【深ヨミ】2020年第1四半期 シングルセールスにみる売上の一極集中化とは

2020年4月5日 / 14:00

 SoundScan Japanによる2020年第1四半期の売上動向が明らかとなり、シングル売上第1位はAKB48『失恋、ありがとう』であることがわかった。(集計期間:2019年12月30日~2020年3月29日)

 2020年第一四半期のシングル総売上数は10,908,017枚で、前年同期にあたる2019年第一四半期(集計期間:2018年12月31日~2019年3月31日)の10,490,003枚と比べると約104%と微増。数量では41.8万枚増加している。2020年第一四半期の売上TOP10は以下の通り。

◎2020年第一四半期シングル・チャート
1位:『失恋、ありがとう』AKB48 141.9万枚
2位:『しあわせの保護色』乃木坂46 105万枚
3位:『D.D./Imitation Rain』Snow Man vs SixTONES 91.3万枚
4位:『Imitation Rain/D.D.』SixTONES vs Snow Man 88.3万枚
5位:『ソンナコトナイヨ』日向坂46 62.4万枚
6位:『ソーユートコあるよね?』SKE48 40.3万枚
7位:『PROTOSTAR』JO1 37.9万枚
8位:『無謀な夢は覚めることがない』STU48 33.8万枚
9位:『I am/Muah Muah』Hey! Say! JUMP 23.2万枚
10位:『KOKORO&KARADA/LOVEペディア/人間関係No way way』モーニング娘。’20 20.9万枚

※計測期間:2019年12月30日~2020年3月29日

 上記チャートからも明らかな通り、上位10作は全てアイドルグループの作品であり、なかでもAKB48を始めとする多人数の女性グループとジャニーズのアーティストが大半を占めている。また、売上の総数(10,908,017)約1,091万枚に対して上位10作の合計は(6,449,981)約645万枚であり、上位10作だけで売上枚数全体の59.1%を占めていることがわかる。

 では、AKB48などの多人数の女性グループとジャニーズのアーティストの全作品の売上を除いた、他のアーティスト全部の売上はどれくらいなのだろうか。それを調べるために2019年と2020年の第一四半期の全シングル売上をアーティストに着目して分類してみた結果をグラフ(http://www.billboard-japan.com/d_news/image/86690/2 )に示す。

 グラフ内で「他」で示される、AKBグループやジャニーズ以外のアーティストの2020年の売上は約468万枚。2019年が約545万枚だったので77万枚減少していることになる。その一方で、AKB48などの女性グループの売上は2019年が約390万枚、2020年が約400万枚で10万枚ほど増加、ジャニーズアーティストは2019年が115万枚、2020年が223万枚で108万枚も増加している。(いずれも第一四半期での比較)

 対象となる期間が3ヶ月ということで、この期間にシングルをリリースしなかったアーティストも多いが、限られた一部のアーティストがシングルセールスのかなりの割合を売り上げていることは明らかだ。しかも2019年よりも2020年の方がその傾向は顕著になっている。ストリーミングなどデジタルの領域で、一部の有力アーティストが売上の大半を占めると言われて久しいが、シングルCDについても同じことが起こっていることがわかる。

 ただ、今後についてはまた状況が変わるかもしれない。大きな売上を上げていたアーティストの大半が握手会などで売上を伸ばしているタイプだからだ。握手会やハイタッチ会などがいつでも行える施策ではなくなってしまった今、「会いに行ける」ことで売上を伸ばしていたアーティストが戦法を転換せざるを得なくなっていることは明白だ。ウイルスの流行の一日でも早い終焉を願う一方、会いに行けるアーティストたちの更なる進化に注目したい。


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