好きなモノはすべて発信していきたい」という純粋な発想に共感しましたし、あらゆるジャンルを織り交ぜて大衆に届けていく音楽こそがポップミュージックだと思うので、そういう意味では物凄く純度の高いアルバムなんですよね。

JUVENILE:そういうアルバムにしないと「いつか後悔するだろうな」と思ったんですよね。何かを切り捨てたときにずっと後ろ髪を引かれるんじゃないかなって。何かのジャンルに特化するのって簡単なんですよ。その界隈に溶け込む努力をすればいいだけなので。ヒップホップなら本物のヒップホップの人たちを絡めばいいし、戦略的に考えればそういうことをすればいいんですけど、僕がやりたいことはソレじゃなかった。ゴリゴリの首までタトゥーが入っているラッパーとも、フェスを賑わしている☆Taku Takahashi(m-flo/block fm)さんやTeddyLoidくんみたいな人たちとも、福山潤さんみたいなアニメや声優界隈の方とも一緒に音楽を作っていきたいし、すべてのジャンルのリスナーに対して音楽を発信していきたいんです。

--それこそJUVENILEらしさなんだろうなと『INTERWEAVE』で感じました。m-floのlovesシリーズじゃないですけど、ジャンルの壁を越えて「こういう音楽があるよ、こういうアーティストがいるんだよ」と自ら作り上げる最善の音楽アプローチでレコメンドしていく。そして最後の曲「Flashlight」で「この街で共に戦う仲間たちに送る」メッセージする姿勢も含めて「これがJUVENILEなんだ!」という証明のようにも感じられて……

JUVENILE:あの最後の曲は、実は当時のマネージャーから「自分の想いは何も言わないの?」って言われて。それまでそんなこと全く考えてもいなかったんです。それは自分の言いたいことがあんまりなかったからなんですよ。いろんな人をフィーチャーするのは好きなんですけど、自分の想いみたいなモノを綴ろうとするとなかなか筆が進まなくて。でも「そろそろお願いします!」と催促されて(笑)いざ書き出してみたら「意外と言いたいことあったわ」と気付いて。なので、あれは当時のマネージャーのおかげなんですよ。

<大人気コスプレイヤー・Liyuuとの新曲>

--そんな『INTERWEAVE』の次なるアプローチとして、2021年の新曲「ミラールージュ feat.Liyuu」がここに完成しました。こちらはどんなモードで制作していった楽曲なんでしょう?

JUVENILE:『INTERWEAVE』は本当にいろんなジャンルの方々(☆Taku Takahashi(m-flo/block fm)、おかもとえみ(フレンズ)、TeddyLoid、May’n、藤森慎吾(オリエンタルラジオ/RADIO FISH)、中尾明慶、Teresa、福山潤、百合香、claquepot、sheidA)と制作させてもらったんですけど、全体的にエレクトロのイメージが強いんですよ。なので、今度はヒップホップのイメージを前に出していこうと思いまして、その第一弾の新曲が今回リリースする『ミラールージュ feat.Liyuu』なんです。最初からゴリゴリのヒップホップだと落差があり過ぎるので、敢えてコスプレイヤーやアニソンシンガーとして活躍している女の子・Liyuuに合う楽曲を打ち出すことにしたんですけど、第二弾はゴリゴリのヒップホップになる予定です(笑)。

--Liyuuさんをフィーチャーしたいと思ったのは?

JUVENILE:Liyuuには過去に何曲か楽曲提供させてもらっているんですけど、彼女はSNSのフォロワー数十万人の途轍もない人気者なので、ひとつのプロジェクトを動かすのに物凄い数の大人が動く感じなんですよね。いろんなことが絡んでくるので、音楽はその大きいプロジェクトの中のピースのひとつだったりする。だから突拍子もないことはなかなかしづらい。それは当然だと思うんですけど、でも僕メインのfeat.Liyuuであれば何でもできるわけじゃないですか。で、彼女に今のところ求められているイメージというのは元気いっぱいな感じなので、今回はちょっと気だるく影のあるローテンポな感じで歌わせてみたいと思ったんですよね。それで「やってみませんか?」と提案させて頂きました。

--そこが面白いところだと思うんですよね。すでに確立されているパブリックイメージがある中で、敢えてその真逆のイメージの楽曲を歌ってもらう。しかも『ミラールージュ feat.Liyuu』はベッドルームミュージックじゃないですか。夜、寝る前にひとりでいろいろ考えている素の女の子を表現していて、それもおそらく今までのLiyuuさんにはなかったアプローチだと思うんですけど、しっかりと新しい一面を魅力的に描いてみせている。

JUVENILE:彼女の王道が確立されているからこそ出来ることなんですけどね。ただ、実際に会うとすごく落ち着いている女の子なんですよ。キャピキャピしている感じではなくて逆に遠慮しいのイメージ。プロ意識は物凄く高いんですけど、マジメで良い子だから「私はこうじゃなきゃイヤだ!」みたいなエゴイスティックな感じではないんです。そういう意味では『ミラールージュ feat.Liyuu』はわりと素に近い彼女を表現できているんじゃないかなと思いますね。Liyuuと打ち合わせをしたときに「どういうことを歌いたいか?」と聞いたら「普段の自分は独り言が多い。自分とよく会話している」と。その話を今回作詞してくれたおかもとえみさんに伝えたら、彼女には「HIT NUMBER」というベッドルームミュージックに近い夜の感じの楽曲があって、僕は「HIT NUMBER 2」みたいな作品が作りたかったんですけど、そのイメージとも相まって等身大のLiyuuらしい曲が出来たのかなって。

--では、最後に、JUVENILEの今後の展開に注目してほしいリスナーの皆さんへメッセージをお願いします。

JUVENILE:音楽活動の面で、引き続きいろんなジャンルの方々に知ってもらえるような活動をしていきますので、注目していてくれたら嬉しいです。それと、明日はきっと良くなると信じて。希望を持ちましょう。

Interviewe:平賀哲雄

◎新曲「ミラールージュ feat. Liyuu」
https://lnk.to/Mirror_Rouge


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