<ライブレポート>サザンオールスターズ、配信ライブで届けた感謝とエール

2020年7月3日 / 20:00

 サザンオールスターズが、配信ライブ【サザンオールスターズ 特別ライブ 2020「Keep Smilin’ ~皆さん、ありがとうございます!!~」】を、6月25日に神奈川・横浜アリーナにて開催した。

 本公演は、デビュー42周年を迎えたサザンオールスターズが、ファンやスタッフなどサザンの音楽活動を支えてきた人々と、新型コロナウイルス感染拡大防止に努める医療関係をはじめとするエッセンシャルワーカーの人々へ、感謝を伝えるために企画されたライブだ。当日の模様は、8つのライブ配信メディアから同時配信され、その総視聴者数は推定約50万人に上った。

 開演時刻を10分ほど過ぎた頃、サザンのメンバーとサポートメンバーが拍手と歓声(のSE)に迎えられ登場。松田弘(Dr.)のカウントから、1990年リリースの「YOU」でライブはスタートする。この日、会場には40台ものカメラが設置されており、序盤の「ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)」や「希望の轍」といったドライブ感のある楽曲では、無観客ライブならではのダイナミックなカメラワークが、曲の盛り上がりを一層際立たせていた。

 今回の配信でサザンは、ファンやスタッフ、コロナ禍の最前線で戦う人々へ感謝を伝えるだけではなく、視聴者を激励するようなメッセージを随所で発信していた。たとえば「希望の轍」では、大サビ前のパートを「大変な毎日をご苦労様 今日は楽しくいきましょう」と、労うような歌詞に変えたり、桑田佳祐(Vo./Gt.)と原由子(Key.)がそれぞれリードボーカルをとった「シャ・ラ・ラ」では、バックビジョンに「早くまた皆さんとお逢いできますように!!」というメッセージを映し出したりと、何度も画面越しのお客さんに語りかけていたのが印象的だった。

 中盤からは、サザンのライブではお馴染みのエバトダンシングチームが登場。炎の特効が繰り出された「愛と欲望の日々」、バグパイプやフルートの音色が異国情緒漂う「Bye Bye My Love(U are the one)」と、視覚的にも聴覚的にもにぎやかな楽曲が続いた。そんな中でもハイライトとなったのが、「真夏の果実」~「東京VICTORY」の流れだ。「真夏の果実」では、客席に置かれたリストバンド型のライトが一斉に点灯。アリーナとスタンド一面がオレンジ色の暖かな光に包まれ、感傷的なムードへと誘う。続く「東京VICTORY」では、アリーナ中央に聖火台が登場。さらに、舞台袖や客席にいるスタッフが気持ちを一つに拳をあげるカットが差し込まれるなど、通常のライブではなかなか見られない演出が盛り込まれた。この曲に限らず、この日の配信では、裏方のスタッフの姿を(おそらく意図的に)映したカットがところどころ挟まれており、そんなところからもサザンからスタッフへのエールを感じた。

 感動的な演出が続いた後は、その余韻に浸る隙も与えず、ライブは一気にラストスパートへ。「匂艶(にじいろ)THE NIGHT CLUB」「エロティカ・セブン EROTICA SEVEN」と、キラーチューンをここぞとばかりに畳みかけていく。アリーナ席のライトが火文字のように「G」の字を描いた「マンピーのG★SPOT」では、桑田がアマビエのイラストの被り物を被って「疫病出ていけ!」と紙吹雪を投げたり、マスク姿の水着ダンサーに(遠巻きに)ちょっかいを出したりとやりたい放題。そのまま突入した「勝手にシンドバッド」では、「画面越しのみなさまー! スタッフのみなさーん! 我々の42年前のデビュー曲を謹んでお聞きくださーい!」と、お決まりのイントロが始まると、客席にサンバダンサー、チアリーダー、「感謝」の法被を着たお祭り男達が一斉に登場。加えてステージ上では、防護服を着たカメラマンが桑田に超接近したりと、カオスな状況に。しかし、この“いつも通りのお祭り感”が、サザンなりの、サザンにしか表せない、感謝の気持ちの形なのかもしれない。

 アンコールでは、1曲目にデビュー18周年記念日にリリースされた「太陽は罪な奴」を、2曲目には「ロックンロール・スーパーマン~Rock’n Roll Superman~」を、バッグビジョンにライブ準備に取り組むスタッフの姿を映し出しながら披露した。そして、ラストソング「みんなのうた」の前には、これまで支えてきてくれた人々へのメッセージを込めたオーバーチュアが挟まれた。

『デビューして何度目の夏が来ただろう いろいろと皆様のおかげです
世の中は予期しないことがあるけど これからも頑張ってまいりましょう
あなたに守られながら 私はここにおります
笑顔を見せてください また逢う日まで待ってます
人生は世の中を憂うことより 素晴らしい明日の日を夢見ることさ
愛する人よ』

 終演後、メンバー全員がステージ前方に集まり、改めて今日の出演者を紹介。「こんな寂しい横浜アリーナは初めてですけど、一日も早いみなさんとの再会をサザンのメンバー、スタッフ一同願っております。どうもありがとうございました!」と、再会の約束を交わし、2時間10分にわたるライブを締めくくった。

Photos by 岸田哲平

◎ライブ情報
【サザンオールスターズ 特別ライブ 2020
「Keep Smilin’ ~皆さん、ありがとうございます!!~」】
2020年6月25日(木)
神奈川・横浜アリーナ
<セットリスト>
01. YOU
02. ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)
03. 希望の轍
04. Big Star Blues(ビッグスターの悲劇)
05. フリフリ’65
06. 朝方ムーンライト
07. タバコ・ロードにセクシーばあちゃん
08. 海
09. 夕陽に別れを告げて~メリーゴーランド
10. シャ・ラ・ラ
11. 天井桟敷の怪人
12. 愛と欲望の日々
13. Bye Bye My Love(U are the one)
14. 真夏の果実
15. 東京VICTORY
16. 匂艶(にじいろ)THE NIGHT CLUB
17. エロティカ・セブン EROTICA SEVEN
18. マンピーのG★SPOT
19. 勝手にシンドバッド
En1. 太陽は罪な奴
En2. ロックンロール・スーパーマン~Rock’n Roll Superman~
En3. みんなのうた


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