BEGIN、沖縄での平成最後のカウントダウンライヴが大盛況

2019年1月5日 / 11:00

12月31日@沖縄コンベンションセンター展示棟 (okmusic UP's)

12月12日に3年ぶりとなるニューアルバム『Potluck Songs』をリリースしたばかりのBEGINが中心となって、平成最後の大晦日に沖縄でカウントダウンライヴを行ない、新年の訪れを祝った。

沖縄県出身のアーティストたちが集い、県内外の人たちと一緒に“笑顔”で年を越そう、という想いから2017年に始まった沖縄のカウントダウンライヴ。MONGOL800主催で開催された初回は、沖縄の音楽シーンに新たな1ページを刻んだスペシャルな夜になった。このステージでキヨサクが“今回はモンパチの20周年、次は誰かの周年記念という感じで、沖縄の模合(もあい)形式にして(笑)、親をどんどん交換しながら、毎年やりたい”と言っていたとおり、第2回の今回は2020年にデビュー30周年のアニバーサリーイヤーを控えているBEGINが中心となって行なわれた。

会場は前回と同じ沖縄コンベンションセンター展示棟。チケットは前回を上回る約3週間でソールドアウト、会場には4,200人が集まった。開演30分前、会場入口からの人の列は表通りまで長く続いており、誰もがいかにこの日を待ち望んでいたかが窺える。そして超満員の会場はライヴが始まる前から年越しを一緒に楽しもうという人たちの気持ちが溢れて、あたたかい空気に満たされていた。

午後7時。“わかるよねぇ〜”のネタで沖縄では知らない人はいないお笑い芸人、護得久栄昇先生と仲座健太の「かぎやで風」で始まった。オープニングは出演アーティストの代表曲を他のアーティストがカバーするというスタイルで次々と歌われる。例えば、BEGINの「島人ぬ宝」をMONGOL800が、かりゆし58の「アンマー」をKiroroが…というように。まるでウチナー(沖縄)ソングのヒットパレードだ。これも沖縄のカウントダウンライヴならではのスペシャルのひとつだろう。

トップバッターはDIAMANTES(ディアマンテス)。4人組の女子ダンサー、タピオカとワイルドなラテンナンバーを聴かせた「WANDA」で一気に熱を帯びたステージのあと、去年に続いて“もう一度彼女とデュエットしたかった”というアルベルトの誘いで実現した「今夜は離さない」を披露。“深紅”のロングドレスで登場したHY・仲宗根泉とのデュエットのサプライズに、客席から大きな歓声が上がる。全身“白”衣装のアルベルト城間はその時放送中の紅白歌合戦を意識して、“僕らも紅白で歌わせていただきました(笑)”と言って笑いを誘う。最後はアルベルトがティンバレスを叩きながら歌う「沖縄ラティーナ」の軽快なラテンサウンドで会場を盛り上げ、ステージを後にした。

続いては、石垣島の新良幸人と宮古島の下地イサムの先島出身の2人によるTHE SAKISHIMA meeting。陽光を感じる軽快なDIAMANTESから一転、「ストレンジャー」(ビリー・ジョエル)のイントロに導かれるように登場したダンディーな2人に、会場は大人の空気感に満たされていく。独特のメロディーと三線の音が、その場にいる人たちを自然豊かな先島へと誘ってくれる。“実りある新年を迎えようということで、『ユーニンガイ』(方言で“世願い”。1年間の豊穣を祈願する儀式)をお届けしました”と新良。ミャークフツ(宮古方言)の歌詞が、まるでフランス語のようにも聴こえる「ジャジィー・ミャーク」。さらに、米『New York Times』のサイトにもMVが公開された「ダニー・ボーイ」のウチナーグチ(沖縄方言)Ver.では、哀愁漂う歌声に会場の誰もが静かに聴き入っている姿が印象に残った。

“ちょっとだけゆったりとした時間が流れますので、そのまま眠らないでね(笑)”という玉城千春のひと言で、ここからは緩やかなKiroroタイムに。全国デビュー20周年を迎えた彼女たちのデビュー曲「長い間」からライヴは始まった。途中で会場全体から自然と歌声が湧き上がる。“みんな、じょーず!”“みんなに歌ってもらった方がいいかもね(笑)”と千春。続く「Best Friend」では、その歌声はさらに大きくなった。“高校生の頃、クリスマスの季節に東京へ行った時、電車に乗ったら、サラリーマンの方が下をうつむいてて、疲れてるように見えました。そんな大人のみなさんにもサンタが来たらいいのにと思ってできた曲”と話して歌ったのが「冬のうた」。“どんなに離れた街にいても、想いは繋がっている”“白い粉雪が優しく心に届く”ようなメッセージ。ここは雪の降らない南の島だけど、凍えた心は歌で温めてくれる。やわらかな歌声を聴きながら、心も身体も暖まっていく。ほっこりした気持ちになったKiroroのステージだった。

いつものようにカチャーシーを踊りながらステージに現れたMONGOL800。“沖縄のカウントダウン、遊びましょっ!”というキヨサクのひと言でスタート。はじまりの曲は「あなたに」。激しいタカシのカッティングとサトシのタイトなドラミングが客席の人たちの気持ちに火をつけ、加速させていく。会場は一気にヒートアップ。空に向かって突き出した無数の腕が前後に激しく揺れる。“平成最後のカウントダウンですよ! 大きな声を聞かせてもらっていいですか!?”と言って「OKINAWA CALLING」。“セイ、オーオ!”とコール&レスポンスが続く中、今回もやはりモンパチの高校時代のヤッケーシージャー(沖縄方言でやっかいな先輩(笑))、ツブさんこと、粒マスタード安次嶺が登場。あのくねくねダンスで会場を盛り上げる。“(安室奈美恵の最後のライヴと)同じこの会場で安室ちゃんと同じステージに立ったことは、モンパチにとって平成のビッグイベントですよ”と言って歌ったのが、安室奈美恵 with SUPER MONKEY’Sの「TRY ME〜私を信じて〜」。モンパチのアレンジでトライした「TRY ME」は原曲とはまったく別もののように、疾走感のあるスカロックに姿を変えていた。誰の曲でもモンパチの演奏でキヨサクが歌うと、モンパチの歌になることを証明した1曲でもあった。

午後10時。続いて登場したかりゆし58の1曲目は「電照菊」。《電照菊の光よ 夜の帳を照らしてくれないか 大切な人がいつか夜道に迷うことなく帰りつけるように》と前川真悟が歌い始めた瞬間、会場の至るところで黄白色の光が灯る。それは真悟が歌詞に込めた想いを察するように灯った携帯電話の光。ステージと会場がひとつになった瞬間だった。“かりゆしで好きな曲があるから、カウントダウンで一緒にやらないか”というHY・仲宗根からの誘いで、この夜のセッションが実現したと告げて始まった「恋人よ」。ここではキーボードに仲宗根、名嘉俊もカホンで参加するスペシャルな編成で披露された。苦労をかけた母親への感謝の想いを綴った代表曲「アンマー」、そして最後は“かけがえのない時間を胸に刻んだかい”と真悟がワンコーラスをアカペラで歌った「オワリはじまり」で、かりゆし58はステージを下りた。

続いては、HY。“ハイサイ、HYです! 今年最高のこの時間を、みなさん楽しんでいきましょうね!”と新里。男子メンバー4人が奏でる三線のイントロによるBEGINの「三線の花」のカバーからスタートした。真剣な表情で三線をつま弾く4人。きっとたくさん練習したんだろうなと想像できるメンバーの三線演奏に、会場からは指笛の声援が響いていた。そして曲の途中、新里が“この曲はやっぱりこの方に歌ってもらわないとね”と言ってBEGIN・比嘉栄昇をステージに迎え入れると、会場から大きな歓声が湧き上がる。英之と栄昇のデュエットが聴けるのも、このカウントダウンライヴならでは。琉球國祭り太鼓のエイサー太鼓も加わり、ドラマチックな曲になった。“沖縄の人なら、わかるよねー”と護得久先生の口まねで新里が「Street Story」の曲名を伝えたあと、エイサー太鼓とともに始まるイントロに客席の人たちは即座に反応。会場全体でカチャーシーの手踊りが舞う。それは今、この場所にいてよかった!と思える幸せな時間だった。最後に歌われたのは「ホワイトビーチ」。《風を集めて飛び上がろう 広い空に手を伸ばそう》という客席からの歌声が、会場をひとつにする。“最後は、みんなでジャンプしてBEGINに繋げましょう!”という掛け声とともに、全員でジャンプを決めた。

新しい年まで、あと30分ほど。心も身体もあたたまったところで、いよいよBEGINの登場だ。“今日は楽しい1日です。大好きなバンドのステージを見ながら、またライブを終えて汗をかいたまんまのみんなを迎えて話ができて、最高の年越しとなります”。栄昇はこう言ったあとで今日のライヴの構成を考えた島袋優とマネージャーを讃えると、会場はあたたかい拍手に包まれる。さらに、TVオーディション番組『平成名物TV 三宅裕司のいかすバンド天国(イカ天)』がデビューのきっかけのBEGINは“平成のバンドと言われてました。なので、今日をもって終わります(笑)”と言うと、“平成は5月まであるさー”とすかさず優につっこまれる(笑)。そして“その時に歌った曲を歌います”と告げ、デビュー曲「恋しくて」を披露。心に染みわたるブルージーな歌に引き込まれるように、会場の人たちは静かに聴き入っていた。続いて、ニューアルバム『PotLuck Songs』から、これもブルースナンバー「網にも掛からん別れ話」が歌われる。優の奏でるブルースギターの音色が、まるで心の嘆きのように切なくむせび泣く。

ここでちょっとした嬉しいハプニングが…。カウントダウンだからちゃんと時間通りにやらなければと各バンドが早めに進行したため、時間に余裕ができてしまったのだ。“沖縄タイムってあるさ。イコール遅れること、みたいな。それは間違ってます。なぜなら今、時間を持て余してます(笑)”と栄昇。そこで急遽、予定になかったザ・バンドの「I Shall Be Released」を日本語詞Ver.で披露してくれる。このサプライズに、会場の人たちからも大きな歓声が湧き起こったのは言うまでもない。“ここからカウントダウンに向けてリズムは止まりません。そのまま突っ走って行きたいと思います”と告げたあと、宮城姉妹を迎えてマルシャショーラのメドレーが続く。栄昇が歌う「バルーン」、上地等の歌う「帰郷」、優が歌う「海の声」、そして「流星の12弦ギター」のあと、いよいよ“その時”が迫ってくる。優の先導でテンカウントが始まる。会場からも大きな声がカウントを刻んでいく。“10、9、8、7……サン、二—、イチ!”。その瞬間、銀テープが会場に放たれる。2019年の最初の曲は前向きな想いを歌に託した「上を向いて歩こう」でスタート。歩くように刻むマルシャのリズムが、前向きな気持ちへ背中を押してくれる。

ここからは次々とゲストを迎えてのマルシャショーラメドレーだ。「また逢う日まで」では栄昇の高校の同級生・新良幸人を、「年下の男の子」ではKiroroと仲宗根を、「バン・バン・バン」は下地イサム&前川慎吾&新里英之を、さらに「お嫁においで」ではアルベルト城間&キヨサクを迎えてと、ここでしか聴けないプレミアムなメドレーとなった。そしてフィナーレでは、この日出演した全員がステージに揃って「島人ぬ宝」が歌われる。沖縄出身のミュージシャンたちが沖縄に生まれたことを誇りに思い、誰もがこの曲を笑顔で歌い繋いでいきたいと願う。それは会場にいる人たちも同じ気持ちに違いない。島人の心を歌った宝物のようなこの歌を、会場のみんなが大きな声で一緒に歌う姿を見て、そう思った。

平成最後のカウントダウン。新しい年号の始まりの年となる2019年の年越しも、またこの場所で再会できることを誓ったカウントダウンライヴだった。

【セットリスト】

■オープニング

01.島人ぬ宝(MONGOL800)

02.アンマー(Kiroro)

03.夏至南風(かりゆし58)

04.未来へ(THE SAKISHIMA meeting)

05.ホワイトビーチ(BEGIN)

06.あなたに(HY)

07.勝利のうた(護得久栄昇&全員)

■DIAMANTES

01.WANDA

02.今夜は離さない

03.イチャリバARRIBA

04.片手に三線を

05.沖縄ラティーナ

■THE SAKISHIMA meeting

01.ザ・サキシマユニゾン~ユーニンガイ

02.TOME DOME(トゥミ ドゥミ)

03.ジャジィー・ミャーク

04.風ゆイヤリ

05.Danny Boy

■Kiroro

01.長い間

02.Best Friend

03.OK OK

04.冬のうた

05.未来へ

■MONGOL800

01.あなたに

02.PARTY

03.OKINAWA CALLING

04.honeymoon

05.TRY ME

06.小さな恋のうた

07.DON’T WORRY BE HAPPY

■かりゆし58

01.電照菊

02.手と手

03.恋人よ(アコースティックver.)

04.アンマー

05.オワリはじまり

■HY

01.三線の花

02.Street Story

03.AM11:00

04.ホワイトビーチ

■BEGIN

01.恋しくて

02.網にもかからん別れ話

03.I Shall Be Released

~マルシャショーラ~

04.バルーン

05.帰郷

06.海の声

07.流星の12弦ギター

08.上を向いて歩こう

09.また逢う日まで

10.年下の男の子

11.バン・バン・バン

12.お嫁においで

13.国道508号線

14.オジー自慢のオリオンビール

15.ソウセイ

16.笑顔のまんま(マルシャショーラフルバージョン)

■フィナーレ

島人ぬ宝(出演者全員)


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