NY在住のシンガーソングライターAKにインタビュー 「NYでは100人いれば100人全員が違う」

2020年1月21日 / 14:30

 日本人ジャズバンドJ-Squadや大江千里など、NY在住で活躍する日本人アーティストの中にシンガーソングライター、AKがいる。本名の柿原朱美でポリスターからデビューし、これまでに8枚のオリジナルアルバムをリリース。また、数多くのアーティストへの楽曲提供も行っており、ミリオンヒットした今井美樹「空に近い週末」や、原田知世「Tears of Joy」など、提供した数は80曲にも及ぶ。

 2001 年からはNYへ移住し、2008年にレジェンドDJのダニー・クリヴィットと結婚。現在は自身のニューアルバムの制作中で多忙な、AKにインタビューを行った。

― NYに移住してからの音楽活動はいかがですか?
AK:あっという間でしたね。NYに拠点を移してから3か月後には、「Say That You Love Me」で全米デビューという夢を叶えることができて。そこから、私の曲をフランソワ・ケヴォルキアンや、ダニー・クリヴィット、ルイ・ヴェガといったDJたちが、いち早くプレイしてくれたことをきっかけに、日本やヨーロッパで大ヒットし、世界中のチャートで1位を獲得するという、想像をはるかに超えるヒットとなりました。その後は日本とアメリカの両方からリリースを続け、2010年夏にEMI Japanからリリースした初ダンスコレクションアルバム『SAY THAT YOU LOVE ME – Best of NY Sweet Electro』は、iTunes Japanでシングル、アルバム、両チャート1位を獲得。これまで15枚のオリジナルアルバムをリリースし、シンガーへの楽曲提供以外に、プロデュースも含めると手掛けた曲数は200曲以上になります。

― 現在は、ご自身のオリジナルアルバムを制作中ですね。
AK:16枚目の作品で、コンセプトはLOVE&LIFEです。ダンス、ポップス、バラードなど様々なサウンドに、愛と人生を通した体験や感情を歌っています。普段はサウンドも1人で仕上げているのですが、今回は新しく出会った才能溢れるアーティスト達とコラボレーションもしていて。特にミックスエンジニアのケン・ルイス (レディ・ガガ、ブルーノ・マーズ,、BTS、ジャスティン・ビーバー)と、マスタリングエンジニアのランディ・メリル(テイラー・スウィフト、BTS、アリアナ・グランデ、レディ・ガガ、アデル)はグラミー賞をいくつも受賞していて、素晴らしいキャリアの持ち主。でも、とても気さくでピュアでハートが温かいんです。私の音が彼らの魔法にかかっていく瞬間が最高で、一緒に感動をシェアできて嬉しいです。

― リリースはいつ頃?
AK:夏以降を予定しています。

― NYの音楽シーン、2020年の傾向をどう思いますか?
AK:NYは世界中から人が集まって、様々な文化が溶け合ってできている街です。なのでインターナショナルからドメスティック、メジャーからアンダーグラウンドとあらゆる音楽が存在しているのが魅力です。特に驚くのは、アンダーグラウンドシーンの音楽クオリティの高さ。地下鉄や路上でのストリートパフォーマンスでもハイレベルな才能が溢れているんです。そんなNYだから、ヒットやトレンドというのは存在しないというか、存在できなくて。100人いれば100人それぞれが限りなく自由でインディペンデントに楽しんでいる点が、特徴ですね。2020年もその傾向は変わらないと思います。

― 人気のイベントなどはありますか?
AK:私はよくDJパーティに行くんですが、ある特定のクラブだから人が集まるのではなく、「そのDJが来るから行く」のがNYの主流である気がします。以前、ゼッドのコンサートに行ったんですが、会場はブルックリンのNavy Yardの倉庫で。「本当にこんなところで、やるのかしら」とドキドキしてでかけると、ひっそりと暗い倉庫街の奥がいきなりアリーナになっていて! こんなサプライズもNYならではかもしれません。そして「あのスーパースターがここで?」と驚くほど身近で見られるのもNYの魅力です。ちなみに去年Beacon Theaterで見た、アース・ウィンド&ファイアは、会場がダンスフロアになって最高でした!私の斜め前にはヒラリー・クリントンがいたんですよ。もちろんしっかり踊っていてチャーミングでした。

―NYの魅力は?
AK:今年で在米19年ですが、常に新鮮な驚きと感動に包まれています。「10人に出会えば8人がアーティスト」と言われるくらい、NYにはたくさんのアーティストがいます。世界中から超一流の才能が集まるので、刺激や水準の高さも生半可ではありません。私が、NYのことを一番素晴らしいと思うのは、限りなくフリーダムであること。だからこそNYでは新しいアイディアがエネルギッシュに誕生していて、違いを受け入れることができるんだと思います。

―NYで好きな場所を教えてください。
AK:今、住んでいるブルックリンのWilliamsburgですね。アーティストが集まってできた街としてこの10年以上も前から注目されていて、最先端のおしゃれを体感できるエリアです。中でもマンハッタン&ブルックリンを一望できるルーフトップバーWestlightが一番好きな場所です。

― 気になっているアーティストは?
AK:デオダートです。8歳で彼の音楽に出会ってから曲を書き始めたので、今でもデオダートのの音楽を聴くと胸がいっぱいになります。他に、ここ数年ずっと好きなのはゼッドと、カスケード。最近、注目しているアーティストは、ビリー・アイリッシュ、エリー・ゴールディング、ラナ・デル・レイ、あとデュア・リパです。

―2020年の抱負を教えてください。
AK:何よりも健康。健康だからこそ、大好きな音楽もできますから。あとは光のように輝きを増すことができる、幸せを感じられる心を持ち続けたいと思っています。Interview:KIYOMI

◎KIYOMI
学生時代、友人のバンドライブで司会をした経験から、テレビ、ラジオなどマスコミの仕事を始める。その後、単身移住したNYで(1986年~1993年)NY初日本語ラジオ番組を発案・設立。DJ・制作・広報・営業を手がける。1993年帰国。FM802、FMCOCOLOのDJ、関西初のサルサダンススタジオ(CHEVERE)主宰、映画コメンテイター、TV・RADIO出演、新聞・雑誌寄稿、司会、講師などで活動。好奇心に任せた様々なレポートを発信中

 


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