【INTERVIEW:ロイ-RöE-】ちょっと危ない時期の女の子を書きたくて

2020年10月16日 / 12:00

ロイ-RöE- (okmusic UP's)

動画配信サービス「GYAO」、ストリーミングサービス「AWA」のフォローアップのもと、日本工学院専門学校の学生がアーティストインタビューを行う、ネクストブレイクアーティストをプッシュするコラボレーション企画『G-NEXT』。
今回の選出アーティストは、9月30日に両A面Digital Single「少女B*/チャイナアドバイス」をリリースした“ロイ-RöE-”。中毒性のあるクリエイティブで異彩を放ちSNSを中心に注目を集めている新時代のシンガーソングライター。斬新で個性的なメロディー、独特な色の世界観を持つ彼女にとっての音楽とは何なのか、制作への想いを訊いた。
しょうもない、 ちっちゃい世界にいるのは書きたくない

ーー早速なのですが、YouTubeに楽曲制作風景の動画上げられていますよね。いつもあの場所で制作しているのでしょうか?

「そうですね。ずっとあそこにいますね。だからあの周りは少しでもストレスを溜めないように、ドラゴンボールのフィギアとか目に見えるところに好きなものをいっぱい置いています」

ーー居心地が良くて色々と感化されそうですね。普段、アート作品やエンターテイメントからインスピレーションを受けることはありますか?

「結構ありますね。漫画とかは非現実的なものが好きで、少年漫画で手からビームが出るとか、宇宙を敵に回して戦うとか。そういう自分じゃ考えられないことや成し得ないことを見てると、しょうもない、ちっちゃい世界にいるようものは書きたくないなって思いますね。だから、自分には無い少年の心を補うみたいなことはありますね」

ーーこれまでに影響を受けた人はいますか?

「ダウンタウンの浜ちゃんが小学校の時からずっと好きです。浜田さんって芸人だけど、俳優、歌手、モデルとか何やっても“浜ちゃん”じゃないですか。そういう軸のブレない人、アーティストになりたい。女版浜ちゃんみたいな。自分も音楽だけじゃなくて服とかイラストも好きなので、色々やりたい。何やっても器用貧乏にならない、“全部、その人”で完結できるような人になりたいです」

ーーすごい意外な人でした(笑)。“楽曲に遊び心があるアーティストに憧れる”とおっしゃってるのを何かで拝見したんですが、ご自身の楽曲で意識的に入れている遊び心はありますか?

「いつもおもちゃみたいに楽器を鳴らしていて。アコギもただ弾くだけじゃなくて効果音っぽく入れたりとか、サントラみたいな感覚でアレンジしてます。おもちゃ箱みたいな感じは、菅野よう子さんから凄い影響を受けてますね」

ーー多様な曲調の作品がありますが、楽曲ごとに歌い方や制作方法を変えるなど差別化したりするのでしょうか?

「“同じのは二度と作れない”っていうのはあります。コロコロ変わっちゃうから、心が。心に周期があって、その時のメンタル面、自分が好きなものとか食べ物、どんな人と関わっているとかで凄く変わってきます。だから、無意識ですね。逆に前みたいにしようと意識してもできないんですよね」

ーーそうなんですね。ドラマや映画のタイアップ曲になっていますが、作品を通して自分の楽曲が伝わるという形になりますよね。そういった“何かを通しての伝わり方”ということについてはどう思われますか?

「普段からドラマや映画で流れてたらいいなとか勝手に妄想しながら作っているので、自然なことなんじゃないかなと思う。そういうきっかけは多ければ多いほど良いし、ありがたいです。その作品のためだけに書く、広告として書く音楽は好きです。限られた中、縛られた中で自由にするみたいな、そういうのがすごく楽しい。自由すぎたら逆に何していいか分からなくてがんじがらめになっちゃうから」

ーータイアップによっての反響ってどんな感じでしたか?

「ずっと二階堂ふみさんが好きって言っていたんです。だから『ストロベリーナイト・サーガ』の時には、みんなから“好きって言ってたよね”みたいな感じでたくさん言われて、めちゃくちゃ嬉しかったです。決まった時、普段はテンション低いんだけど、叫びましたね。5オクターブぐらい上で叫んだ(笑)」
ーー(笑)。話変わって、TikTokで連続投稿したカバー企画についてお聞きしたいんですが、これを始めようと思ったきっかけは?

「コロナの自粛期間でレコーディングもできない、家からも出られない状況が続いてた時に、何か発信したいなと思って。で、自分が影響を受けた曲のカバーをリアレジして毎日投稿しようと思ったんですよね」

ーー幅広い世代の曲を選ばれてますが、普段からそういう楽曲を好んで聴いているんですか?

「そうですね。でも意識して古いものを選んでるわけじゃなくて、サブスクとかYouTubeとかでおすすめに出てきたのを聴いたら良かったとかが多い。だから古いっていう自覚もなくて、作って上げてからみんなが“懐かしい”って言っていてやっと気づく感じです。“懐かしいんや”みたいな(笑)。私は逆に今時の曲があんまり詳しくなくて。そういうのもTikTokで知れるから、ありがたいです。新しいのを教えてもらったから、昔の教えてあげるよみたいな、トレードっぽい感じ」

ーーカバー楽曲のアレンジという点で、意識したことはありますか?

「リアレンジする時に原曲を聴きすぎないっていうのは普段から意識しています。元々の良いアレンジに引っ張られたら意味ないので。まず聴かないでやってみて、カバーした後に聞いて違いすぎたら変えるっていう感じですね。でも、菅野よう子さんのは変えたくなさすぎて結構そのままやりました(笑)」

ーー動画の制作も全て自分でやっていて、アレンジより動画を作る方が大変だったようですが、1本制作するのにどれくらいの時間で?

「丸1日は絶対掛かってたかな。アレンジは1日2曲とかいけるんですけど、動画はきついですね、頭より体力の方を使う。イラスト系は好きだからいいんですけど、自分の顔を出して動画撮るのは凄い苦手。楽しい曲の時でも笑えないんですよ。それで時間が掛かりましたね、笑えなくて(笑)」

ーー(笑)。ロイという名に掛けて、61曲もの連続投稿企画を終えて感じたことや自分の楽曲制作への影響は何かありましたか?

「作詞作曲も楽しいんですけど、今はアレンジを極めたいなっていう気持ちが強くなりました。ベースの入れ方とか、ゴダイゴはこうやってギター弾いていたんだとか、普段あんまり聴いてなかったなって思うようなところまで聴いたから、凄い勉強になりましたね」
アンチに対する アンチテーゼみたいなのはあります

ーー今作「少女B *」についてなんですが、この曲はどんな時に降りてきたものでしょうか?

「これは自粛期間中の、1番うっぷん溜まっているときですね。爆発したような感じ。トイレだった気がする(笑)。トイレとかお風呂とか楽で誰にも見られてないひとりきりの状態で思いつくことが多いですね」

ーーこだわりはどんなところですか? また、トラックメーカーのIllicit Tsuboiさんとは、どのように進めていったのでしょうか?

「以前ダウンタウンさんがやっていた「GEISHA GIRLS」が、オールドスクールのヒップホップっぽくて凄くカッコよくて好きだったんですけど、そういうトラックを作りたいなと思って意識しながらアレンジしていきました。ただ、完成させていくにつれて「キエるマキュウ」のIllicit Tsuboiさんが浮かんできて、“この方とやったら絶対完璧だよな〜”って思ってメールしました。制作を依頼するときは、ふんわりした状態でお願いしたことは1回もなくて、まず“全部決まってるから、これをお願いします!”っていうのを作って、“ダメなところは強化してください”“良いところは使ってください”っていうパターンが多いかもしれないです」

——「少女B*」にはどんな想いが込められてるのですか?

「「少女〇〇」って匿名性が際立っている歌だなって思っていて、SNS時代にすごいピッタリだと思うんです。ちょっと今、凶暴な人多いじゃないですか、SNSだけ。だから、私はSNSだけじゃなくてちゃんと現実でも凶暴でいますよってことであったり、そういうアンチに対するアンチテーゼみたいなのはありますね」

ーー曲を作る際にベーシックにしてるコンセプトみたいなものって?

「軸として16歳〜21歳くらいの女の子の歌っていうのが絶対にあって、1番危ない時期じゃないですか(笑)。そういうちょっと危ない時期の女の子を書きたくてそこからならどこでも行きたいです。そこをメインで女の子がヒロインっていうのは決まってます」

ーー普段はご自身で絵を描かれてることが多いと思うのですが、「少女B」のイラストはイラストレーターさんに依頼していますね

「JARRYさんはTikTokのイラストのタグで見つけて、すごくぶっとんでてサイケデリックで好きだなって思ったんですよね。DMで、“一緒にやりたいです”って連絡したらすごく丁寧な方で…。“変わってる人だったらどうしよう”とかも思ったんですけど(笑)、そういう部分もいいなって思って。自分で絵を描くのは好きだけど、女が描く女の身体ってしなやかになったりするじゃないですか。でも「少女B」で表したかったのはもっと刺激的で暴力的な女の子だったから、キュッて締まっていたり、男性目線の要素も欲しくて丁度良かったです」

ーーこの人とやりたいなって思ったら、自分から声をかけたりするんですね。

「常にアンテナは張っていますね。写真とか音楽とかイラストとか見るときもこの人と一緒にやりたいって思った人の事を好きになりやすいので、TsuboiさんもJARRYさんも好きでお願いしたので、会ったり連絡とったりするときは緊張しました(笑)。やっぱり常にアンテナを張ってるから、コラボしたい人とか絵を描いてもらいたいって思う人はまだいっぱいいる。最近4Dとかも気になってて、いい人いないかなって探してます」
ーー次に「チャイナアドバイス」についてですが、この曲をカバーしようと思ったきっかけを教えてください。

「カバー企画中に“カバーしてほしいのありますか?”って感じでリクエストを募ったら来たのがきっかけです。相対性理論さんはすごい好きだったけど、あんまり壊したくない世界観だったから、ちょっと避けてたんですよね。候補には上がっていたけど“しないほうがいいな”って思っていて。でもいざリクエストが来たら、やりたくなったのでやりました(笑)」

ーーこの曲のどんなところが好きですか?

「やっぱり歌詞がいいですよね。まず背伸びした子供の女の子って感じがしますね。そこがすごく好きで…相対性理論さんの歌詞は言葉遊びがいつもいいなって思っていて、韻踏むのもすごく心地いいから聴いててリラックスして何も考えないでスっと入ってくるみたいな」

ーーライブについてもお聞きしたいのですが、MPC(サンプラー)を使っていますね。これはいつから始められたんですか?

「3年ほど前ですね。自分には打ち込みの曲も生バンドの曲もあるから、そういうのをもっとライブで魅せられる、1人でも単音でも魅せられるような楽器ないかなって探してた時にサンプラーがいいなと思って、そこから始めました」

ーーサンプラーならではの面白さや楽しさはありますか?

「ゲームみたいな感じですよね。ラブアンドベリーって知ってます? ああいう感じ! だから楽しいです。家で練習しててもゲームしてるような感じなんだけど、それを覚えるゲームですね(笑)」

ーーほかにも、珍しいAR楽器「KAGURA」(カメラの画像処理で身体の動きを認識、音楽に変換するもの)も取り入れていますね。使ってみようと思ったきっかけや、実際に使ってみてどうでしたか?

「遊びが欲しいなと思って取り入れました。聴覚は歌があるけど、視覚で遊べるもの。映像の中で手を動かしたらそれに音がついてくるとか、お客さんも一緒に楽しんでもらえるようなのがあったらいいなと思った時に見つけて。みんな楽しんでくれたのかな? 自分的には凄い上がりましたけどね(笑)」

ーーさらに取り入れていきたいような演出はなにかありますか?

「ずっとダンスをやっていたのでダンサーが好きで、コラボみたいな感じでやりたいなって思います。こんなにかっこいいアートなのになんで後ろにおる? みたいにバックダンサーで後ろにいる理由がわからないんですよね。アーティストと対等というかダンサーのワンマンとかもっとあっていいなって。そういう面では自分の音楽を使って踊ってもらったりしたいなって思いますね」

ーーそういうときって一緒に踊りたいって思うんですか?

「ムリムリ、レベル高すぎるもん。今はもう踊れないです。立つだけでボキボキ言うもん、関節が(笑)」

ーー(笑)。では、最後に漠然とした質問ですが、あなたにとって音楽とは?

「ご飯、お風呂、音楽みたいな。え、伝わらないですよねこれ…やめよ。音楽はずーっと流してるから生活の一部って感じするし、上京してきて寂しいときは支えてくれてるから…友達って感じかもしれないですね。音楽は“友達!”」

取材:丸山桃花・椎名康予

(日本工学院専門学校 蒲田校 コンサート・イベント科)

撮影:内海沙南
配信シングル「少女B* / チャイナアドバイス」
2020年9月30日配信

https://roe.lnk.to/GirlB


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