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今週のHot 100は、嵐のニューシングル「カイト」が圧倒的な強さを見せて首位を獲得した(【表1】)。昨年10月以降はストリーミングが解禁になったこともあり、リメイクも含めて配信限定のリリースが中心だったので、CDシングルとしては2019年9月の「BRAVE」以来となる。普段、配信を利用していないファンは、やっと新曲のCDが手に入ると感じているのではないだろうか。
「カイト」は米津玄師が初めてジャニーズに書き下ろしたことでも話題となった楽曲だ。すでに昨年末にNHK2020ソングとして制作されたことが発表され、年末のNHK紅白歌合戦でも披露されている。その後、今年に入ってからもNHK「みんなのうた」で何度も放映されているので、ようやくリリースになったという印象を持つかもしれない。東京オリンピックが延期になってしまったこともあり、なんとも微妙なタイミングになってしまったかもしれないが、それでもしっかりと売り伸ばしていることは、嵐のアーティストパワーならではといえる。
「カイト」は初週で60万枚以上の売上があり、チャートの構成要素の大半はフィジカルによるもの。加えて、ルックアップ(PCによるCD読取数)でも圧勝だ。配信に切り替えたことでフィジカルが売れなくなるという懸念を持つアーティストも多いが、嵐に限ってはそんな気配はまったくない。むしろ、ストリーミングやYouTubeの解禁によってファン層は拡大し、少なからず日常的に嵐の楽曲を聴くファンは増えているのではないだろうか。その上で、フィジカルオンリーのリリースを行うというのは、ファンの囲い込みということを考えると、戦略としては間違ってはいない。
ただ、フィジカルのみでロングヒットとなるにはひと工夫が必要だ。NHK2020ソングであれば、来年まで引っ張る必要があるのではないだろうか。であれば、どこかのタイミングでストリーミングを解禁するなど、巧妙な戦略が必要になると思われる。今後はその動きにも注目していきたい。Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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