コロナ渦におけるストリーミング・チャートの動向 ヒット曲に共通するポイントとは?

2020年5月27日 / 10:00

 2020/5/25付(集計期間:5/11~5/17)のBillboard JAPANストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”で、TOP100の総再生回数が8週ぶりに1.4億回再生を突破した。ストリーミング・ソング・チャートでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で一時再生数が減少傾向となったものの、ここ1か月は回復の兆しを見せている。

 2020年のTOP100の総再生回数推移(図1)を見てみると、2020/2/24付チャート(集計期間:2/10~2/16)から6週間は1.4億回の大台を超えていたが、首都圏で外出自粛が呼びかけられた2020/4/6付チャート(集計期間:3/23~3/29)以降は、数字の伸び悩みが顕著となった。特に、緊急事態宣言が発令された2020/4/20付チャート(集計期間:4/6~4/12)は、13週ぶりに1.3億回を下回る結果となった。

 このような動向となった要因としては、休校や在宅ワーク導入で通勤通学時に音楽を聴く人が減った、“ながら聴き”の需要がラジオやポッドキャストといった別の音声コンテンツに移ったなど、外出自粛に関連した事柄が多く考えられるが、それらに加え、Official髭男dism「I LOVE…」やKing Gnu「白日」など、爆発的な人気を博していたチャート上位陣の勢いが落ち着いたことも大きな要因の一つだろう。

 またグラフは、2020/4/27付チャート(集計期間:4/13~4/19)より再び増加傾向を見せている。ここで鍵となるのが、これまでTOP100にチャートインしたことがなかったアーティストの楽曲だ。2020年にTOP100に初登場したアーティストの楽曲で、3週以上チャートインした曲(図2)を見てみると、コロナ渦以前にヒットした楽曲は、TOMORROW X TOGETHER「9と4分の3番線で君を待つ(Run Away)」のみ。しかし3月以降は、計9組のアーティストが初のトップ100入り&3週以上のチャートインを果たした。

 コロナ渦でヒットした9曲には、いくつか共通するポイントがある。まず、TikTokで流行した楽曲が多いことだ。チャレンジ動画でお馴染みのザ・ウィークエンド「ブラインディング・ライツ」や、演奏動画も多く投稿されている瑛人「香水」、若者やカップル同士の日常を映したVlogでよく使用されているRin音「snow jam」など、9曲中5曲が【TikTok週間楽曲ランキングTOP20】にチャートイン経験がある。若年層リサーチ結果を発信する「TesTee Lab」によると、この自粛期間中、休校期間が長引くなかで学生のTikTok利用が増えたという。その影響が、ストリーミング・ソング・チャートにも及んだことが推測できる。

 また、9曲中6曲がインディーズ・レーベルまたは「TuneCore」「The Orchard」といったデジタルディストリビューション・サービスを通して配信された楽曲である。この背景には、CDショップの営業自粛の影響で多くのメジャーレーベルがリリースを延期したことにより、無名のアーティストでもTOP100にチャートインしやすくなったことが考えられる。特に、瑛人「香水」、YOASOBI「夜に駆ける」、神はサイコロを振らない「夜永唄」の3曲は、2019年リリースの楽曲にも関わらず、2020年に初のチャートインを果たした。新曲のリリースが減るなかで、インディーズ・アーティストの過去曲は、ファン以外のリスナーには新曲と同じような感覚で捉えられたのではないだろうか。

 もちろん、上記のポイントに当てはまらないヒットも存在する。緑黄色社会は「Mela!」の初チャートイン後、「Shout Baby」もトップ100入りを果たしており、バンド自体に注目が集まっていることが想像できる。緑黄色社会はこのコロナ渦中、登録者数が100万人を超える人気チャンネル「THE FIRST TAKE」への出演に加え、セッション動画やライブ動画の配信といったYouTubeでの活動を盛んに展開していた。生のライブが開催できない今、これらの活動が好調なチャートアクションに繋がった可能性は十分考えられるだろう。

 このように、コロナ渦を通して、国内のストリーミング・ソング・チャートにおけるヒットの形はますます多様化している。例年では今後、夏にかけて大規模イベントに出演したアーティストが再生数を伸ばす傾向にあったが、既に【ROCK IN JAPAN FESTIVAL】や【RISING SUN ROCK FESTIVAL】など、多くの夏フェスが中止を発表している。また、放送やロードショーが延期になっていたドラマ・映画の主題歌のチャートインが増えていくことを考えると、今夏は例年とはかなり異なるチャート動向になることが予測される。


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