<ライブレポート>Official髭男dismが初のオンラインライブ開催 画面越しでも伝わった“音楽を共有する楽しさ”

2020年9月27日 / 13:10

 Official髭男dismのオンラインライブ【Official髭男dism ONLINE LIVE 2020 – Arena Travelers -】が、9月26日20:00より各配信メディアにて配信され、12万人を超える視聴者がリアルタイムでライブを楽しんだ。
 
 有観客ライブの開催が困難になってから約半年。満を持して開催されたOfficial髭男dismのオンラインライブは、彼らだからこそ成せるオリジナルなライブエンタテインメントだった。今回の公演で一番に感じたのは、バンドの『音楽を共有したい』という思いの強さだ。サポートメンバーを含めた演者、スタッフ、そして画面越しのオーディエンスの三位一体が意識されたステージは、リアルライブと同じくらいかそれ以上に、“みんなで音楽を作り上げる楽しさ”が表れていたと思う。

※以下、一部セットリストと演出のネタバレがあります。まだライブをご覧になっていない方は、先にアーカイブ配信をご覧いただくことをおすすめします。(アーカイブ配信は10月3日23:59まで)

 定刻になると画面が暗転し、ライブの準備風景をダイジェストしたオープニング映像が流れる。機材の運搬から、カメラマン、照明、音響など、今回のライブを作るチームを紹介していくように、クルーTシャツを着たスタッフが次々と映し出される。

 ライブのオープニングは、8月にリリースした最新EP『HELLO EP』より「HELLO」。イントロと共にステージの幕が上がり、ステージ前列上手から小笹大輔(Gt.)、藤原聡(Vo./Pf.)、松浦匡希(Dr.)、楢﨑誠(Ba./Sax)、さらにその後ろに並んだサポートメンバーが姿を現す。ワンマンライブはおよそ7か月ぶり、しかも初めてのオンラインライブというイレギュラーな環境ながらも、時折笑顔を見せるほどメンバーの雰囲気はほぐれており、且つやってやるぞ!と言わんばかりの前向きなエネルギーが音や表情から満ち溢れていた。

 「HELLO」を筆頭に、ホーンセクションが派手やかな「宿命」、イントロからテープ演出も飛び出した「ノーダウト」と、序盤はシングル・EPの表題曲が続いた。初めてヒゲダンのライブを見るオーディエンスにも優しい、誰でも気軽に見られるオンラインライブだからこそのセットリストと言えるだろう。この日初めてのMCで藤原は、オンラインライブの実施の経緯、そして画面越しのオーディエンスへ感謝を伝え、「今日がヒゲダンのライブ初めてという方も、今まで何度も見てくださった方もいらっしゃると思います。全員に音楽の楽しさを伝えられるように、自分達も楽しんで、音楽を共有して、素晴らしい時間を作れたらと思います!」と意気込みを語った。

 本ライブにはMVを制作しているチームが参加していることもあってか、映像面での演出が際立っていた。なかでも「Rowan」は、映像にレトロな質感のエフェクトがかかっていたり、わざと手振れを多くしたり、これまでとは一味違った演出効果がライブの良いアクセントになっていた。

 ピンスポットライトに照らされた藤原が「夏模様の猫」を優しく弾き語った後は、間髪入れずに「イエスタデイ」、「Laughter」とストリングスが印象的な楽曲が続く。この2曲では、レコーディングでストリングセクションを担当していた門脇大輔stringsより、門脇大輔(Vn.)が参加。アンサンブルをより壮大に盛り上げていく。今回のライブでは門脇の他にも、「Rowan」のプロデュースを担当したillicit tsuboi(DJ)や、直近のテレビ出演でもサポートをしていたカワムラヒロシ(Gt.)がサポートメンバーとして初参加し、総勢9人のサポートメンバーがヒゲダンサウンドを支えた。

 「オンラインライブを通常のライブの代わりにはしたくないので(今回のライブを)作りました。僕らはここで歌って、みんながオンラインという形で音楽を受け取ってくれたら、(このライブも)バンドとみんなの思い出の一つになるんじゃないかなと思います」とライブに込めた思いを語りながら、後半は「115万キロのフィルム」からスタート。本ライブの事前企画として行われたヒゲダン楽曲投票で1位を獲得した「異端なスター」では、藤原、小笹、楢﨑の3人が一緒にお立ち台に乗りカメラに向けて合図を送ったりして、画面の向こうのオーディエンスに向けて演奏を届けようとする姿が印象的だった。

 楢﨑が楽器をサックスに持ち替え披露された「旅は道連れ」では、メンバー全員が歌唱を担当。ホーンセクションもステージ前方に移動し、息の合ったアンサンブルで楽曲を盛り上げる。さらに「夕暮れ沿い」では本格的なビックバンドアレンジを披露し、幸多感に溢れたステージを演出(なおアレンジは湯本淳希(Tp.)が担当)。ストレートのマイクスタンドで歌う藤原もとても様になっている。しかし、次曲の「FIRE GROUND」では一転、小笹がメロイックサインをキメながら「おーーい人類ーーー! コロナウィルス、燃やし尽くしたろうぜーーーー!!」とシャウトしたり、炎の特効が絶え間なく飛び出したりと、さっきまでと同じバンド?と疑いたくなるくらい、濃ゆいステージを展開。バンドの音楽的な懐の深さをこれまでかと感じさせる一幕だった。

 ホーンとパーカッションの疾走感溢れるイントロから、お馴染みのピアノのフレーズへ。ライブでも人気の高い「Stand By You」では、スクリーンに過去ライブのオーディエンスが映り、まるで自分がライブ会場にいるかのような臨場感が味わえた。大サビ前、『たとえ僕ら遠く離れた場所にいようとも 変わらずにいたいよな? 変わるはずがないよな?』というフレーズを一音一音はっきりと思いを込めて歌う藤原の姿は、この日のハイライトだった。

 「ライブができない日が続いて、自分達が何をやってた人間なのかわからなくなりそうな時もあったけど、みんなと一緒に音楽を共有するのが人生にとって大事なことだと思ったし、自分たちがやりたいと思って作ったものを日々の糧にしてもらえているのであれば、バンドとしてこんなに幸せなことはないなと思っています。とにかく、また素敵な音楽を作ってみんなに会えることを楽しみにしているので、どうかそれまで元気に過ごしてください。今日は本当にどうもありがとうございました」と、最後は「ラストソング」でこの日のライブを締めくくった。曲の終盤では、客席の2~4階席にライトが灯り、実際にオーディエンスがいるような演出も。『もっと歌いたいのにな』という歌詞の通り名残惜しさは残るものの、幕が閉じる前に藤原が叫んだ「絶対にまた元気で会いましょう!」という言葉が本当に心強くて、またすぐに次のライブが楽しみになった。

 本公演は、10月3日までアーカイブ配信が実施されている。なおアーカイブ配信では、メンバーが本編映像を見ながら解説するオーディオコメンタリーも視聴可能で、何度見ても楽しめる仕様となっている。

Photo:溝口元海(be stupid)
 

◎ライブ情報
【Official髭男dism ONLINE LIVE 2020 – Arena Travelers -】
2020年9月26日(土)20:00~
東京・ガーデンシアター
<セットリストプレイリスト>
https://HGDN.lnk.to/ArenaTravelers_setlist
 
◎配信情報
【Official髭男dism ONLINE LIVE 2020 – Arena Travelers -】
アーカイブ配信:2020年10月3日(土)23:59まで
◎メンバーによるオーディオコメンタリー有り ※追加料金なし
チケット:2,200円(tax in.)
<配信メディア>
ABEMA / GYAO! / LIVE WIRE / LINE LIVE Viewing / ローチケ LIVE STREAMING / U-NEXT / Fanplus
https://special.higedan.com/feature/onlinelive2020


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