『Map of the Soul: 7』BTS(Album Review)

2020年2月25日 / 18:00

 オリジナル・アルバムとしては、2018年5月に発表した3rdアルバム『Love Yourself: Tear』から約2年ぶり、2019年4月にリリースしたミニ・アルバム『Map of the Soul: Persona』から約10か月ぶりとなるBTSの4thアルバム『Map of the Soul: 7』。タイトルに記された“7”は、2013年のデビューから経た期間“7年”を意味しているそうで、“7人”それぞれの思いや表現したいこと、成功までのプロセス等が詰まっている。

 前作『Map of the Soul: Persona』は、発売翌週の米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で初登場1位を記録。2018年は『Love Yourself: Answer』、『Love Yourself: Tear』の2作が同チャートでNo.1デビューを果たし、3作目の快挙達成となった。本国の人気アーティストでも3作連続でアルバム・チャートを制すのは難しく、彼等の米国での人気を物語る。

 新作『Map of the Soul: 7』には、その『Map of the Soul: Persona』に収録されたいくつかのタイトルが引き継がれている。オープニングは変わらず、RMが韓国語と英語を交えたラップを炸裂させる「Intro: Persona」~ホールジーをゲストに迎えたダンス・ポップ「Boy with Luv」。「Boy with Luv」のミュージック・ビデオは、公開24時間で7,000万再生を突破し、現在までに7億回という凄まじいストリーミング数を記録している。本作においても、プロモーションとしての大きな役割を果たすだろう。

 ジョングクの繊細なボーカルとRMのラップが掛け合う、エド・シーラン作のブリティッシュ・ポップ「Make It Right」~ジョングクとジン、ジェイホープの3人で構成されたエレクトロ・メロウ「Jamais Vu」、前作のトリを飾ったロック・テイストの「Dionysus」で第一幕を閉じ、ラップとボーカル・パートを織り交ぜたSUGAによるインタールード「Shadow」で第二幕が開ける。

 インタールードから繋ぐ「Black Swan」は、前月に先行配信されたリード・トラック。トラヴィス・スコットをなぞったようなトラップ寄りのヒップホップを、難無くパフォーマンスできる彼等のボーカル・ワークには感服する。ソングライターには、ジャスティン・ビーバー等を手掛けるフィリピン系カナダ人のダン・オーガスト・リゴがクレジットされている。次曲「Filter」は、ジミンお得意のファルセットが光るラテン・ポップ。カミラ・カベロあたりを彷彿させるこの曲もまた、米国のヒットを意識したようなナンバーだ。

 ジョングクが色気を醸して歌うスロウ・ジャム「My Time」~トロイ・シヴァンとカナダ出身の女性シンガーソングライター=アリー・Xがタッグを組んだ、量感あるエレクトロ・メロウ「Louder Than Bombs」の2曲も傑作。ダンス・パフォーマンスが定評のBTSだが、アップのみならず、ミディアム~バラードも完成度高い。

 11曲目の「ON」は、1月初旬に公開されたにカムバック・マップでも大きな話題を呼んだ、本作の目玉曲。アルバムと同日に公開されたミュージック・ビデオは、3日で6千万視聴を突破し、1週間で1億回に達する勢いに迫っている。UCLAのマーチングバンドを従えフォーメーション・ダンスを披露する映像は、見事としか言いようがないし、サウンドもヒップホップとバロック・ポップを融合させたような、斬新な創りになっている。同曲のコンセプトは“アーティストとしての召命意識と心構え”だそうで、本作の核となるメッセージが込められている。ボーナス・トラックとして、シーアをフューチャーしたリミックス・バージョンも収録された。

 次曲「Ugh!」は、RM、 ジェイホープ、 SUGAの3人による男気溢れるハードコア・トラック。シャウトや攻撃的なラップからも想定できるように、誹謗中傷や心ないコメントに怒りをぶつけているようなフレーズが多々見受けられる。銃声音やアジアン・テイストなバック・トラック等、アレンジもユニークで、彼等の解放感あるフロウも良いアクセントになっている。ラップ・ライン「Ugh!」からボーカル・ラインの「00:00 (Zero O’Clock)」へ。他4人がクレジットされた同曲は、ノスタルジックな泣かせのメロウに仕上がっている。

 Vが単独で歌うレア曲「Inner Child」は、『Map of the Soul: Persona』にも参加したアーケーズ作によるエレクトロ・ポップ。そのVとジミンが組んだ「Friends」も、レゲエのテイストを含んだ旋律の美しいエレポップで、いずれも“良い意味で”K-POPらしさが際立った。後者には、ノルウェーの音楽プロデューサー=マーティン・シヨリーがソングライターとして参加している。ジンがボーカルを担当した「Moon」は、過去作「Best Of Me」(2017年)や「Magic Shop」(2018年)等も手掛けたDJスウィベルによるプロデュースで、こちらもK-POP特有の軽快なダンス・ポップが聞き心地良い。

 一方、エフェクトを巧みに操ったRMとSUGAによるヒップホップ・トラック「Respect」は、米国を意識したクールな仕上がりになっている。デビュー作『2 Cool 4 Skool』(2013年)に収録された「We are Bulletproof Pt.2」を継ぐ「We are Bulletproof : the Eternal」、ジェイホープが担当するスクラッチを効かせたダンスホール調のパーティー・チューン「Outro: Ego」も、相当カッコいい。

 リリース2日前の2月17日時点で、400万枚の予約数を突破した本作『Map of the Soul: 7』。この記録は、BTSのアルバム歴代最多受注数で、韓国や日本はもちろん、アメリカでのNo.1デビューもほぼ間違いないと報じられている。1月26日に開催された【第62回グラミー賞】では、韓国人グループとして初めてパフォーマンスを披露し、話題をさらったばかり。本作を筆頭に、2020年も彼等の活躍は飛躍を遂げるだろう。

Text: 本家 一成


音楽ニュースMUSIC NEWS

kZm、約2年振りとなる2ndアルバムのリリースが決定

ニュース2020年3月31日

東京を代表するクルー・YENTOWN所属のラッパーkZm(ケーズィーエム)が、4月22日(水)に最新アルバム『DISTORTION』をリリースすることを発表した。代表曲とも言える「Dream Chaser feat. BIM」が収録され話題 … 続きを読む

lynch.、新曲リリース&売上利益をライブ​ハウスに寄付

ジャパニーズロック2020年3月30日

lynch.がコロナウイルスの影響で深刻な経営不振に陥っているライブハウスへ向けての支援企画を発表した。 これはコロナウイルスの影響を受けて多くのイベントが自粛されたことにより、存続が困難となったライブハウスへ向けて、ライブバンドとして活動 … 続きを読む

TK from 凛として時雨、ニューアルバム『彩脳』のアー写は岡田貴之の撮り下ろし

ジャパニーズロック2020年3月30日

TK from 凛として時雨が、4月15日にリリースする約3年ぶりのアルバム『彩脳』の新アーティスト写真を公開した。白バックにカメラ目線ではっきりと顔立ちのわかる貴重な新アー写は、2018年発売のシングル「katharsis」のアー写以降、 … 続きを読む

外出自粛中にジャレッド・レト/サム・スミスら多くのセレブがハマるモノ

洋楽2020年3月30日

 Netflixで独占配信中のドキュメンタリーシリーズ『タイガーキング: ブリーダーは虎より強者?!』が大きな話題を呼んでいる。  動物虐待とキャロル・バスキン殺人依頼の罪で2018年9月に逮捕され、現在、22年の刑期で収監中の私設動物園の … 続きを読む

来年の今頃には、日常に回帰するタフネスを呼び覚ます5曲

ジャパニーズロック2020年3月30日

この記事が公開される頃には、勤務先からテレワークを指示され、膝の上のパソコンを無言で打つ日々が始まります。この記事が公開される頃には、文化と娯楽を生業とする全ての人々が報われると信じています。不可視のウイルスと不透明な未来への恐怖にかられて … 続きを読む

アクセスランキング RANKING

page top