<ライブレポート>世界中で旋風を巻き起こしたBLACKPINKの東京ドーム公演 煌めく4つの個性と未来の可能性を見た

2019年12月27日 / 16:15

 BLACKPINKが北アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニアの4大陸を巡るワールド・ツアー【BLACKPINK 2019-2020 WORLD TOUR IN YOUR AREA】。今年1月にキックオフし、予定されている16か国22都市30公演がすべてソールド・アウトした本ツアーの一環にして、日本では自身初となるドーム・ツアーの皮切りを飾ったのが、今回の東京ドーム公演だった。日本でのパフォーマンスは【SUMMER SONIC 2019】以来となる。

 4月にリリースしたミニアルバム『KILL THIS LOVE』の表題曲は、米ビルボード・ソング・チャート“HOT 100”で41位に初登場し、YouTubeで公開したミュージック・ビデオは、自身最速となる日数で1億回再生を突破。また、K-POPガールズ・グループとしては初となる米フェス【コーチェラ】出演も果たすなど、アジアを出自に持つこの4人組は、名実ともに世界中から羨望や憧憬の視線を集めるガール・クラッシュのトップ・ランナー。そんな彼女たちの絶大な影響力や人気を証明するように、この日、東京ドームには超満員の5万5,000人が集結した。

 中でも高い割合を占めていたのは、おそらく10~20代前半だと思われる女性ファンたちだ。強さを示す“ブラック”とフェミニンなイメージを連想させる“ピンク”を組み合わせたグループ名の通り、しなやかで力強い女性像を体現し、その在り方が世のガールズたちから圧倒的な支持を集めるBLACKPINK。この日の1曲目「DDU-DU DDU-DU」は、イントロが鳴り出すや否や、瞬間沸騰したオーディエンスから悲鳴にも似た歓声が上がり、いかに彼女たちが世界中の女性たちを魅了し、エンパワメントしてきたかを如実に物語るオープニングとなった。

 2曲目に「Forever Young」、さらに「STAY」「WHISTLE」が続いた今回のセットは、【コーチェラ2019】や【SUMMER SONIC 2019】などでも披露されたフェス・セットのいわば拡大版。その中で単独公演ならではの見どころとなったのが、各メンバーのソロ・コーナーだ。ヒット曲や自国の楽曲のカバー、ダンス・パフォーマンスなども披露されたこのセクションは、BLACKPINKというグループが一枚岩などではなく、4人が単独でもまばゆい輝きを放つ個性であると同時に、それらが組み合わさり、特大の化学反応を起こした結果が、世界中で巻き起こる“ブルピン旋風”であることを改めて思い知った一幕だった。

 惜しみなく吹き上がるパイロ、広大な空間を生かした可動式ステージ、そしてバンク・ダンサーと、演出は序盤から盛りだくさんだったが、やはり「Kill This Love」のキラー・チューンとしての威力はすさまじく、屈強なバンド・メンバーたちによるインスト演奏からなだれ込んだこの曲は、熱狂のピークをなんなく更新。次の「Don’t Know What To Do」も含むこの2連打は、まさに“ブルピン旋風”を決定づけたミニアルバム『KILL THIS LOVE』の冒頭の2曲でもあり、そのパフォーマンスはこの日のハイライトの一つだったと言っていい。

 ただ、この日最も印象的だったのはその後の展開。デュア・リパとのコラボ・ナンバー「Kiss And Make Up」以降、メンバー同士のラフな佇まいが垣間見えた「Really」から、一転してキュート&セクシーなキレキレのダンスで魅せた「See U Later」と、リサのラップを筆頭に各メンバーのヴォーカリストとしての個性も際立った「Playing With Fire」といった技巧派な2曲、そして、一気にサウンドを削ぎ落し、丁寧な日本語歌詞のデリバリーと後半にかけて盛り上がっていくビートが一体感を織り成した「Kick It」から、待望の「BOOMBAYAH」と「AS IF IT’S YOUR LAST」で再びビーク・ポイントに達し、そのままフィナーレを迎える循環の後半戦だった。

 そこで見えたBLACKPINKの様々な表情はどれもエッセンシャルで魅力的だったし、それはつまり、このグループにはまだまだ秘めたポテンシャルがあるということも示唆している。東京ドームという、日本国内では屈指のキャパシティを誇る会場を満員にし、4大陸を横断するワールド・ツアーを完遂した4人は、その時、どんな才能や魅力を開花させているだろうか。BLACKPINKのネクスト・ステージに期待したい。

◎公演情報
【BLACKPINK 2019-2020 WORLD TOUR IN YOUR AREA】
2019年12月4日(水)東京ドーム


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