【Editor's Talk Session】今月のテーマ:配信ライヴが今後のシーンにもたらすもの

2020年8月14日 / 18:30

Editor's Talk Session (okmusic UP's)

BARKS、OKMusic、Pop’n’Roll、全日本歌謡情報センターという媒体が連携する雑誌として立ち上がったmusic UP’s だからこそ、さまざなテーマを掲げて、各編集部員がトークセッションを繰り広げる本企画。第九回目はコロナ禍の中、配信ライヴを積極的に行なっているバンドということで、バックドロップシンデレラの豊島“ペリー来航”渉(Gu&Vo)とオメでたい頭でなによりの赤飯(Vo)に参加してもらった。
座談会参加者

■烏丸哲也

ミュージシャン、『GiGS』副編集長、『YOUNG GUITER』編集長、BARKS編集長を経て、現JMN統括編集長。髪の毛を失った代わりに諸行無常の徳を得る。喘息持ち。

■豊島“ペリー来航”渉

バックドロップシンデレラのGu&Voであり、ライヴハウス池袋LIVE GARAGE Admの店長。世界の民族音楽が好きでウンザウンザを流行らせようとしている。

■赤飯

日本一オメでたい人情ラウドロックバンド“オメでたい頭でなにより”のヴォーカル。サウナ、ホラー映画をこよなく愛する男。

■石田博嗣

大阪での音楽雑誌等の編集者を経て、music UP’s&OKMusicに関わるように。編集長だったり、ライターだったり、営業だったり、猫好きだったり…いろいろ。

■千々和 香苗

学生の頃からライヴハウスで自主企画を行なったり、実費でフリーマガジンを制作するなど手探りに活動し、現在はmusic UP’s&OKMusicにて奮闘中。マイブームは韓国ドラマ。

■岩田知大

音楽雑誌の編集、アニソンイベントの制作、アイドルの運営補佐、転職サイトの制作を経て、music UP’s&OKMusicの編集者へ。元バンドマンでアニメ好きの大阪人。
ライヴがなくなって すっかり意気消沈

千々和
「今回は配信ライヴを行なっているバンドにお話をおうかがいしたく、おふたりに参加していただきました。コロナ禍でライヴができなくなり、思うように活動もできない現状についてどう思われていますか?」
赤飯
「オメでたい頭でなにより(以下、オメでた)はお客さんとの距離が近いのライヴに重きを置いているバンドだと僕は思っています。それこそが一番大事にしているもので、自分自身もそれを正しいと信じて、それに生き甲斐を感じてライヴをしていました。しかし、その生き甲斐であり、“バンドの武器”と考えているライヴが封じられている現状です。すっかり意気消沈してしまいました(笑)。だって、ほぼ毎週一本はやっていたものですから。」
豊島
「思ったよりも深刻だったよね。バックドロップシンデレラ(以下、バクシン)はライヴをやると密々の密な感じで、ソーシャルディスタンスもないのですが、それが持ち味だという自覚がある中で、そのライヴができない状況になった。もともとライヴが多かったバンドではあったんですが、実はそんなにバンドとして意気消沈みたいな感じではなくて。ちょっとした開き直りみたいなところもあるというか、周りのバンドもライヴをやれていないんだから仕方ないっていう節がありましたね。逆に今まで忙しかったから、ヴォーカルのでんでけあゆみに関してはちょっと喜んでいたり(笑)。」
全員
「(笑)。」
豊島
「もちろん最初のうちだけですけど(笑)。ライヴがないということでは、今のところ“まぁ、大丈夫かな”と思ってはいるんですけど、経済的な話になってくると若干昨年よりは大変ですね。」
千々和
「そのような状況から配信ライヴをやるために動き出したのはいつ頃ですか?」
豊島
「僕が池袋Live garage Admというライヴハウスで店長をしているということもあり、配信ライヴを池袋Admでやろうと動き始めたのは、緊急事態宣言が発動された瞬間からでした。4月7日に発動されて、4月の後半くらいからは自分のバンドではないんですけど、他のバンドで配信ライヴのブッキングを始めましたね。池袋Admで弾き語りの配信ライヴを最初にやったのは僕で、そのライヴをやった日にバクシンでもやろうと決めて、5月31日にバンドでもやったんです。」
石田
「その弾き語りライヴで何か手応えを感じられたんですか?」
豊島
「想像していたよりも楽しかったんですよ。性格にもよるかもしれませんが、お客さんがいると良くも悪くもお客さんを意識しすぎてしまうところがあって。弾き語りをひとりでやってみた時、最初はMCで何をしゃべっていいか分からなかったりした部分もあったんですけど、90分くらいのライヴだったので演奏している間に音楽だけにのめり込んでいく感覚があって、これはこれで気持ちが良いと思ったんです。これを自分のバンドでもやってみたいっていう手応えを感じたというか。」
石田
「その弾き語りですが、スタジオで演奏するのとはまた違った感覚だったのですか?」
豊島
「スタジオで演奏する時もだんだん音楽に入り込んでいくじゃないですか。それに近い感覚があったので、そこが良かったんですよ。だから、すごく自分の中で音楽的だったというか…。」
石田
「なおかつ、それをいろんな人が観てくれているわけですしね。」
豊島
「そうなんですよ。観てくれている感覚はありましたね。でも、どっちかというと弾き語りの時は自分の世界だけにどっぷりハマってしまった感じで、バンドでライヴをやった時にもっと観てくれている感覚がありましたね。」
千々和
「バンドによって配信ライヴでのアプローチも違ってきますよね。渉さんが話されたようにのめり込んで演奏をする方がいれば、画面の向こうで観ているお客さんを意識したユニークな演出をする方もいて。オメでたの2回目の配信ライヴを拝見させていただいたのですが、番組のパロディーやコントを取り入れていて面白かったです。準備が大変そうな気もしましたが、一回目の配信ライヴの時点で早くから動き出していたんでしょうか?」
赤飯
「予定していた振替ライヴが全部キャンセルになった時に“9月までライヴができないのは嫌だから配信ライヴをやろう!”ということになったんですね。そこから内容を詰めていき、準備を本格的に進めたのは6月29日の配信の1カ月前くらい前…5月頭から準備をし始めましたね。“いかに目の前の人に楽しんでもらい、笑ってもらうか”にプライオリティーを置いているバンドなので、前々からライヴでコントをやりたいという話は出ていたんですね。今回配信をやるにあたり、“普通にライヴをやっても、やっぱり表現したいものにはならないよなぁ”と思いまして。それならいっそ今回をきっかけにしてしまえということで、がっつりコントを入れた形式にしました。つながりのあった作家さんにもチームに入っていただいて、やりたいことやアイディアを一緒に整えてもらいながら、リハを進めていきました。ああでもない、こうでもないと実際の場当たりを通して肉付けもされていきましたね。で、第一回目の配信をやってみて、“改善点が多いな!”とすごく思ったんですよ。コントと曲のバランスというか、曲が少なかったよなって(笑)。」
全員
「(笑)。」
赤飯
「あと、進行がダラダラしたのもあって“あかんな~、これでは”って。そんな反省点を第二弾につなげた結果、自分も含めてチーム全体に手応えがあったと思っています。」
烏丸
「“ライヴができなくなって意気消沈”とのことでしたが、配信ライヴを通して新たなバンドの観せ方やエンターテインメントのかたちが見えてきたのではないですか?」
赤飯
「そこまでのことは言えないですが、コロナをきっかけにどう変わっていくのか、どう適応していくのかを考えられないと、もう死ぬだろうなとは思いましたね。」
岩田
「2回目のライヴはコントを曲振りに使いながら、お客さんを飽きさせずにライヴを展開されていてとても面白かったです。どのような点をブラッシュアップされたのですか?」
赤飯
「前回よりも音楽と笑いのメリハリをつけて、決まり切った台本の台詞だけじゃなくアドリブを取り入れていくことで良くなったと思いましたね。」
烏丸
「回を重ねるにつれてブラッシュアップされ、もっと面白くなっていくことと思いますが、本来の生ライヴに戻った時、これまでとはひと味違うものになっていそうですね。」
赤飯
「今回の配信ライヴを通じて、お客さんを入れてのライヴでも取り入れたいと思えれば取り入れたいですし…なので、一個新しい引き出しが増えたという感覚ですね。」
生のライヴができないことで 満足しない方は多いと思う

千々和
「実際のライヴと配信ライヴはやっぱり別物ですが、世間的には配信ライヴでできるなら、これまでのライヴの代わりになるという認識もあると思います。今までよくライヴに行っていた人の気持ちと、行っていな人たち、またはこれからライヴに行こうとしていた人たちの間でライヴの認識がすごく変わっていく気がしていて。ライヴハウスの文化がこのように変わってしまうことにジレンマはありますか?」
赤飯
「その変化はヤバいと思っていますよ。配信ライヴを観て“ライヴって楽しい! 行ってみよう!”っていうのももちろんあると思うのですが、そこまでの手応えはみんな感じてないんじゃないかとも思っていて。実際のライヴを観ていたお客さんが配信ライヴを観て、“やっぱり何か違うな”とテンションが落ちてきている感覚があったり、配信ライヴ自体に対して伸びを感じなくなっているというか…もちろんやりようはいくらでもあると思うんですね。どんどんブラッシュアップしていけば!とは思うんですが、まだ“そこに明るい未来があるぜ!”とは感じないんですよね。ライヴハウスが営業できない今、ライヴという文化が今後どうなっていくかのかを考えた時に、結論を言えば焦りはあります。そこに対してどうアプローチをしていくのかを我々はしっかりと考えてやっていかないといけない…渉さんはいかがでしょうか?」
豊島
「配信ライヴでの生音や演奏をお客さんが楽しむことしかできないと考えるとすごくジレンマがありますね。生のライヴができないとなると、やはり満足しない方が多いと思っています。ただ、配信は配信で“ちょっと観てみようかな?”という人への入口としてハードルが低くなるとも思っていて。それこそサブスクでちょっと聴いたとか、YouTubeでMVを一回観ただけとか、一曲しか知らないけど数千円なら払ってライヴを観てみようという人の入口になり得るのかなと。あと、絶対に外に出ないという人だったり、フェスやライヴハウスには足を運ばないけど音楽は好きという人っているじゃないですか。そう言う人に対しての入口にもなるんじゃないかなって。これまで配信ライヴをまったくやってこなかったので、そういう選択肢が増えたというのは良かったと思っています。ただ、お客さんを入れてのライヴがロックバンドとしての本質ですし、個人的にも配信ライヴをするにしても、実際にお客さんを入れて盛り上がっているところを、さらに配信でも届けるのが一番いいと思っていますね。どのくらい先にできるか分からないですが、時期が来ればそうなると思っているので、結果的にフェスやライヴハウスに行けなった人が“ちょっと観てみようかな”と思ってくれるケースもあるかも…と想像をしていますね。」
千々和
「最近では観覧しているお客さんをステージのバックビジョンに映したり、アイドルが自宅から参加しているお客さんのコールの声を流しているライヴもあるので、これからも通常のライヴと配信ライヴのそれぞれに良さが生まれていくのかなと。配信だと会場のキャパ以上にお客さんを集客できますし。」
石田
「配信だからこそ普段は見れない位置にカメラを置いたりしてね。会場の真上にカメラを置いて、ステージを上から映しているアーティストもいましたよ。」
豊島
「みんなすごいな!」
赤飯
「いろいろ考えていますね。」
石田
「そういう意味では、オメでたがコントを混ぜながらライヴやっているというのも、そういう見せ方の幅のひとつですよね。」
赤飯
「そうですよね。」
千々和
「他のバンドの配信ライヴを観ることもありますか?」
豊島
「打首獄門同好会がVRで配信するって言うので、それは観ましたね。他にも観てますし、池袋Admでほぼ毎日配信しているので観てます(笑)。」
赤飯
「僕は配信ライヴに誘っていただいたりなど、出る側が多くて。Zoomで生歌を配信するみたいなのをやったり(笑)。」
烏丸
「配信や無観客ライヴというものに対し否定的な意見を持つメンバーがバンド内にいてもおかしくないと思うんですが、バンド内で意思を統一することも大事な作業ですよね。」
豊島
「バクシンに関しては僕が舵を取ることが多いので、“配信をやろう”と言い出したのも僕でしたね。そこに抵抗もなかったので、まずは一回やってみようということで決まりました。やってみた結果、“思ってたのと違ったけど楽しかった”という反応だったから、“イベントがあればやりたいね!”という話にはなっています。」
赤飯
「オメでたの場合は舵取りポジションがいなくて、わりと民主制なチームなんですね。なので、配信に関してもぶつかったり、いがみ合うこともなくすんなり進んでいきました。」
千々和
「配信ライヴで機材トラブルが起こった時、お客さんの反応がリアルタイムに見えないことも多いと思うのですが、おふたりは配信だからこそ感じる難しい点はありましたか?」
豊島
「ライヴハウスで裏方として配信を毎日やってますので、バンド側に僕から前もって“何かしらのトラブルがあるかもしれないから、その時は申し訳ないけど我慢をしてくれ!”と言っていますね(笑)。うちのバンドはラッキーなことにトラブルはないんですけど、配信というものがプラットフォームも含めてまだ完璧に整っていない状況だからこそ、どうしてもトラブルは起きてしまうんですよ。」
千々和
「ちなみに、トラブルが発生したことを裏方の人はどうやって知るんですか?」
豊島
「配信をしながら画面でライヴを観ていますね。特に池袋Admに関してはツイキャスのプレミア配信を使用することが多いので、リアルタイムでコメントが流れるんですよ。だから、何かトラブルがあればすぐコメントに反映される。もはや僕らよりもお客さんが早く気づいたり、電波が届かなくなるのはお客さん側に原因がある場合もあるけど、発信側のトラブルは迅速に確認して対応するようにしています。」
赤飯
「うちもお客さんのWi-Fの環境などが原因で観れなくて泣いてるツイートを見たりしますね。ラッキーなことに大きなトラブルはまだ起こっていなくて…まぁ、ちょっとしたヒューマンエラーとかはありますけど(笑)。そこもチームとしてブラッシュアップができてきているので、ライヴをするたびに団結力が上がっているし、各々が自分のスキルを磨いていると、この2回のライヴですごく感じています。」
千々和
「他のバンドと配信ライヴに関する意見交換をすることもありますか?」
豊島
「もちろんしていますよ! それこそ4月や5月の頃は配信ライヴをやるかどうかとか。僕らは配信はもちろん、ツイキャスも知らなかったし、まさに情報がゼロだったので、機材は何が必要なのかも含めていろんな人と連絡を取り合いました。でも、周りも分ってないんですよんね(笑)。だから、みんなで情報を持ち寄ったり、いち早く始めていた配信ライヴを観たりして、配信してる人にやり方を教えてもらっていました。ライヴハウスの視点になりますけど、池袋Admとして配信のやり方が固まってきてからは、赤飯の話と同じようにスタッフみんなとのチームワークが強くなっていきましたね。」
配信ライヴを経験したことは 今後の変化に関わってくる

烏丸
「YouTubeを観てYouTuberになりたい人が出てくるように、配信ライヴを観てバンドを始めたいと思えば、それは“バンド=配信でライヴをやるもの”という新たな価値観かもしれない。そういう点からもこれからの音楽シーンはどうなっていくと思われますか?」
豊島
「赤飯はもともと歌い手だしね(笑)。」
赤飯
「そこを話すと2時間くらいかかってしまいますよ(笑)。でも、五感で楽しむライヴに僕は感動を覚えるので、そこを知らずして…というか、そこを知ってほしいんですよね。そのために僕らはライヴをやってるし、発信しているので。」
豊島
「でも、そういうのがおっさん臭いと言われるかもしれないよ(笑)。」
赤飯
「えー、分からないじゃないですか~(笑)。“おっさん臭かろうが何だろうがライヴを生でやってるんだ!”というのはありつつ、環境の変化に適応できる人たちが昔も今もこれからも生き残っていくということは理解してるつもりなので、バランスが大事じゃないですかね。でも、それで入ってきた若い子たちに“やっぱり生のライヴもいいですね!”って最終的に言わせたいな。」
豊島
「僕も池袋Admで働いていて、バンドに“配信をやってよ”と言うと“配信なんてロックじゃないからやらない!”という人らもいるんですよ。もちろん、それもいいんですけど、“だって、『ミュージックステーション』(以下、『Mステ』)に出るようなものじゃん!”って伝えてますね(笑)。それを言うとわりと理解してくれます(笑)。『Mステ』で生演奏をしている姿を観て“バンドをやりたい!”と思った人もいるわけだから、配信ライヴを観て“バンドをやりたい!”という人がいてもおかしくないし。だからこそ、配信からライヴを始めた人が実際にお客さんを入れたライヴをやった時に違う感動があって、“これはいい!”ってなるかもしれないし。」
千々和
「テレビのことを考えていなかったので、確かに『Mステ』の例えを聞いたらフットワークを軽くして動けるバンドもいるんじゃないかと思いました(笑)。」
豊島
「『Mステ』も生配信ですからね(笑)。『紅白歌合戦』とかも。でも、テレビに出ないというバンドも純粋にカッコ良いと思いますね。」
烏丸
「『Mステ』や『紅白歌合戦』に出ることがバンドの最終目標ではないはずですから、“配信ライヴをやりたい”と思ってバンドを始めたとしても、配信ライヴをしたからって“目標を達成した”ことにはならないと信じています(笑)。」
豊島
「バンドの目標はそれぞれですからね。コロナがなかったら配信もひとつのやり方だというのも思わなかったかったし、お客さんも認識できなかっただろうなと。配信ライヴを観ざるを得ないから観ていた方も多かっただろうし、その中で“配信ライヴは合わない”って人もいると思うんです。逆に、疲れてる時は配信くらいでいいという方もいると思う…というか、いるはずなんですよ。だからこそ、配信というライヴのやり方を、とりあえずは音楽業界とお客さんが共有できたというか。配信ライヴはコロナ禍になる前からあったけど、全然普及していなかったじゃないですか。でも、今ではほぼ全部の音楽関係者が経験したというのは、今後の変化に関わってくると思いますね。」
石田
「配信ライヴだからこそのやり方を考えるようにもなりましたしね。ただ生でやっているライヴを配信するのではなく、それこそコントだったり、お客さんのコメントを拾ったりして、それを演出のひとつにするっていう。」
千々和
「打ち上げ配信なんかもありますからね!」
現場感があるライヴを 目指していけばいい

岩田
「オンラインのライヴに対して音響や演出、カメラワークなどこだわる点がアーティストによって違うと思うんですが、おふたりはライヴをやってみて、今後はどこにこだわりを持ってライヴをしていきたいと思われますか?」
豊島
「僕らは『ビバラ!オンライン2020』に出演させてもらって、ヴォーカルが頑張ってたんですよ(笑)。そして、ライヴに対する視聴者の投票をチェックしていた時に、“バクシンがお客さんとの距離が一番近かった”というコメントがたくさんあったんです。それはヴォーカルが頑張ったからなんですが、そういうふうに感じてもらえるんだと思えて。僕らはもともと踊る奴が偉いだとか、そういう現場感を大切にしていたバンドなので、オンラインでもどのバンドよりも現場感があるライヴを目指していけばいいと思うことができましたね。」
岩田
「お客さんとの距離が近いという反応があったのは、どこを工夫されたからだと思いました?」
豊島
「単純に言うと、あゆみがひとつのカメラに迫って行って、ワーッとお客さんひとりひとりに語りかけたというのが分かりやすい点ではありましたね。あと、あり得ないくらいひとりで踊ってましたよ(笑)。でも、そこまでやると何か伝わるものがあるのかもと思えて。だからこそ、そういう観せ方も面白いのかなと。」
赤飯
「2本目のライヴではコントで笑いを生みながら音やカメラワークにもこだわり、演奏もしっかりとしたライヴをやって、自分たちも納得できるものをみんなに届けられたという満足感があります。結果、観てくださった人から”ゲラゲラ笑って最後は泣けた”なんて感想を結構いただけたので、めちゃくちゃ嬉しかったです。さっき渉さんが言われていた“お客さんとの距離感”を次はもっと意識したステージングにしたいですね。あゆみが“おらー!”ってやってるのが伝わったということだったので、僕も次やってみようと思いました(笑)。」
豊島
「コロナに関係なく、ライヴというのは感動だったり何かしらでお客さんの心を動かせるものだと思うので、それは僕らもオメでたもやり方が違えど目指していたもののはずなんですよね。当然、配信でもそこを目指したいと思います。そのためには、カメラや音質というクオリティーに対しても意識しないといけない。結果的に普段のライヴに近いものを目指していますね。」
赤飯
「普段のライヴをやっているからこそ、その熱量を高めてどうやって届けていけるのかというところで、カメラワークなど技術的な面を表現も含めて磨いていかないといけないと思いますよね。」
豊島
「そこに対して、赤飯も“チーム”という言葉を多く使っていたけど、バンドだけではどうしようもないということがあるんですよ。配信ライヴはカメラワーク、スイッチャーや音響などひとつでもダメだと、僕らがどれだけいいパフォーマンスをしても伝わらない可能性がすごくある。」
赤飯
「その全体のグルーブを届けるという点は配信の面白さなのかなと思いますね。」
豊島
「ただ、池袋Admで配信をしていると、そこがで難しいと思うこともあるんですよ。バクシンやオメでたみたいにチームを組めるバンドは何回もミーティングをやりながらライヴができるんですけど、若手のバンドは基本的にそんな準備はできないじゃないですか。そこは単純に課題として残っちゃいますね。池袋Admは毎日のように配信しているので、スタッフの技術である程度は安定したクオリティーで配信できますけど、配信に対応しきれていないライヴハウスもたくさんあると思いますし。」
岩田
「おふたりのようにバンドでライヴを経験しているからこそ、その熱量を伝えるという点に重きを置けると思うんですが、これからオンラインだけでライヴをするバンドはその熱量を作れないかもしれないですよね。逆にMVのような映像を求めてしまうというか。」
赤飯
「そういう価値観も生まれるかもしれないですね。」
豊島
「配信ってお客さんがどんな環境で観てるかも分からないからね。ヘッドフォンをしながら爆音で観てる人もいれば、寝転んでボーっと観てる人もいるだろうし。そういう人たちの前で変にアツくなりすぎててもね(笑)。」
岩田
「“電車に乗りながら観てます!”というコメントがあったりしますからね。」
豊島
「そういう場でも楽しめるっていうのは配信の魅力でもありますよね。そう考えると、すごく奥が深い。」
烏丸
「音楽は瞬間芸術ですし、ライヴも刹那的なものですが、配信ライヴの様子がアーカイブされることに関してはどう考えていますか?」
豊島
「突いてきますね(笑)。正直に言うとアーカイブに対して抵抗が少しあったんですけど、お客さんのことを考えると残したほうがいいのかなって思えました。」
赤飯
「いいライヴをやって、それがアーカイブで残せるのは単純にプラスだと思いますね。リアルタイムで観られなかった人にも観てもらえるというのもあるので、もうそれはとらえ方次第かなって。」
豊島
「あと、おっしゃっていただいたライヴに対する一回だけの刹那感みたいなものはリアルタイムで観るのとアーカイブで観るのとでは、お客さんの感じ方次第で違いがあるんじゃないかと思いますね。電車で観ていても“今やってるんだな”と思うことと“やってたんだな”と思うのでは気持ち的にも違うだろうし。」
石田
「そこも配信ライヴだからこその楽しみ方かもしれませんね。アーカイブはテレビ番組の見逃し配信みたいなもので、その時間に観れなかった人のためのものというか。期間限定だからDVDやBlu-rayみたいにいつでも観れるわけじゃないので。」


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