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10月26日付のHot 100では10月14日にリリースされたLiSAの新曲「炎」が圧倒的な強さで首位を獲得した(【表1】)。この曲は「紅蓮華」に続き人気アニメ『鬼滅の刃』絡みのタイアップということもあり、ヒットして当然ともいえるが、それにしてもここまで非の打ちどころない結果になるのはさすがだ。
「炎」はチャート上において、稀にみる優等生だ。というのも、CDセールスとダウンロードで首位、ストリーミングではBTSに及ばなかったがそれでも2位を記録。ラジオのオンエア回数もTwitterのつぶやき数も1位を獲得している。また、ルックアップ(PCによるCD読取数)でも2位、動画再生数は3位だ。カラオケを除くすべてのカテゴリが3位以内というのは、大ヒットといわれている他のアーティストの楽曲でもほぼ見当たらない。
しかし、このLiSAの快進撃は今に始まったことでは無い。今週になって再び4位まで上昇してきた「紅蓮華」の動きを見れば明らかだ(【表2】)。リリース当初こそカテゴリごとのばらつきはあったが、途中からは「炎」と同じように優等生的な動きをしてきた。すでにリリースから1年以上たっているにもかかわらず、今週のCDセールスが7位というのも驚異的だし、カラオケを含むすべてのカテゴリが15位以内という強さ。アニメ関連曲はCDは売れるがストリーミングでは配信していない、もしくは配信があっても反応薄ということが多く、その観点でも別格。さらには横並びの数々の大ヒット曲と比べてもバランスの良さは見事としか言いようがないのだ。
なお「炎」は「紅蓮華」と違い、とても落ち着いたミディアムバラードである。よく似た楽曲が同じような売り方をするのであればまだわかるが、まったく違うタイプの曲調で同じような大ヒットとなるのは、『鬼滅の刃』効果があるとはいえ、やはりLiSAのアーティスト・パワーあってこそ。今最強のアーティストは誰かと問われれば、迷うことなくLiSAの名前を挙げるべきである。Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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