首振りDolls、ナオ(Dr&Vo)のソロインタビューを公開

2020年5月27日 / 21:00

ナオ(Dr&Vo) (okmusic UP's)

新型コロナウィルスという怪物は、大きく世界を揺るがせ、人々の考え方すらも大きく変化させた。“当たり前”だった日常や常識や感情が“当たり前”では無くなり、人々の目の前には、見つめ直すべき日常や常識や、新たに向き合い、作り出していかねばならない世界が広がった。

人間が生きる上で必要なこととは何なのか? 人間が生きる上で音楽とは、エンタテインメントとはどうあるべきなのか? 誰もがこの期間に、それぞれの立場で直面する現状に自問自答したに違いない。

そもそも“娯楽”の存在は、人間が生きる上で、空気や医療ほど必須なものではないのかもしれない。そう思うと、こうしてエンタテインメントに関わる仕事をする身としては、とても非力に感じてしまう。新型コロナウィルス感染症の拡大を受け、3月からライブ活動を中止してきた首振りDollsのナオも、今回の予期せぬ時間の中でいろんなことを考えたのだと言う。

4月に誕生日を迎えたショーン・ホラーショー(Ba)に続き、今回は5月15日に誕生日を迎えたナオ(Dr&Vo)に、自らと音楽の関係性を語ってもらった。
やっぱり俺は“ロックバンドとして 生きて来たんだな”って思った

――新型コロナウィルス感染症の拡大を受け、ライブ活動が止まってしまった今、ナオの中で何か変化はあった?

「ありましたね。首振りDollsとしては、2月28日の仙台でのライブを最後に3月からのライブは全て自粛しているので。3月20日、21日、22日の3daysで予定していたツアーファイナルの最終日に、無観客で配信ライブをしたんですけど、お客さんを招いての通常のライブというのは、丸々3ヶ月やれていないですからね。生活が一変しちゃった感じ。こんなにもライブをしないなんて、自分の人生の中でなかったから。2月28日のライブのときも、まさかここまでのことになるなんて、想像していなかったですもんね。あの日から全くライブが出来ない生活が始まるなんて、本当に思ってなくて。1ヶ月くらいで収束するだろうと思っていたから」

――3月22日に収録したライブをDVD化する為にしたインタビューの中でも話していたよね(※【03.22.2020『THE ROCKY GLAM DOLL SHOW II』】6月15日予約開始、25日リリース決定!)。

「そう。そのときは、まさかこんな長期戦になると思っていなかったから、1ヶ月ライブをしないってことが、バンドを始めてからの自分の人生においてなかったって話をしてたんだけど、そこから2ヶ月、さらにはこの先、今まで通りにライブが出来ることがいつになるか分からないっていう状況になってきて、本当にいろいろと考えさせられたんですよね。自分と音楽との関わり方を」

ーーこうなった今、ナオにとって音楽の存在とは?

「より必要不可欠なものだってことを痛感したのと同時に、やっぱり俺は“ロックバンドとして生きて来たんだな”って思った。音楽をやっている人達の中にも、楽曲制作を中心にやっている人や、プレイヤーに徹して音楽をやっている人や、いろんな音楽との接し方があると思うんだけど、俺は、自分の人生と音楽は供にあることはもちろん、“ロックバンドとして音楽と接して来たんだな”って、実感したかな。普通にライブが出来てたときって、お客さんが待っててくれるから、とか、お客さんの為にライブしたり音楽やったりしてるんだって思ってたんだけど、今、こうしてライブが出来なくなって、“俺は生かされていたんだな”って思ったんですよね」

――音楽に?

「そう。音楽にもお客さんにも。お客さんって、“またライブしに来て下さい!”とか“また観たいです!”って言ってくれるから、その言葉に応えようと思っていっぱいツアーに行くバンドだったし、そのお客さんの声に答えたくてライブをやっていたっていう感覚だったんだけど、ライブが出来なくなった今、応えていたんじゃなくて、自分がその言葉と、ライブという場所に生かされていたんだなって思うようになったんです。首振りDollsは北九州のバンドだから、ツアーの始まりが九州だったので、東京まで車で走ってくると本当に遠くて、“ふぅ〜。めちゃくちゃ遠いなぁ、、、。疲れたぁ〜”って感じやったけど、ライブが終わる頃には疲れも吹っ飛んで、またすぐにでも東京に来たくなってた。それくらいライブが好きだったんですよね。もちろん、今もだけど、ライブが出来なくなって、よりそう思うんです」

――ナオにとって、音楽は、=ライブってことね。

「そう。本当にそう。音楽=ライブって言ってもいいくらい。それくらいライブが好き。ライブするために生きてた、って感じ。ライブ出来なくなった今も、曲を作ったりして音楽はずっとやり続けていて、音楽に触れない日は1日もないんだけど、なんかやっぱ物足りたいというか。何のために曲を作っているのか? って考えちゃう自分がいるんですよね。俺が音楽作るのは、ライブでみんなと共感し合えるために作ってんだなぁ〜って、今回の時間の中で改めて、自分が曲を作ってる意味を見つめれたっていうか」

――ショーンにも訊いたことなんだけど、ナオはスタジオミュージシャン志向ではない感じ?

「そうね。でも、プレイヤーとしての意識が無いってことではないけどね。俺はボーカリストでもあり、ドラマーでもあるから、プレイヤーとしては、ドラマーとしていろんな音色や技術的なことの知識もだんだん増えて来てると思うし、それなりにこだわりもあるし。知識的なところは後から身に付いていった気がするけど、そこよりも、感覚的なところの方から研ぎ澄まされていってた気がしますね。バンドマンとして。ライブをやり続けたからこそ出来るようになったことというか。体で覚えた感じというかね。だから、もともとプレイヤー気質ではなく、本当に叩き上げのバンドマン気質なんだろうなぁって思いますけどね、俺は」

――間違いなくね。

「そう(笑)。間違いなくバンドマン(笑)」

――最初に手応えを感じる瞬間って、どの作業をしてるときだったりするの?

「いやもぉ、手応えも何も、ライブやんないと手応えなんて感じられないもん!」

――いいフレーズが浮かんだときとか、“よっしゃ! キタ!”ってならないの?

「なんないかなぁ〜。スタジオで3人で音を合わせたときに、“おっ、いいじゃんいいじゃん!”ってのはあるけど、まだそこでは手応えまではいかないというか。作ってる段階で、“おしっ。これキタな!”っていう感覚があった曲とかも、ライブでやってみたら、“あれ? そうでもなかった!?”ってときもあるからね(笑)。逆に、30分くらいで書き上げた曲とかが、アンセムみたいになったりすることもあるし。だから面白いんですよね! 自分の感覚が全てではないというか。そこで生まれる感覚と科学変化ことそが醍醐味というか。“よし。最高のヤツ出来た!”っていうだけの自己満足ではないというかね。だから面白い。自己満足も必要なんだと思うけど、それだけじゃ足りない。ライブやってこそなんですよ、バンドマンって。ライブがなくちゃ生きれない生き物なんです」

――そうだね。自分が見る側で音楽を欲していた時代は、どういうところに魅力を感じていたの? どういうキッカケでその音に惚れたのか。興味を持ったのか。

「ん〜、そうねぇ。流行りの音楽は聴かないっていうタイプではなかったんだけど、圧倒的にオーバーグラウンドではない路線の音楽に魅力を感じるタイプであったのは確かで。好きになるキッカケは匂いかな」

――匂い?

「そう。でも、共通した匂いではないと思うんだけど、匂いが好き。だから、“このアーティストのことは何でも知ってる!”っていうタイプではなく、“このアーティストのこの曲のこと、この曲が入っていたアルバムのことは、誰よりも語れる!”っていう好きになり方なの(笑)。このバンドだから、全部が好きっていう訳ではない。でも、“このアーティストのこの曲のことなら誰にも負けないくらい語れます!”みたいな感じ。なんなら、この1曲しか好きじゃないけど、その1曲があるがためにそのバンドのことめちゃくちゃ好き! とにかく大好き! っていうのもあったりする。とにかく気に入ったアルバムがあったら、そのアルバムを一生聴く! みたいなタイプなのね(笑)」
本当にヤバイくていい音楽って、 すごく単純なんだと思う。 単純だけど、絶対に飽きさせない

――あ、そういえば、このマンスリーインタビューで、THE BOHEMIANS の平田ぱんだとTHE BLUE HEARTSの話をしてたとき、ぱんだに、“このアルバムを聴いてなくてTHE BLUE HEARTSは語れないってば!”って言われてたよね(笑)!

「あははは。そうそう(笑)! よく言われるんだけどね、そのときの対談でも言ったけど、俺の中では負けないくらいTHE BLUE HEARTSのこと好きなんですよ(笑)。自分の好きなTHE BLUE HEARTSの曲についてだったら、誰よりも語れる自信があるっていうか(笑)。めちゃくちゃ好きなの(笑)」

――人を好きになるときもそういう感覚?

「人を好きになるとき? い、いや。ん? どうなんやろ? いや、人を好きになるときは、全部が好き。全部を好きになる。いいとこだけじゃなく、嫌いだなぁ、嫌な部分だなって思うところも全部好きって思える。本当に好きになった人のことはね」

――じゃあ、嫌いになるときは?

「自分のこと嫌われたときかな。今まで生きてきて、憎しみ合うようなことが無かったことはないから、人を嫌いにならないことはないけど、自分に興味のない人は追いかけようとは思わない。自分が好きな人のことは追いかけるけどね。どんなことがあっても。対バンライブとかで、自分たちが演奏してるのに、興味なさそうにしてる人が居たら、振り向かせてやる! って頑張るけど、普通に生きてる中で自分に興味の無い人を、そこまで必死で振り向かせようとは思わないもん」

――ナオはバンドのリーダーでもある訳で、バンドを引っ張っていく為には自分が先陣切って人の輪の中に入って行かねばいけない立場でもあるけど、それは苦痛ではないの? 人見知りとかではないの?

「人見知りはしなくなったかな〜。小学生の頃は人見知りしてた気がするけど、大人になってからは人見知りしなくなった。父親がお店をやっていたこともあって、子供の頃からそこで手伝いとかしてたから、そこまで人見知りはなかったと思うけど、大人になって人見知りとかしてたら仕事出来ないから、自然としなくなった感じだったんじゃないかな。恥ずかしがってちゃ仕事出来ないから、人の接し方が変わったんだと思う。仕事をするなら、自分の殻を破っていかないとね。ガキの頃からバイトしまくりだったのもあって、普通の子供よりもスレるのも早かったと思うよ。自分で自分の殻を破ってみて思ったのは、怖がらなくてもいいんだなってこと。相手のことを不快にしない話し方を心掛けたら、相手もちゃんと自分のことを受け入れてくれると思うし。真っ直ぐに人と向き合えばいいんだなって。そう思えるようになってからは、人と話すのが怖くなくなったんですよね」

――そんな風に考えていた時期もあったんだね。

「うん。なんで人見知りかどうか訊かれたの(笑)?」

――あんまり人見知らないなと思ってたし、人に気を遣える人だし、生粋の後輩気質であるナオだけど、ナオの書く歌詞を読むと暗いから。明るく見えているけど、根は暗いんじゃないかと思ったから(笑)。

「あははは! 暗いとか言わないで(笑)! でもそうね〜、根暗なところはあるのかもね〜(笑)。そういうとこ歌詞には出ちゃうんだよね〜」

――最初に歌詞を書いたのはいくつのとき?

「中学生の頃」

――もうバンドやっていたの?

「うん。最初のバンドは中学2年のときだったかな。コピーもやってたし、オリジナルもやってた。SHAKALABBITSとかORANGE RANGEのコピーやってた。高校の頃にも掛け持ちでいろんなバンドやってたけど、その頃はCHARCOAL FILTERとかもコピーしてた。この前、CHARCOAL FILTERの「やさしさライセンス」聴き返してみたんだけど、改めていい曲だな〜って思ったしね」

――懐かしいなぁ、チャコフィル。本当にいいバンドだった。「やさしさライセンス」、いい曲だったよね。インタビューしてた頃が蘇るなぁ。

「曲聴くとその頃に引き戻されるよね。それが音楽のすごいとこだと思う。首振りDollsという音楽性のバンドをやっている今の俺をみたら、この頃にコピーしてたバンドは、自分が本当にやりたいバンドではなかったってのが分かると思うけど、コピーしてたバンド全部カッコイイし、今聴いてもイイバンドだなって思うんだよね。それぞれ本当にカッコイイと思う。でも、自分が本当にやりたかったのは、ザ・スターリンとかだったから。その頃、自分がやりたい方向性でコピーが出来ていたのは、Nirvanaだったかな」

――Nirvanaには片鱗を感じるからね。バンドはドラムで?

「そう。ドラムで。父親がドラムやってたからね。実際のドラムに触ったのは中学の頃だけど、たぶん4歳くらいの頃から手遊びで教わってた」

――本当に英才教育だな(笑)。ザ・スターリンは、ナオがお腹に居る頃にお母さんがよく聴いていたからっていう話は前に聞いたことがあったけど、CHARCOAL FILTER、SHAKALABBITS、ORANGE RANGEをコピーしていた流れの中で、Nirvanaだけはちょっと異色だよね? そこはナオ発信?

「そう。俺発信。友達に、これやりたいって聴かせてやったの。Nirvanaを知ったキッカケってなんだったかな? やっぱ親父かなぁ。親父が車の中でThe OffspringとかMetallicaをよく聴いていたから、そこらへんを漁ってるうちにNirvanaにも辿り着いて、自ら『In Utero』(Nirvanaのアルバム)を聴いてみようと思って聴いたんだっけな。たしか。そのアルバムの中に入ってる「Very Ape」って曲がヤバくて! とにかくカッコ良くてめちゃくちゃハマって。“俺もこんなバンドやりてぇ〜!”って思ったの」

――出た(笑)。1曲集中主義!

「あははは。さっきした話と繋がるよね。その1曲で誰よりも語れる自信があるって話ね(笑)。でもね、そうなの。本当に「Very Ape」でNirvanaにドハマリしたからね。誰よりも好きな自信あるから(笑)。「Very Ape」はマジでヤバイ。俺ね、本当にヤバイくていい音楽って、すごく単純なんだと思うんですよ。単純なんだけど、絶対に飽きさせないの。そこがすごいんだと思う。「Very Ape」も、まさにそんな1曲。俺が好きになる曲って、そういう曲多いんですよね。俺が最初に、“これでいいのかぁ!”って思って好きになったのは、ゆらゆら帝国の「夜行性の生き物3匹」。あの曲ヤバイんですよ。本当にいい。感覚的なものなんだけど、本当にすごいと思うし、本当に好き」

――たしかに、「Very Ape」もすごく単純な曲だもんね。

「そう。その持論は今も変わらないなぁ。俺ね、好きな音楽は増えたけど、変わってない。今思うと、音楽をめちゃくちゃ吸収してた時期ってあったんだなって思う。本当に、体に染み込んでいってた時期がある。あの頃みたいに音楽聴きたいもん」

――聴き方が変わったってこと?

「うん。変わった変わった」

――スポンジじゃなくなったってこと?

「そう。スポンジじゃなくなった」

――どうして?

「自分で音楽やりだしたからかな。いろんなことが分かる様になったからかも。もちろん、今も純粋に聴いているんだけど、好みが昔よりハッキリしてきたのかなって思う。ん〜、でもポップスも今だに好きだったりはするんだけどね。昔、とにかくカッコイイなって思って憧れて聴いていたのはロックンロール。ロックバンドやパンクバンドには、スタイルも憧れてた。けど、普通に流行ってた浜崎あゆみさんとかも聴いてたし、aikoさんは歌詞も曲もコーラスワークも大好きだったしね。浜崎あゆみさんは、親父のやってた店に住み込みで働いてたバイトのお兄ちゃんの影響だったけど、aikoさんはテレビで歌を聴いて好きになって、自分でCD買いに行ったんだよね。そういう音楽も聴いてたけど、やっぱりザ・スターリンとかはずっと好きだったし。アンダーグラウンドな音楽は掘り続けてた。でも、転校も多かったから、友達と話すとき、誰も俺の好きなアンダーグラウンドな音楽を好きなヤツは居なかったから、好きな音楽を聴かれるときは、浜崎あゆみさんって言ってたりしたのもあって、めちゃくちゃファンだと思われて、誕生日とかにはいろんな浜崎あゆみさんグッズを貰ったりしたんだよね(笑)。母親に、“あんた、そっちに行ったかぁ〜”って言われたけど、12歳だった俺は、その言葉にわざわざ反論することもなく、心の中で、“いや、ちゃんとずっとザ・スターリンとかが好きだぜ!”って思ってたっていう(笑)」

――あははは。バンドで食っていける様になりたいって思ったのは?

「音楽でプロになりたいとか、ご飯たべれる様になりたいって思い始めたのは、大学に入ってからじゃない? それまでは、そんなこと考えることもなく、音楽をやってることが当たり前だったから。音楽がない人生なんて考えられなかった。中学や高校の頃は、自分から音楽が無くなるなんて思ってもみなかったし、世間が狭かったから、周りに居た友達より音楽のこと詳しいって思ってたし、楽器もみんなよりは出来たから、ずっと音楽やっていくものだって思ってた。当たり前にね。周りには音楽でプロを目指そうなんてヤツは居なかったからね」

――大学の頃からは、“当方プロ思考”になったの?

「いやいや。そんなことを取り立てて考えたこともなかった感じだったんだよね。けど、大学に行ったら、自分と同じ様な音楽の趣味の人達に出逢って、あぁ、世間は広かったんだなって思ったよね(笑)。井の中の蛙状態だったんだなって、そのとき思った。でも、やっぱりそれでも世間が狭かったから、ここまで当たり前に音楽やってるんだから、プロになろうと思えばいつでもなれるっしょ! って思ってたんだよね。偉そうな意味じゃなく、本当にそれくらい自分にとって音楽って当たり前に自分の中にあったし、共にあったものだったんですよね。だから、周りのヤツ焚き付けて、“一緒にプロ目指そうぜ!”って言うこともなかったしね。中学や高校のときの環境とは違って、大学にはすごく上手いヤツもいたんだけど、一緒に音楽をやり続けたいって思えるメンバーに出逢えていなかったのもあったのかもね。でも、今思えば、大学の頃くらいから、チラッとプロとして音楽をやるこを考え出したのかも。音楽の話を深く出来るヤツらともそこで出逢ったし、そこで、ちょっと一旗あげたろかい! みたいに思う様になったのかもな。コンテストで優勝した先輩とかも居たりして、その先輩に頼まれてドラムで加入してオーディションとかも受けたこともあったから、そのあたりからちょっとプロとして音楽をやっていくということを意識するようになっていったんだと思う。その人は今も音楽続けているけど、すごくポップな音楽性だったから、ずっと一緒にやろうとは思わなかったしね。今、首振りDollsとしてジョニーとショーンと一緒にやれてることは、本当に幸せ。自分のやりたいことが出来てるからね。でも、現状に満足はしてない。不満があるという意味じゃなく、日に日にやりたいと思うことが増えていってるし、どんどん自分の中で可能性が広がっていってるのが分かるの。やりたいことが尽きることがない。“あ〜もぉ〜やりきっちゃったなぁ。つまんないなぁ〜”とか、スランプになるとか一切無い。やりたいことだらけ! 楽器の数も、今はギターとベースとドラムだけの音でやってるけど、そこの基本は絶対に変えずとも別の楽器の音も入れてみたいなって思ってたりもするし、音色ももっといろんな音を入れていきたいしね。個人的には、1番好きなハードコアとかもやってみたいし、チルアウトみたいな優しいふわっとした音楽もやりたいし」

――チルアウトかぁ。ちょっと意外だと思ったけど、でも、首振りDollsの曲の中でも、とことん柔らかい曲を作っていたりするもんね。「BROWN SUGAR」とか「月のおまじない」とか。

「うん。そうね。あとね、女の人の声が出る様になんないかなぁ〜って思ってる。なんかね、俺、自分の体一つじゃ出来ない音楽がやりたいんだよね。まぁ、それはいつかね。お金かけて出来ることが増えたら、やりたいことなんて無限にあるけど、今は、ロックバンドとしてジョニーとショーンととことんロックンロールがやりたい。3人の音でもっともっと出来ることがたくさんあると思うから。いけるとこまでいかないと、やりたいことも出来ないから。ただただ今は3人の音で最高の首振りDollsの音を作りたいと思ってる。本当にまだまだ無限にあるからね。ジョニーとショーンと作りたい曲」

――いいことだね。期待してるよ。
やっぱり自分はずっと バンドマンでいたいと思う

――ボーカリストとしての話も訊いていい? ナオが書く歌詞は独特で、感覚も感性もすごくいいものを持っていると思うんだけど、ナオが好む音楽と同じく、アンダーグラウンド要素が強かったりするよね。そこは、ナオの本棚と深い繋がりを感じるんだけど。

「俺の本棚、かなり変だし、気持ち悪いからね(笑)。ガロ系の漫画とか本当に好きだし」

――ジョニーがナオの本棚見て、“絶対こんなヤツとは友達にならん”って言ってたもんね(笑)。そんな2人が一緒にバンドをやっていること自体も不思議だけど(笑)。そもそも、ナオがサブカルチャーに興味を持ったキッカケは何だったの?

「叔父さんの影響だと思う。母方の叔父さんの本が、実家の押入れにいっぱいあったのを子供の頃に見つけて、それを読み漁ってたら、感覚がおかしくなっていったのを自分でも感じたんだよね。いわゆる特殊漫画というかサブカル雑誌みたいな。最初は、女の人の裸の写真が見れるからっていう興味本位でこっそり見てたんだけど、だんだんその不思議な世界に興味を持つ様になってた自分が居て。小学校の5、6年生の頃かな。ちょっと変になっちゃった自分を感じたというか。でも、そこと並行してザ・スターリンとか好きだったから、だんだんと自分の好きな音楽とそのアンダーグラウンドな世界観が繋がっていったんです。丸尾末広さんを知ったのも、ザ・スターリンの『虫』っていうアルバムのジャケットだったピストル忍者の絵がキッカケだったし。そこからガロ系の漫画を漁る様になって、いろんな変な本とかも集めまくっていく様になって。音楽も、その頃ハイテクノロジー・スーサイドとか、いわゆる殺害塩化ビニール系のハードコアとか聴きまくってたから、そことそういう漫画とか本達がどんどん自分の中でリンクしていったんですよね。点と線が繋がりまくっていったんです。事務所に置いてある俺の本なんて、本当に一部ですもん」

――氷山の一角?

「そう。まさに氷山の一角! 本当に気持ち悪い本いっぱい持ってる(笑)。今も好きではあるけど、収集癖とかそういう映像とかを見まくっていた時期は過ぎたというか。もう今は見ないけどね」

――まあでもそういう時期に吸収したものは、ナオの血となり肉となってはいるからね。そういうところからインスパイアされた歌詞は多いの?

「そのままを歌詞にするとかはないけど、吸収はしてたと思うから、表現の一つとして自分の中にはあると思うよ」

――初期曲の歌詞は特に感じるけど、ナオの歌詞は文学的だったりするんだよね。

「かぶれてましたからね。「鏡地獄」も戸川乱歩の『鏡地獄』を描いたものだし、「少女地獄」なんて、夢野久作の『少女地獄』を題材に、姫草ユリ子をモデルにして作詞したものだし、既存の物語にインスパイアされて書いた歌詞もあれば、ロックンロールに合った歌詞をそのままサウンドに乗せている時もあるしね。自分自身のことを歌っていたりする訳ではないというか、そういう感覚はあんまりないかも」

――自分の実体験みたいなのはないの?

「実体験にスパイスを加えた感じのものもあったりはするけど、そこに自分の好きな文学だったり、サブカルだったりアングラな世界観を散りばめていたりするかな。首振りDollsを始めて初めて作ったアルバム『首振人形症候群』(※2019年に『首振人形症候群〜REVISITED盤〜』として再発し現在発売中)の歌詞にある“壊したい”だの“奪いたい”だのっていうのは俺の言葉のままというか。そこをさらにドラマチックにするための脚色はあるけどね。文学の匂いをさせるときは、それ様の歌詞を書いてる。曲調に合わせて歌詞を書いてるからね。文学を乗せたいときは、ヨナ抜き音階が合うんです。和風のスケール構成」

――最近の曲で言うと、「バケネコ」(※最新スタジオライブアルバム『THE ROCKY GLAM DOLL SHOW』に収録)とかはそこに寄ってたりもするよね。歌詞の書き方も。

「そうね。サビは違うけど、AメロBメロはそうね。そういう個性は、自分の特徴でもあるのかなって思うかな。でもね、文学の匂いさせまくってた曲って、なかなかライブで盛り上がる曲って感じではないから、今はどうしてもライブで盛り上がる曲を作ろうとしちゃってる感じはあるのかも。ショーンのベースを最大限に活かしたいっていう感覚もあって」

――ライブって、盛り上がるのが良いとされているけど、それだけではないと思うからね。沈黙は金、じゃないけど、聴き入っているからこそ盛り上がりに欠けるということもあるし。首振りDollsの代表曲でもある「鏡地獄」も、ショーンのベースですごくばけたしね。どちらかというと聴き入る曲であっただろうに、今やライブでクラップが起こる曲に変化してるし。

「そうね。ショーンのベースの威力ってすごいのよね。だから怖がることはないのかもしれないんだけどね。どんな曲を作っても、昔の曲をやっても、今の首振りDollsの音になるし」

――そう。今の、ナオ、ジョニー、ショーンの首振りDollsの音になる。

「そう。それもあって、今、この期間中にめちゃくちゃ曲を作っているんだけど、俺の個性とされる昔の匂いのする曲もいっぱい作ってる」

――楽しみにしてるね。

「うん。ここ最近俺の曲をリード曲にしてなかったりするからね。この自粛期間でゆっくり音楽を聴く時間も持てたから、自分が好きだったものを漁り返してたりもしたし。やっぱり掘り返してみると、昔の歌謡曲とかって本当にすごいなって再認識させられてたりもするんですよ。再インプット中というか、再読み込み中って感じ。石川ひとみさんの「まちぶせ」とか本当にすごいなって思うからね。昭和の歌謡曲とか聴いてると、本当にすごいなって思う。歌い手の力もすごいし。歌詞も曲もすごい」

――石川ひとみの「まちぶせ」は本当にすごいよね。ちょっとストーカー的な怖さがあるのに、聴き手を“こんな風に一途に思われてみたい”みたいな感覚にさせてしまう魔力というか。

「そう。あんなに怖いこと歌っているのに可愛いからね。昭和の歌謡曲ってそうなんですよね。怖いくらいの感情を、聴き手にスゥッと入り込ませる感じで歌える歌い手の力も本当にすごいなって再確認したんです。そういう歌が歌える人って、選ばれた人だったんだろうなって思った。でも、これがまた70年代くらいになると、怖い雰囲気がそのまま表現されてたりするんですよ。りりィさんの「私は泣いています」とか、メロディもちょっと暗いですからね。でも、すごくロックなんですよね、歌い方が。絞り出す様に歌ってる。だからこそ伝わるんだろうなって。ピンクレディの曲とか、すごくロックだと思う。バンドでやったらグラムロックっぽいと思うしね。本当にカッコイイなって。今、聴き返した時間の中で、歌い手の表現力っていうものにも注目しているんです。表現力でいうなら、研ナオコさんの「夏をあきらめて」もすごいなって思うんですよね」

――そうだね。堀江淳の「メモリーグラス」も良かったんだよね。あと、本当に引き込まれたのは、南佳孝「スローなブギにしてくれ」。松本隆の歌詞世界も本当に素晴らしい。

「分かる。山口百恵さんとかも本当に惹かれる。宇崎竜童さんの曲もすごかった。若い女の子が大人びて見えるのも本当に不思議で。10代であの歌が歌えるって、すごい円熟してるなって。本当に改めて感動したりもして。アン・ルイス さんの「グッド・バイ・マイ・ラブ」も本当に可愛いですからね。あんな曲聴いちゃったら好きにならずにはいられない。ヤバイくらい可愛い。時代背景みたいなのも見えてくるのも良いんですよね。小坂恭子さんの「想い出まくら」とかも本当に時代を感じるんだよなぁ〜」

――いくつよ、ナオ(笑)。

「あははは。確実に同じ歳の人とは話し合わないタイプでしょ(笑)。でも、こんなにライブが出来ない期間を経験するとは思っていなかったけど、この経験が活きるときって、この先絶対にあると思うからね。絶対に無駄にはしない。この環境すらもプラスに変えていきたい。5月15日の自分の誕生日に絵本を描いて売ったんだけど、ずっと絵本を描きたかったんだけど、なかなかそういう時間も取れなかったから、そういう時間を持てたのも、プラスとして考えたいし。そんな絵本ですら、ちょっと悲しい暗いお話になってるっていう(笑)。絵本の世界観なんかは、本当に自分そのものなんだろうなって思う」

――『猫海月』(絵本のタイトル)ね。悲しいけどあったかいお話だったね。

「うん。これも荒井由実さんの「ひこうき雲」的な感覚というか。死んじゃったんだけど、その子は幸せだった、みたいなね。死んじゃったけど、なりたいものにはなれたというか。ハッピーエンドではないけど、微妙な空気感を描きたかったんですよね」

――まさにナオの世界観だったね。

「うん。この先も歌詞の中にもそういう表現は出てくるだろうし。この期間に自分の好きだったものを漁って改めて対面したことで生まれてきた曲もあるから、楽しみにしててほしいです」

――じゃあ最後に。この先、ナオは、どんな風に音楽と向き合っていきたいと思っている?

「やっぱり自分はずっとバンドマンでいたいと思う。コロナでのこの経験は、絶対に無駄ではなく、すごく大きなことを教えてくれた時間でもあったと思うし、無駄にしちゃいけない時間でもあると思っていて。俺たち届ける側もお客さんも、今まで以上に1本1本のライブを大切に思う様になると思うし、なによりも、目の前で、生で演奏する、観る、ということの意味がどれだけ大切で、どれだけ価値のあることなのかってことを再認識する様になれると思うんですよね。首振りDollsとしては、音楽を愛する人達、生で音楽を感じたい人達に、生で音楽を届け続ける存在でありたいなと思います。俺の中でバンドって、怖い存在なんですよ。自分が好きで憧れてきたバンドは、怖い存在だったんですよ。近寄り難い怖さを持ってた。怖いぐらいの勢いとパワーをもらえる存在でもあったから。バンドって、ライブをしているときは、そういうパワーを放った存在じゃなくちゃいけないと思っているから。もちろん、ライブはみんなで楽しめる空間なんだけど、存在としてね。首振りDollsも、そんなパワーを持ったバンドでいたいですね。本当に1日も早くみんなに会いたい。本当に今、それだけかも。みんなに会える日が、1日も早く来ますように。その日のために頑張ります! みんなの笑ってる顔を生で見たいから。それまで、みんなも健康に気をつけて、また元気な姿を見せてね、って伝えたいです」

text by 武市尚子
STUDIO LIVE DVD 3.22.202『THE ROCKY GLAM DOLL SHOW II』
2020年6月25日発売

※6月15日より首振りDolls online storeにて予約受付スタート!

¥3,500(税込)

※約60分のライブ映像に、スペシャルインタビューとオフショット映像が収録された大満足の1枚! 未発表新曲もあり!

■首振りDolls online store

https://kubihuri.thebase.in
STUDIO LIVE アルバム3.22.202『THE ROCKY GLAM DOLL SHOW』
2020年5月20日発売

¥3,000(税込)

※新MV「リトルサマーベリーオレンジミルク」収録アルバム

■首振りDolls online store

https://kubihuri.thebase.in


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