LUNA SEA・INORANのビルボードライブ東京公演をレポート、「ENDLESS RAIN」のカバーも

2021年3月15日 / 10:58

 ハイライトとなった「ENDLESS RAIN」が演奏されたのは、ライブ中盤のカバー曲を披露するセクションだった。

 やはり普段とは違う“特別なもの”が、3月13日(土)、ビルボードライブ東京の【INORAN 2021 PREMIUM ACOUSTIC LIVE in TOKYO】2ndステージには、たしかに存在した。

 そして、この日、INORANが強い想いを込めてカバーした「ENDLESS RAIN」には、このコロナ渦の中、目まぐるしく変化する様々な状況に対応しながら、コンスタントに2作の新作をリリースし、ライブを続けてきた、彼の音楽への真摯な姿勢が顕著に現れていた。

 INORAN、そして彼が在籍するLUNA SEAと、「ENDLESS RAIN」の作曲者、X JAPANのYOSHIKIとの深い信頼関係は、30年以上にも及ぶ。 INORANがこの日、「ENDLESS RAIN」を演奏することを決意したのは、彼が最近、YOSHIKIに関する音楽ドキュメンタリー映画『Disney MY MUSIC STORY YOSHIKI』を観て、強く心を揺さぶられたことが、大きなきっかけだった。

 『PREMIUM ACOUSTIC LIVE』では、INORAN(vo&g)、葉山拓亮(pf)、Yui(vn)、島津由美(vc)4人による、アコースティック編成のライブで、INORANの歌と曲が持つ様々な要素をたっぷりと堪能できる。

 このライブでは、「Beautiful Now」や「raize」「Long Time Comin」といった、従来のバンド編成の定番曲も披露されたが、長年ファンに愛されてきた人気曲の「千年花」や、葉山の非凡なアレンジセンスが冴える「I Swar」といった、ここでしか聴けない曲たちが、セットリストの核に位置していた。

 今回、再確認したのが、INORANのシンガーソングライターとしての優れた資質である。

 この日の「Beautiful Now」がまさにそうだが、ステージで楽しそうに笑顔でアコースティック・ギターをかき鳴らし、観客に向かい、渾身の力を込めて歌う彼の姿に、シンガーとしてさらなる進化を感じ、より歌が活きるアコースティックなアレンジによって、曲のメロディと歌詞の味わい深い要素が、さらに明確に伝わってくる。

 「千年花」はまさに圧巻で、MCの「今日は皆を音楽の魔法にかけたいと思います」という、言葉通りの迫真なパフォーマンスで、歌詞の“見知らぬ場所で蕾が開いてもそこにあるのは希望でありたい~”というポジティブなメッセージには、彼らしい不思議で独自な音楽の魔力が宿る。

 過去のライブでは、OASISの「Wonderwall」、Mr.Childrenの「車の中で隠れてキスしよう」、福山雅治の「ひまわり」、米津玄師の「Lemon」といった、洋楽、邦楽問わずINORANが“誰が歌ったとしても変わらない素晴らしさがある曲”が選曲され、カバーされてきた。それらは、彼が備える唯一無二なメロディとアレンジセンスにしっかりとリンクし、実際にライブで聴くと、実に興味深い曲ばかりだ。

 そんなカバー曲の中でも、今回の「ENDLESS RAIN」は非常に意外性があるチョイスだったため、曲冒頭のあの有名なピアノ・イントロが流れた時、会場の満員のファンも大いに沸いた。

 ライブ終演後、INORANは「このライブで自分が選ぶ曲は、決していわゆるドシングルチューンではないかもしれない。でもね、どれも本当に強い生命力というか、パワーが宿っているんだ。「ENDLESS RAIN」は、当然そう誰もが知っている、言葉抜きに“もの凄い曲”。YOSHIKIさんのドキュメンタリーを観て、この曲に自然と導かれた。改めてこの曲をみんな愛していてね、それも限りない愛を感じて。。自分らしくこの『PREMIUM ACOUSTIC LIVE』のステージで歌いたいと思った。その次の瞬間にYOSHIKIさんに連絡してたんだ
。満ち足りた表情で想いを語ってくれた。

 葉山拓亮の奏でる、オリジナルを忠実に再現した「ENDLESS RAIN」のイントロを聴きながら、INORANはありったけの感情を込めながら、丁寧にメロディを歌い上げていく。中盤のギターソロ・パートは、チェロとヴァイオリンでメロディを豊かなハーモニーを交え再現されていき、ラストでINORANのエモーショナルな歌声と、オーディエンスの美しいハミングがひとつになっていく。その感動的な光景を目にした時、なぜ彼がこの「ENDLESS RAIN」を選んだのか、ようやく理解できた気がした。『PREMIUM ACOUSTIC LIVE』は、INORANにとって、自身の飾らない音楽の素な部分を、自然体で、より自由に発揮できる“特別な場所”なのだ。

 終盤へと向かう中、「Long Time Comin」によって会場の一体感はさらに増していき、ラストの「Thank
You」で、次第にそれは大きなピークへと達し、ライブは終わりを迎えた。

 コロナ以前は当たり前だった、演奏を称える大歓声は今もう聞こえない…。

 しかし、その代わりに、いつまでも力強く会場に鳴り響く、観客1人1人の心のこもった大きな拍手が、このライブがとても充実したものであったことを、何よりも証明していた。

 そんな光景を嬉しそうに眺めながら、INORANは「今日は来てくれてどうもありがとう。本当に楽しい時間でした。また、この4人でビルボードにまた戻ってきます。少し先だけど、5月4日と5月5日、ビルボードライブ横浜で、このメンバーでのライブが決まりました。1ライブ、1ライブ、本当に素晴らしい経験をしています。またこのビルボードで会いましょう!」と、笑顔で観客に語りかけ、ゆっくりとステージを後にした。

 これからも、INORANは精力的に、そして着実に自身の音楽活動を続けていく。3月20日にストリーミングライブ配信される『INORAN-VISION3-“Los Cowboys”』は、最新作『Between The World And Me』の世界観がしっかりと表現されたライブになるだろうし、4月7日、4月8日にはビルボードライブ大阪、5月4日、5月5日にはビルボードライブ横浜の『PREMIUM ACOUSTIC LIVE』が待っている。

 彼の音楽性が、今後どのような変化を遂げていくのか? これからも続いていく“その先の世界”に、今からとてもワクワクしている。

Text by 細江高広
Photo by Keiko Tanabe


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