坂本真綾、『今日だけの音楽』ツアーがBunkamuraオーチャードホールで幕

2020年1月1日 / 17:30

12月27日(金)@Bunkamuraオーチャードホール (okmusic UP's)

坂本真綾が10thアルバム『今日だけの音楽』を引っさげ、12月8日から始まった『坂本真綾 LIVE TOUR 2019「今日だけの音楽」』が12月27日(金)、Bunkamuraオーチャードホールにてファイナルを迎えた。実際には追加公演『COUNT DOWN SPECIAL』が31日にあるのだが、途中のMCでも「カウントダウンはカウントダウンで別腹な雰囲気がありますので、今日がツアーの最後のステージだと思って、朝、楽しみに目覚めました」と語っていた。

ライブはアルバムと同じく「はじまり(Instrumental)」、そして過去に囚われることなく、今日だけのあなたを生きようと歌う「Hidden Notes」から静かに熱くスタートする。続く「ホーキングの空に」の途中、それまで手前に映像を写すためにベールのようにステージを覆っていた紗幕が上がると、ステージの全容が明らかになる。作品の世界観をとても大事にするアーティストでもあるので、そこからはアルバムの曲順を変えつつ、『今日だけの音楽』の世界を続けざまに表現していく。しかも今回のバンドは、バンマスに河野 伸(Kb&Gt)、ツインギターが今堀恒雄と石成正人、ベースが大神田智彦、ドラムが佐野康夫、そしてコーラスがハルナ&ENAと、彼女のツアーではお馴染みのメンバーなので、幅広いアルバムの楽曲も、素晴らしいサウンドで表現してくれていた。「お望み通り」のたゆたっている歌の後ろで、ジャジーな演奏がスピーディーに展開していくのもカッコよかったし、川谷絵音が作詞作曲をした「細やかに蓋をして」のグルーヴも最高だった。バンドが楽しそうな雰囲気で演奏していた「オールドファッション」、このアルバムで最初にレコーディングしたという「ディーゼル」はカントリー調の曲なので、ブラシによるスネアドラムやウッドベースといった楽器も活躍していた。「トロイメライ」の、徐々に熱くなっていく坂本真綾のボーカルに呼応するように演奏も高まっていく感じは、長くやっているからこそ出せるものだろう。

また、川谷の引っかかりのある独特な日本語の当て方……たとえば「ユーランゴブレット」なら《隣の味噌汁の匂いも 団地の仄暗さも》、「細やかに蓋をして」なら《遡ること数時間前》や《悲喜交々》といったワードはこれまでなかった表現だと思うし、「火曜日」の、美しくも儚い堀込泰行の世界観なども、今作で新たに加わったものなので、ライブで聴いていても、とても新鮮に響いた。

MCも冴え渡っていて、掘込さんに曲を書いてもらったのは、『YANO MUSIC FESTIVAL』で何度か一緒になり、その飲み会でいろいろと話せたからだという話から、「(縁があるかもしれないから)若者よ、忘年会に行きたまえ!」と演説してみたり、アルバム購入者へのスペシャルプレゼントだった『10人のための1曲だけのLIVE』の思い出話では、目を合わせて歌うから、お互いとても気まずい空気があるし、ステージから見えにくい位置にいてファンだと思って目を見て歌っていたらレコード会社の宣伝スタッフだったという面白エピソードを話したりと、かなり笑いを誘っていた。

そして、ライブ後半はアルバムから離れて、今の気分で選んだという曲を歌っていく。「過去の曲も今日の私が歌うことで”今日だけの音楽”になる。懐かしい曲や初めて聴く曲が、今日のあなたにどんなふうに響くか。それを楽しんでください」と、「Cloud9」や「秘密」といった、あまりライブで聴けないような曲も歌っていく。「ソラヲミロ」で、ステージに膝をつきながら魂を込めた声を吐き出して歌うところは、鳥肌が立つほどのパワーを感じた。終盤は「逆光」「マジックナンバー」「光あれ」といった、ライブで盛り上がる曲を重ね、会場のテンションを上げていく。

「今日しかない今日が積み重なって、毎日になり日常になり人生になり永遠になる。そんな今日の日を感じながら生きられたらいいなという私の想いを込めて作ったアルバムです」と伝え、ここまで歌ったすべての曲の締めくくりとして、最後に彼女自身が作詞作曲をした「今日だけの音楽」を歌う。そして《歌え 今日だけの音楽を》と何度も高らかに歌い上げ、ゆっくりとステージをあとにすると、大きな大きな、心からの拍手が巻き起こった。

そんな拍手を受けてのアンコールでは、ツアー日替わり曲として3rdアルバム『Lucy』から「アルカロイド」という、特に昔からのファンはかなり喜んだであろう1曲を披露すると、最後は彼女のライブでは定番となる「ポケットを空にして」を、みんなで声を合わせて歌い、ライブを終えた。

最高のバンドをバックに、ニューアルバムのコンセプトをライブで表現しながら、かなりレアな曲も披露された今回のツアー。映像には残らないとのことだが、確かに、この日この場所でしか味わうことができない“今日だけの音楽”だった。残すのは『坂本真綾 LIVE TOUR 2019「今日だけの音楽」追加公演 COUNTDOWN SPECIAL』のみ。2019年12月31日、そして2020年1月1日の音楽は、どんな色をしているのだろうか。


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