ちゃんみな、 自身初となる東名阪ワンマンライブを完走!日本武道館公演の開催も決定

2021年6月15日 / 22:00

『THE PRINCES PROJECT 5』2021年5月25日@中野サンプラザ 昼公演(Photo by 井手康郎) (okmusic UP's)

 ちゃんみなが6月15日、大阪オリックス劇場で有観客ライブを行い、5月から始まった全国ツアー『THE PRINCES PROJECT 5』のファイナルを迎えた。本公演は昼の部と夜の部にわかれており、ストーリー仕立てで構成されたもの。本稿では、5月25日に中野サンプラザで行われた東京公演の模様をレポートする。

【昼公演】

 定刻になり、客電が落ちると、陽気な男性の声が案内役としてホールに響き渡る。それによると、どうやらこのライブは日本一のサーカス団によるショーで、ちゃんみなはその看板娘、という設定らしい。ホールに『Angel』のフレーズがサンプリングされたファンファーレが流れ、幕が開くと、2段構成のステージに男女4人ずつのダンサーと4人のバンドメンバーがスタンバイ。客席から大きな拍手が起き、ちゃんみなは天井から吊るされたエアリアルフープで下降しながら登場。そのまま『Angel』でライブはスタートした。

 ちゃんみなのライブは音源に大幅なアレンジが加えられることが多いが、今回もその方向性は継続されていた。2曲目『FXXKER』では、サーカスの曲としてよく知られるフチークの『剣闘士の入場』がサンプリングされるなど大胆にアレンジされ、非日常感を演出。ステージからはレーザーも放たれ、いきなりの迫力ある演出にオーディエンスはピンクのペンライトを振って応える。曲の冒頭では女性ダンサーがちゃんみなにステッキとハットを手渡すシーンがあったが、これはおそらく、ちゃんみながこのサーカス団のリーダーであることを示していたのだろう。このように、小さな動作や小道具のひとつひとつによってストーリー展開が示されていて、まったく目を離すことができないライブになった。

 続いて『Light It Up』ではシーンが変わり、衣装ラックと女優ライト付きの鏡台が用意される。椅子に座っているのはちゃんみなだけで、ダンサーたちは彼女に衣装を合わせようとしたり、クマのぬいぐるみを渡そうとしたりする。だが彼女はそれらの衣装を跳ね除け、ぬいぐるみは投げ返してしまう。どうやらこのサーカス団の看板娘は、仲間を顎で使う横柄な人物であるようだ。しかし、花束を持った男性が登場すると彼女の態度は一変。曲は『note-book』に変わり、花束の男性に対して夢見るような視線を投げかける。

 またもやシーンは変わり、今度は2人がけソファとベッドが用意され、ちゃんみなとさっきの男性ふたりきりのシチュエーションに。楽曲は『Mornig mood』。ここまで来れば、舞台がステージ→楽屋→自宅へと移動していたことがわかるだろう。ステージ後に恋人が楽屋を訪ねてきて、そのまま自宅へ2人で帰った、というストーリーなわけだ。

 一方その頃、楽屋には新たな女性が登場。どうやらサーカス団に入団したニューカマーのようだが、団員たちは彼女のきらびやかな美しさに魅了される。堂々と振舞う彼女は当然のようにハットとステッキを手に取る。恋人との甘いひと時を過ごしたちゃんみなが楽屋に戻ると、ハットとステッキを身につけた新しいライバルと対面し、『Very Nice To Meet You』を歌いながら、闘うように踊り合う。

 場面が転換し、再び楽屋のシーンへ。曲は『ボイスメモNo. 5』。鏡台の前でメイクをしながら、ダンサーたちに衣装をあてられ、楽屋を訪ねた恋人から花束を受け取る。彼女を中心に回る楽屋を祝福するように、2段ステージの2階ではコーラス隊が歌う。ところがこのコーラス隊、なぜかあまり覇気がないのだ。みすぼらしい鼠色の衣装からわかるのは、明らかに下働きさせられているキャラクターだということ。

 そしてこのコーラス隊の端に、ちゃんみなが紛れ込んでいたのだった。では、ステージの中央にいるのは? ちゃんみなではなく、新たに入団したライバルだ。ちゃんみなは主役の座をライバルに奪われてしまい、恋人までも奪われてしまったのだった。

 失意の中、ひとりで『Call』を歌うちゃんみなに、仲間たちが声をかけにやって来る。曲は『GIRLS』。だがその仲間たちも、ひとり、またひとりとライバルになびいていき、ちゃんみなはひとりぼっちになってしまう。彼女の地位は、サーカス団の清掃員にも無視されるほどまでに落ちてしまった。

 みじめさは怒りに変わり、その身を蝕む。『GREEN LIGHT』を荒々しく歌い、『ルーシー』へ繋ぐと、4人のピエロがちゃんみなにしのびよる。ピエロたちは彼女に甘い言葉を囁き、宝箱を渡す。中には緑の薬が入っている。この薬を飲めば楽になるとでもいうように、ちゃんみなはそれを一気に飲み干す。

舞台が暗転し、音が消えたあと、ちゃんみなの激しい吐息と心臓の音だけが静かなホールに響く。

 やがて『Needy』がはじまる。ステージには薬によるトリップを思わせる幻想的な映像が映される。ちゃんみなは横たわったままオーディエンスに向けて脚を広げ、淫靡で扇情的に歌う。そんな彼女の身体をいくつもの手が囲み、彼女の身体はまどろみの中に沈んでいく。長い、夢見るような『Needy』のアウトロ。その中に不協和音が混じり、不協和音は次第に無視できないほど大きくなり、やがてそれが空間を支配する。

 『Rainy Friday』『I cannot go back to you』が始まる頃、本公演の雰囲気は前半とはまったく異なっている。ステージにはバーカウンターと黒服の男たち。ちゃんみなはカウンターで飲み潰れている。女たちとストリップをしながら男にチップをもらい、淫らに絡み合うが、曲が終わる頃には男たちに捨てられている。転落し孤独になったちゃんみなが過去の栄光にすがるように歌う『Princess』は切なく、『美人』は地獄からの叫びのようだ。そしてラスト、天井から降りてきたフープでエアリアルをしながら『ダリア』を歌い、逆さ吊りにされたまま幕が閉じて、本編は終わった。

 あっという間の本編に、声も出せないオーディエンスは何が起こったかわからないといった様子。ただ空調の音だけが静かに鳴り続ける奇妙な暗闇が数分続いたあと、明かりがつき、幕の中からちゃんみなが再登場。客席から大きな拍手が起きる。

 「みんなのことを毎日考えていました。人が来ないことを覚悟していたので、こんなにも多くのお顔を見れて幸せです。ライブがいくつも中止や延期になって、みなさんにはたくさん寂しい思いをさせてしまったけれど、そのぶんすごく気合を入れてライブをつくりました。ルールを守って最後まで見てくれてありがとう」

この日初めてのMCらしいMCに何度も拍手が起きる。

 「最後はみんなと楽しみたい。心の中で一緒に歌ってください」とオーディエンスを立たせ、アンコールは『Never Grow Up』と『CHOCOLATE』。さっきまでじっとステージに見入っていたオーディエンスはペンライトを振ったり、その場で踊ったりして、この2曲のあいだだけは、いつものライブと同じような雰囲気が流れていた。

 そうしてちゃんみなは「みんなまた会う日まで。愛してます、心から。ありがとう」と言葉を残して退出。こうして昼公演は終わった。

【夜公演】

 夜公演は、まち外れの小さなバーで働くある少女に起きた出来事という設定で始まった。ファンファーレが鳴り響き、幕が開くと、スーツ姿のダンサーとバンドがスタンバイ。ちゃんみなはエアリアルフープで宙を舞いながら登場。『Angel』『I’m a Pop』を歌い、ダンサーたちと息の合ったダンスを披露する。女王のようにふるまいながらも、その衣装からは、彼女がストリッパーとして生きていることがわかる。『Rainy Friday』『Like This』と続け、客から投げ入れられたチップを拾いつつ、ひとり残されたステージで『In The Flames』を歌い、バーカウンターで酔い潰れる。自信に満ちた昼公演とうってかわって、寂しげで悲しげな、寂寥感の伝わるステージ。

 そんな彼女のもとにピエロたちがやって来る。彼らは酔い潰れたちゃんみなを起こそうと、コミカルな動きで彼女を運び出す。連れてこられたのは、かつて彼女が所属していたサーカス団の楽屋。『ボイスメモ No. 5』『Call』を歌いながら、サーカス団員たちが踊りをレクチャーしていく。しかしバーでのストリップ生活がすっかり染みついてしまったせいか、なかなかうまく踊ることができない。昔の衣装を着せてもらったりするうちに、少しずつ踊り方を思い出していく。

 そしてドラムロールが流れ、サーカスが開演。ステージにいるのはちゃんみなだ。ピエロたちと一緒に『LADY』を歌うと、ステージに光があふれ、ライブの空気が変わる。更に続けて、ハッピーな雰囲気で『CHOCOLATE』を歌う。客席ではピンクのペンライトが揺れる。

 だが、なかには彼女を蹴落としたい人物もいる。かつてのライバルだ。『ルーシー』が始まるとライバル軍団が登場。全員が手鏡をちゃんみなに向かって掲げる。まるで「あんたの醜さを見てみなさい」とでもいうように。そして『Needy』が始まると、鏡台には青色の薬がある。ライバルは薬を飲みながら自分の身体を誇らしげにメジャーで測っている。そんなライバルの姿を見て、ちゃんみなはその薬を飲んでしまいたいと思う。でも飲まずに踏みとどまる。それでも幻覚のような何本もの手が誘惑してくる。葛藤しながらも、彼女は誘惑に負けない。昼公演では不協和音が支配していた『Needy』のアウトロは、今度は美しいメロディを響かせる。その代わり、薬を飲んでボロボロになっていたのはライバルの方だった。

 サーカスでのステージを終えて自宅に戻ったちゃんみなのもとにサーカス団のピエロのうち1人が訪れ、ふたりで『Morning mood』を踊る。このピエロは実は昼公演の彼と同一人物であった。そして前と同じようにサーカス団のステージに上がる日々がはじまる。だが一度地獄を見た彼女の行動は以前とは少し違う。ひとまわり成長し、腹を決めた大人の女性の姿がそこにある。「本当は嘘ついてた」という『note-book』の歌詞は後悔と反省のあとの素直な語りにも取れるが、一方でちゃんみなの表情にはどこか諦めを感じるし、昼公演で切なく響いた『Princess』は復活した女の逆襲の曲に聴こえる。ダイナミックなギターとドラムのアレンジが勢いを倍増させたあと、ちゃんみなは飲むのを躊躇っていた薬を一息に飲む。

 そして最後のドラムロール。大胆なピアノアレンジを加えた『Never Grow Up』はこれまでにないほど美しい音色を響かせ、客席からの拍手はこの日いちばん大きくなり、オーディエンスの心の声が最高潮に達したところで『美人』。

 ここでサーカス団のショーは終わり、エピローグ的に『ダリア』がはじまる。2Fステージにひとりであがるちゃんみなは、フープにまたがってエアリアルをしながら孤独に歌う。一方地上では、ショーを終えた団員たちが日常に戻り、それぞれ帰路に着こうとしている。ひとつのステージの上で、もっとも緊張感あるパフォーマンスと、もっとも緊張感のない日常のシーンが同時に行われている光景はやや異様だ。その異様さは終盤にピークに達する。エアリアルを終えたちゃんみなが空中からステージに戻り、音楽が最後の一音に達する時、すべての団員たちが目線をちゃんみなに向ける、するとちゃんみなはまるで自死を想起させるかのようにステージから忽然と姿を消す。団員たちは次の瞬間、まるで何事もなかったかというように、今までのことを全部忘れてしまったかのように、それぞれの日常に戻っていくーー。こうして夜公演の本編は終わった。

 再びしばらくの無音と暗闇が続いたあと、明かりが灯り、幕間からちゃんみなが登場。大きな拍手が起きる。オーディエンスを立たせ、アンコールは2回目の『Never Grow Up』。大きな拍手に包まれる中、「私にとってひとつの目標であり、きっかけであり、門出の印でもある、ここにいるすべての人をずっと連れて行きたかった場所へ行けることになりました」と、今秋10月15日に東京武道館での初となる単独公演『THE PRINCESS PROJECT – FINAL -』が開催されることを涙ながらに発表。これはダンサーたちも初めて聞かされる内容だったようで、デビューから活動をともにしてきた彼らの目にも涙が浮かんでいた。ラストは『SAD SONG』。感極まって歌に詰まるちゃんみなにフロアから大きな拍手が送られ、大きな感動のなかで『THE PRINCES PROJECT 5』は幕を閉じた。

 さて、本公演は、ストーリー仕立ての2部構成によるライブであった。元来、ちゃんみなのライブにはなんらかの物語性が込められていることが多く、昨夏にYouTubeで配信されたMV風オンラインライブなどではその傾向が顕著になってきていたが、今回はその路線をさらに推し進めた挑戦的な取り組みだった。と同時に、客席で密になったり声を出したりすることがはばかられる昨今の状況を逆手に取ったアイデアでもあった。

 異なるストーリーを土台に構成されると、同じ曲であっても、オーディエンスが受け取る印象は変わってくる。文脈によって歌詞の意味も違って聞こえる。もちろん、ストーリーなど追わなくとも、彼女の歌と迫力あるバンドの演奏と、美しいダンサーたちの踊りを楽しむだけでライブとしてはじゅうぶん成立している。しかしより集中してステージに目を凝らし、耳を澄ませば、そこには様々な考察が可能になる豊かな物語展開があった。

 演劇や映画、さらには本物のサーカスの要素を取り込んだ本公演は、音楽ライブの可能性をさらに広げた画期的なものだったかもしれない。この路線が今後も続くかどうか現時点ではわからないが、ライブを行うごとに何かを更新し、証明してきたちゃんみなだから、彼女にとって初となる日本武道館単独公演でどのようにオーディエンスを楽しませてくれるのか、期待が高まってしまう。

 なお、日本武道館公演が開催される10月15日の前日は、ちゃんみな23回目の誕生日でもある。なにか大きな感動が待ち構えている気がするのは、筆者だけではないだろう。

文・山田宗太朗/写真・井手康郎

5月25日(水)に開催された東京公演にて、自身初となる日本武道館でのワンマンライブが10月15日(金)に開催されることを発表したちゃんみな。7月1日(木)からファンクラブでのチケット最速先行受付が開始される。常に前進し続けるちゃんみなの動向を、逃さずチェックしてほしい。

<セットリスト>

【昼の部】

1. Angel

2. FXXKER

3. Light It Up

4. note-book

5. Morning mood

6. Very Nice To Meet You

7. ボイスメモ No. 5

8. Call

9. GIRLS

10. GREEN LIGHT

11. ルーシー

12. Needy

13. Rainy Friday

14. I cannot go back to you

15. Princess

16. 美人

17. ダリア

En 1. Never Grow Up

En2. CHOCOLATE

【夜の部】

1. Angel

2. I’m a Pop

3. Rainy Friday

4. Like This

5. In The Flames

6. ボイスメモ No. 5

7. Call

8. LADY

9. CHOCOLATE

10. ルーシー

11. Needy

12. Morning mood

13. note-book

14. Princess

15. Never Grow Up

16. 美人

17. ダリア

En 1. Never Grow Up

En 2. SAD SONG
【THE PRINCESS PROJECT – FINAL -】

10月15日(金) 東京・日本武道館

開場:17:30 開演:18:30

<チケット>

¥7,800(税込)

7月1日(木)より、ちゃんみなファンクラブにてチケット最速先行受付開始!

◎ファンクラブのご入会はこちら

https://sp.chanmina.com/feature/entry


音楽ニュースMUSIC NEWS

ONE N' ONLY、“ヘヴィラテンチューン”「Set a Fire」ダンスパフォーマンスビデオ公開

J-POP2024年4月24日

 ONE N’ ONLYが、楽曲「Set a Fire」のダンスパフォーマンスビデオを公開した。  楽曲「Set a Fire」は、2023年5月にリリースされた2ndアルバム『Departure』の収録曲。プリミティブで野太い … 続きを読む

キタニタツヤ、大森時生/皆口大地ら制作の特番『TXQ FICTION』メイン音楽を担当

J-POP2024年4月24日

 キタニタツヤが、テレビ東京にて放送される新しい特別番組『TXQ FICTION』のメイン音楽を担当する。  2024年4月29日深夜より放送開始となる本番組には、安東弘樹とサーヤ(ラランド)が出演。制作スタッフとして、番組『Aマッソのがん … 続きを読む

【TikTok Weekly Top 20】ILLIT「Magnetic」が初の首位獲得、10位にはandymoriが初登場

J-POP2024年4月24日

 2024年4月24日公開(集計期間:2024年4月15日~4月21日)のTikTok上における楽曲人気を測るチャート“TikTok Weekly Top 20”で、ILLIT「Magnetic」が1位に輝いた。  当週で初の首位獲得となっ … 続きを読む

wacci、松井愛莉が主演「そういう好き」MVで“男女のすれ違い”描く

J-POP2024年4月24日

 wacciが、新曲「そういう好き」を配信リリースし、ミュージックビデオを公開した。  新曲「そういう好き」は、wacciの2024年ラブソング配信リリース第1弾で、好きだった相手との気持ちのズレに悩みながら、都合の良い関係を続けてしまう女 … 続きを読む

GLAY、デビュー30周年記念シングルでJAY(ENHYPEN)とコラボ

J-POP2024年4月24日

 GLAYの新曲「whodunit」が、JAY(ENHYPEN)とのコラボレーション楽曲であることが発表された。  新曲「whodunit」は、2024年5月29日にリリースされるデビュー30周年記念シングルの収録曲。今回のコラボは、GLA … 続きを読む

Willfriends

page top