<ライブレポート>ずっと真夜中でいいのに。を観て――何かを伝える・考えるのは結局ヒトだということ

2020年8月7日 / 21:00

 ミニ・アルバム『朗らかな皮膚とて不服』をリリースしたばかりの、ずっと真夜中でいいのに。(以下:ずとまよ)が【オンラインライブ NIWA TO NIRA (有料)】を配信した。

 「しばらくお待ち下さい。」という案内表示と時折聞こえる女性による配信テストのアナウンスがなんとも奇妙であり、一方で期待感を高める。ステージセットを見て第一に感じたのは、ディストピアを生き残ったものたちのアジトだ。待機中のアナウンスから考えて、そのアジトから(リベリオンである)ずとまよが電波を乗っ取って配信したのがこのオンラインライブといったところか。太陽の光が入らなそうな暗いアジトで楽器を思うがままに響かせるバンドメンバーたちはフードやバンダナなどで顔を隠しており、その中心に立つACAねが指揮を執る。

 古いオープンリール式テープレコーダーを楽器として演奏するOpen Reel Ensembleの参加によって、新旧テクノロジーがぶつかり合った。宇宙と交信をしているかのような音色を発していたが、それはこの電波(配信ライブ)が無極であることにも繋がるかもしれない。カラフルに映したブラウン管テレビを打楽器のように(5つのうち、真ん中のテレビには“強”の文字)、扇風機をエレキギターのように鳴らすワザは、ヒトしか思いつかないだろう。しかもそれらがピカピカの新品ではなく、実家にある少し古びた、カタカタ言いそうな、どこか懐かしさを感じさせるところもにくい。

 扇風機もそうだが、夏野菜、プール、音頭と日本人が大切にする“夏”がこのライブにはあった。今年はコロナの影響で、夏の思い出が作りにくいが、この配信が誰かにとって、そういった苦境を少しの間でも忘れられる、ひと夏の思い出になることを考えると、配信ライブもまだまだ捨てたものではない。何か月かすれば、オンラインライブがマンネリ化し、ひとつのピークが来るかもしれないが、誰かの心を響かせるのも、それを奏でるのも、何かを感じる/感じさせるのも、コンピューターではなく、全部ヒトだ。アイデアが尽きることはないだろうし、そこにテクノロジーがハマれば、ライブの楽しみ、そして可能性は無限大だ。ヴィジュアルからサウンド、展開まで、アイデアが隅々まで行き渡っていたずとまよの小一時間のオンラインライブを観て、そう感じた。

Text by Mariko Ikitake
Photos by 鳥居洋介

◎配信概要
【オンラインライブ NIWA TO NIRA (有料)】
2020年8月6日(木)20:00配信開始 ※終了


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