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ビッケブランカの東名阪Zeppツアー【Vickeblanka Ca Va Tour】ファイナル公演が、10月25日に東京・Zepp Tokyoにて行われた。
バンドメンバーの若山雅弘(ドラムス)、大澤DD拓海(ベース)、井手上誠(ギター)、にしのえみ(キーボード)がステージに出てきて位置につき、最後に主役のビッケブランカが登場すると歓声が沸き起こる。そしてビッケがピアノを弾きながら、ツアータイトルにもなった最新シングル「Ca Va?」の始まりのフランス語部分をシャンソン歌手のように感情込めて歌い出すと、登場時よりもさらに大きな歓声が。いつにも増してたっぷり間(ま)をとりながら歌い、気持ちよすぎてか自分で思わず笑ってしまうビッケ。“カカカッカッカッ・カモン! サバー”の声と同時にバンドが躍動感ある演奏を開始し、ビッケはピアノから離れてステージ中央へ、そしてステージ端へと歩きながら歌って、満面の笑みで観客に手を振ったりもしていた。
続けて「ファビュラス」「アシカダンス」とアップテンポで盛り上がり度の高いライブ定番曲を演奏。にしのえみの腕の動きに合わせて観客たちも同じように腕を挙げたり振ったりし、大澤拓海は軽やかにステップを踏みながらベースを弾く。4曲目「Want You Back」の終わりでビッケはいつも通り観客に「A~HA, A~HA, Booyakasha!」の部分で声をあげさせ、“まだ声が小さい”と言わんばかりの不満な表情を見せながら何度も何度もそこだけやり直した。ある意味、吉本新喜劇的なクドさだが、徐々にアゲていくのではなく序盤からこのように観客を巻き込んだパフォーマンスで一体感を生むのがビッケ流だ。
「Ca Va Tour、国内ファイナル、Zepp Tokyo! 集まってくれて本当にありがとうございます。ビッ・ケ・ブ・ラ・ン・カ・です!」「心底楽しみにしていたこのツアーであります。絶対に僕のほうがみなさんより楽しみにしてました」。そんな話をしながらビッケがエレクトリックギターを持つと、観客の何人かが次の曲への期待から「お~~っ」とどよめく。ビッケ史上最もハードロッキンなナンバー「Black Rover」だ。続いてインディーズ期の1stミニアルバム『ツベルクリン』から久しぶりに「Alright!」を演奏。跳ねるピアノとファルセットがクールなこの曲も、現バンドメンバーによって演奏されるとファンキー度数が格段にアップ。そのグルーブから現バンドの演奏力とビッケとの息の合い方が見て取れた。そこからやはりファンキーめの「Broken」へと続ける流れもよく考えられたもので、実に自然だ。
そしてここから、今年初めの【WIZARD TOUR 2019】で観客たちを驚かせたうえに躍らせもした“あのコーナー”再び。ステージ後方に設置されたブースにビッケとにしのと若山の3人が移動し、バンド演奏ではなくDJセット(音出し操作は主に若山とにしのが担当)で曲が歌われるのだ。ビッケが言う。「いまからここを、Club・Zepp Nagoyaにしたいと思います!」。ん? 東京じゃなくて名古屋って言った? ビッケ、いま間違えた? そう思っていると観客たちもザワザワし、「東京だよ~!」と叫ぶひとも。するとビッケ、「名古屋って言った? 実はそれには理由があります。僕、名古屋で“いまからここを、Club・Zepp Tokyoにするぜ~”って叫びました。懺悔したいと思います」。そういうことだったのかと会場が納得の笑いに包まれると、続けてビッケは「新曲です! ヘンな歌ですけど、大好きなクラブミュージックですので好きなように楽しんでください」と言い、DJセットによるエレクトロなタッチの新曲がスタート。その新曲は昨年28歳の若さで亡くなった鬼才アヴィーチーの作風を思わせるメロディアスなもので、そういえば『wizard』発表時のインタビューでビッケがアヴィーチーからの影響を語っていたことを自分は思い出したのだった。
そんな新曲の最中、大きく描かれた「CA VA」のロゴの電飾がピカピカ点滅し、Vの文字だけが光ったりも。V。もちろんVickeblankaのVでもあることに気づかされる。続いて「Smash(Right This Way)」と「キロン」もDJセットで歌われ、その2曲はキラキラしたサウンドと相まってビッケのファルセットが天まで届くようだった。また「キロン」の途中では、ステージ前方にバンドメンバーとヴァイオリンでゲスト参加の岡部磨知と天野恵(ふたりは6月14日に新木場Studio Coastで行なわれたビッケの「Voom Voom Room」公演にも参加した)が横並びになり、タオルを回して盛りあげた。
「EDMとかギターロックとかいろいろやらせてもらったけど、僕が一番初めに作ったのはバラードでした。バラードが僕の根底にあると思います。ここで2曲バラードを聴いてください」。そう言うと、自身の経験と重なり出来た大事な曲でもあるという「Lucky Ending」をピアノを弾きながら じっくり歌い、続けて彼の新しい代表曲となったドラマ挿入歌「まっしろ」を歌唱。これらのパートからヴァインオリンの岡部磨知と天野恵も演奏に加わり、「まっしろ」はふたりの弦の音色が より美しく響き渡りドラマチックに曲のよさを際立たせていた。
恒例となった“大澤DD拓海いじり”と、長めのMC(この日はサウナでのエピソードを披露)、それにメンバー紹介を済ませると、ここからライブは再びバンドが一丸となっての盛り上げタイムに突入。「Get Physical」に続いての「Winter Beat」は2ヴァイオリンが明るい雰囲気の冬をイメージさせ、井手上誠によるブライアン・メイばりのギターが華麗に鳴り響く「Slave Of Love」ではDJセット時に使われた後方の台にビッケが軽やかに飛び乗って歌ったりも。“no,no,no”と繰り返すところでは観客全員が拳を振り上げながらシンガロング。ステージの上と下とが完全にひとつとなった。
そして2ヴァイオリンによる華やいだイントロも印象的な「ウララ」で冬を飛び越して春を呼び、いよいよ本編最後の曲へ。そう、初っ端に歌った「Ca Va?」だ。曲の始まりのスローなところでビッケが客席にマイクを向ける。と、1階の観客の大半がしっかり声を出してそこを歌った。歌えていたのだ。フランス語なのに! これにはビッケも驚いたようで、「甘く見てた~。世界に通用するぜ!」と嬉しそう。鯖の形をしたいくつものビニール玩具が上から観客たちのところに投げ込まれ、それが宙を舞う様を見ながらビッケは軽やかにジャンプして歌い、大きな盛り上がりのなかでひとまずライブ本編が終了した。
鳴りやまない拍手とアンコールの声に応えて再登場したビッケは、このタイミングで「12月より3ヵ月連続で新曲を配信リリース」すること、「2020年4月から全国ツアーがスタート」すること、「そのいくつかはホールで、東京は中野サンプラザで行なう」ことを発表。「よかったなぁ。頑張ったもんなぁ、オレも」と自分で自分に激励の声をかけた。そして「聴きたい曲、何かあれば」と観客に投げかけると、みんなが聴きたい曲のタイトルを思い思いに叫び、ビッケはその声のなかからまずインディーズ時代の配信シングル曲「追うBOY」をチョイスして弾き語りで。続けてスランプだった頃に作ったという未発表曲「肩歌(かたうた)」を歌い、ユニークな歌詞ながらメロディのなかなかグッとくるその曲でみんなを和ませた。
バンドメンバーたちが定位置についていたので、リクエストに応えての曲が終わったらバンドと共にもう1曲あるのだろうと思いきや、しかしここでビッケがステージをはけ、メンバーたちも「え?」という表情でステージ袖へ。当然のように観客たちが再びアンコール要望の拍手をし続けると、ビッケとバンドがもう一度ステージに出てきた。「本当はアンコールでやろうと思っていたんですけど……。じゃあダブルアンコールということで、新曲をやろうと思います」。最早進行の段取りも変わっているようだが、そんなことはおかまいなしのビッケ。どこまでも自由だ。そんな彼がそうしてこの日最後に歌ったのは、12月4日に「3ヵ月連続デジタルリリース第一弾」として世に出る「白熊」という新曲で、それは久しぶりのミドルテンポであり、「こんなビッケの曲を待っていた!」と多くのひとが思うに違いないだろうもの。メロディのよさが光っていて、配信の日がいまから待ち遠しい。
今年初めの【WIZARD TOUR 2019】と、6月の【Voom Voom Room】。今回の「Ca Va Tour」は大きく言えばその両方をミックスした構成だったが、しかし単に合わせただけでなく、いろんなところがアップグレードされたものだった。また新曲が増える分だけ、聴きたかったけど聴けなかった曲も当然出てくるわけだが(例えば「Moon Ride」「WALK」など)、しかし「Alright! 」のようにインディーズ時代の初期曲をいまのバンド・アレンジで聴かせるなど、旧曲を上手い具合に溶け込ませるバランスもさすがと言えるもの。【WIZARD TOUR 2019】と【Voom Voom Room】を経ての、今回のこれはまさしく2019年のビッケのライブの集大成と言っていいものだったわけだが、しかし恐らくこの会場にいた誰もが「ここまできた感」よりも「ここからが面白くなりそう感」を強く抱いたに違いない。3ヵ月連続で配信される新曲も、2020年春からの全国ツアーも、いまから本当に楽しみだ。
TEXT:内本順一
PHOTO:Taku Fujii
◎公演情報
【Vickeblanka Ca Va Tour】
2019年10月25日(金)
東京・ZEPP TOKYO
– MEMBER –
若山雅弘 (Dr)
大澤DD拓海 (Ba,Cho)
井手上誠 (Gt,Cho)
にしのえみ (Key,Cho)
岡部磨知 (Violin)
天野恵 (Violin)
– SET LIST –
M1.Ca Va?
M2.ファビュラス
M3.アシカダンス
M4.Want You Back
M5.Black Rover
M6.Alright!
M7.Broken
M8.新曲
M9.Smash(Right This Way)
M10.キロン
M11.Lucky Ending
M12.まっしろ
M13.Get Physical
M14.Winter Beat
M15.Slave Of Love
M16.ウララ
M17.Ca Va?
EN.白熊(新曲)
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