<ライブレポート>今井亮太郎率いるGroovin'Brasil、日本ブラジリアン・フュージョンを鮮やかに伝承

2019年9月5日 / 17:20

 2019年8月29日にブラジル音楽ピアニストの今井亮太郎によるプロジェクトGroovin’Brasil がJZ Brat Sound of Tokyoでライブ【Groovin’Brasil ~夏の終わりのブラジル乱れ打ち!】を行った。

 ブラジル音楽の第一人者……もう、キャリア的にはそう呼んでも良いと思う、ピアニスト・今井亮太郎が、夏の終わりに渋谷・JZ Brat Sound of Tokyoのステージに立った。夏と冬、彼はレギュラー的にこのステキなステージに立ち続けているので、言わばホームタウンとも言える場所でのライブなのだが、今回は一味も二味も違っていた。

 先ずはメンバーがいつもと全く違っている。今井亮太郎グループと呼ばれている、2人のブラジル人ミュージシャンを中心としたレギュラーのバックミュージシャンがひとりもいない。オール日本人の“ブラジリアン・フュージョン”的なセレクションのバンドで固められていた。これはこれで、東京の夜を駆け抜ける、ファンキー&フュージョンユニット「Groovin’Brasil」が繰り広げる、オトナの無秩序……という、掲げたテーマにはピッタリの人選だ。オール日本人バンドならではの、きめ細やかさや洗練されたグルーヴ感が素晴らしい。オープニングの「おいしい水」から「悲しみ」「波」までのブラジリアン・スタンダートも、いつも以上に軽快な印象で聴かせてくれる。

 前半は、ここ一、二年ですっかり自分のものにした感のあるオルガン~レスリースピーカーの音色で、「予感」などのオリジナル代表曲も新鮮な響きで聴かせてくれる。衣装替えもキメたセカンドステージは今井亮太郎ならではのアレンジで聴かせる「マシュ・ケ・ナダ」から始まり、アコギの名手、助川太郎を大きくフィーチャーした彼のオリジナル「これ以上逃れられない東の海辺の小さな町でやっと生まれた俺たちのサンバ」(タイトル、長っ)、さらにジョビンの「空を見上げて」「Dindi」を、実に爽やかに、でも聴き応えのあるロングプレイで聴かせてくれた。

 そして、今夜のハイライトとも言うべき「ルパン三世のテーマ’78」の10分近い大迫力の演奏が終盤に繰り広げられた。ジャズ系のアーティストが良くやるカバーだが、ブラジリアン系のアーティストのカバーは稀有だ。日本人バンドによるブラジリアン・フュージョンという今夜のテーマを、端的に表していたと思う、各自のソロを堪能出来る感動的なナイスカバーだ。吉田和雄や渡辺貞夫らが刻んできた日本人によるブラジリアン・フュージョンと言う名のカテゴリーを、いま、鮮やかに伝承出来るのは、やはりこの今井亮太郎をおいて他にいないと、そう思える夜だった。

Text by T-KAWA
Photos by KEICO HIRANO

◎セットリスト
<第1部>
1. Agua de beber 美味しい水 (A. C. Jobim – Vinicius de Moraes)
2. Aquario 水族館 (Ryotaro Imai)
3. Chovendo na Roseira バラに降る雨 (A. C. Jobim)
4. 大磯の小さなイタリアン -Uma trattoria em Oiso- (Ryotaro Imai)
5. Triste 悲しみ (A. C. Jobim – Vinicius de Moraes)
6. Wave 波 (A. C. Jobim)
<第2部>
1. Mas Que Nada マシュ・ケ・ナダ (Jorge Ben)
2. 月の光満ちて Lua Cheia Iluminando (Ryotaro Imai)
3. これ以上逃れられない東の海辺の小さな町でやっと生まれた俺たちのサンバ (Taro Sukegawa)
4. Olha pro Ceu 空を見上げて-Look to the Sky (A. C. Jobim)
5. Dindi ジンジ (A. C. Jobim – Aloysio de Oliveira)
6. ルパン三世のテーマ (Yuji Ono)
7. Ao Ceu 空へ (Ryotaro Imai)

E.青い瞳のアドリアーナ Adriana (Ryotaro Imai)


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