内田彩、全国ツアーのファイナル公演に群馬県ゆるキャラ“ぐんまちゃん”が登場

2018年8月14日 / 14:00

8月12日@ベイシア文化ホール(群馬県民会館) (okmusic UP's)

内田彩にとって2度目となるソロライブツアー『AYA UCHIDA LIVE TOUR 2018 ~So Happy!!!!!~』の最終公演が、8月12日(日)に地元・群馬県のベイシア文化ホール(群馬県民会館)で開催された。

パシフィコ横浜国立大ホールからスタートし、名古屋、大阪、福岡のライブハウスを巡って故郷の群馬で完結する今回のツアー。2度目とはいえ内田自身の中で本格的な全国ツアーという形では初として位置づけられ、また地元でのライブも初という、初ものづくしの旅でもあり、その終わりには群馬だからこそのハッピーエンドが用意されていた。

パシフィコ横浜と同じホール仕様の遊園地をイメージさせるようなセットの扉から登場した内田は、“群馬県民会館のみなさん、今日はSo Happyな1日にしましょう”という掛け声を合図にツアーファイナルにして初の凱旋公演をスタートさせた。オープニングの「So Happy」では歌詞とリンクするスキップなどを織り交ぜたキュートな振りと共に、足だけでなく心も軽くなる軽快なポップ感が演出される中、曲後半では今回のツアー恒例の「So Happy じゃんけん」を披露。“勝った人は超ハッピーだよ”というのが定番だったのが、この日は“負けた人は超超超ハッピーだよ”というおまけも。実は、後半のMCで明らかにされたのだが、負けた人が勝つじゃんけんのルールは、内田の小学校時代の先生が編み出したもので、郷土愛溢れる仕掛けはその後も随所に用意されていた。

その後、「Holiday」「アップルミント」と続けられたオープニング3曲だけで会場の熱は最高潮に達し、汗の水蒸気なのかスモークなのか判断のつかない会場全体の空気を感じて、内田もMCで“開始3曲ですけど、暑いので、皆さん水分補給を忘れないでね”と、自ら率先して水分補給する場面も。いつもなら客席から“お水おいしい?”の質問が飛び交うはずなのだが、この日は内田が“群馬県民会館に乾杯!”と、自ら音頭をとる形で会場全体が乾杯。“なんかこの空気いいよね”という内田の言葉どおり、そこには“おかえりなさい”にも似た温かな空気が広がっていた。

MCではさらに今回のセットが「So Happy」のジャケット写真撮影が行なわれた群馬県前橋市の遊園地「るなぱあく」がイメージされていることや、今回のツアーで群馬県のゆるキャラ・ぐんまちゃんを全国で探してきたが見つからず、群馬公演限定のツアーTシャツをぐんまちゃんカラーにすることでお客さんをぐんまちゃんに見立てることにしたなどの裏話も披露され、ライブもその流れで「泣きべそパンダはどこへ行った」を起点にするぐんまちゃん探しの旅のパートへと物語の場面を変えていった。

ぐんまちゃんのパペットを手に《私のぐんまちゃん どこへ行ったの》と歌詞をアレンジしながら、《泣いてしまいたいよ》という部分では泣く仕草を見せるなど、セット前のベンチで歌う姿は、待ち合わせ場所に来ないぐんまちゃんを待つ孤独感が表されており、ライブでありながらも演劇的要素も盛り込む内田のエンターテイナーとしての醍醐味を感じることができた。
その後、自転車の旅(「いざゆけ!ペガサス号」)、海の旅(「Go! My Cruising!」)、再びるなぱあくのメリーゴーラウンド(「Merry Go」)を経てたどり着いたのは会場全体がピンクのサイリウム一色に彩られた「ピンク・マゼンダ」。7月18日発売の全曲収録アルバム『AYA UCHIDA Complete Box ~50 Songs~』の発売を記念して行なわれたファン投票企画で1位に選ばれた同楽曲は、シングル曲でもアルバムのリード曲でもなく、サウンドも内田の楽曲の中では異例のエレクトロニカを基調とした、ある意味、コアな楽曲。以前、1位になったことに対して内田から“曲にも私の活動にもしっかりと向き合ってくれる私のファンらしい結果だと思います”という話を聞いたことがあるのだが、このセットリストの中に組み込まれ“探す”というキーワードで結んでみると、“この曲を探して、見つけてくれてありがとう”というファンへのメッセージを聞き取ることができたような気がする。

そんなぐんまちゃん探しの旅を経てもぐんまちゃんは見つからず、“前を向いて生きるんだよ!”という言葉と共にぐんまちゃん探しは一旦中断。中盤のMCでは地元ということもあり、上毛かるたのコール&レスポンスなどの“群馬あるある”などを披露しながら、ステージから見える景色に対して“私のライブでみんなが群馬に来てくれたことで、群馬に恩返しできたかな”という思いを感慨深く語るなど、念願だった群馬公演の夢が現在進行形で叶っている喜びを言葉と表情から溢れさせていた。その上で披露されたのが「ハルカカナタ」で、今は遠くにいるあなたを思う歌詞を噛みしめるように歌う内田の姿には、東京で活動していてもいつも故郷のことを思っている郷土愛と故郷への感謝を読み取ることができた。さらに“応援してくれるみんなにこの曲を贈ります”と披露された「Close to you」では、シティポップ風味のバンドアレンジが曲に新たな息吹を吹き込んでいく中、多用されるファルセットにはファンに対する溢れる思いの表れとして聴くことができた。

長い後奏の中、一旦ステージを後にした内田は今回のツアーについてのナレーションで“いろんな場所へぐんまちゃんを探しに行ったけど見つからなかった。でも行った先でたくさん応援してもらい、たくさんのハッピーをもらった。みんなで歌うことがこんなにハッピーになれることをぐんまちゃんにも教えたいな”と振り返りながら、ライブ後半ではみんなで歌い、コール&レスポンスの場面も多い楽曲をつなげていった。そこには歌い手とファンの確かな信頼関係を体感することができ、終盤パートで披露された「SUMILE SMILE」の「スマイル」という言葉が強調された場面は、この日集まってくれたファン、そして今回のツアーでハッピーをくれたファンの心に自分のスマイルを映したいという思いが溢れた瞬間のように映った。

そんな内田彩とファンの気持ちが寄り添いながら互いのハッピーを交換する時間もあとわずかとなり、本編ラストは今回のツアーを象徴するような「Sweet Little Journey」。ぐんまちゃん探しの旅を締めくくるように、見つからなかったぐんまちゃんのパペットを再び手にしながら弾けるようにパフォーマンスする姿は、まさに内田自身が「夏の(パズルの)ピース」になる瞬間でもあり、この夏、内田が全国で集めてきたハッピーが観る者ひとりひとりに届けられたのは、ファンのスマイルが物語っていた。

まさに“故郷に錦を飾る”とはこのことで、ライブに対する充実感からか、最後に内田は“お母さん娘はお仕事がんばっているよ”と思わず母に呼びかけるなどしたが、ぐんまちゃんが見つからなかったことは心残りだったようで、最後まで“ぐんまちゃんどこ”という言葉は途切れることはなかった。
自らも群馬限定ツアーTシャツへ着替えて登場したアンコールのMCでは、保育園でお世話になった先生との感動の再会もあり、地元ならではのアットホームな空気が広がる中、“群馬県で声優を志した自分が声優活動10周年の節目に凱旋ライブができたことに『So Happy』です”と、この日のライブの感想を語り、今の自分を伝えるようにアンコール1曲めでは最新曲の「Bright way」が披露。バンド映えするエモーショナルな楽曲が、内田にとっては珍しいマイクスタンドスタイルで歌われるパフォーマンスには、声で伝える仕事という声優としての矜持をうかがうことができた。

そんなアンコールパートもライブのラストにしてツアーファイナルにふさわしい「Say Goodbye,Say Hello」で締め括らせるかと思いきや、楽曲の最後で、ステージ脇からなんと本物のぐんまちゃんが登場。内田も“本物?”という驚きと共にぐんまちゃんの元に向かい、「So Happy」のミュージックビデオ撮影&ジャケット写真撮影以来となる感動の再会を果たすこととなった。

ぐんまちゃんの気持ちを代弁して内田が“群馬県民会館でライブをやるから待っていたんだよね”と問いかけると、ぐんまちゃんは頷き、“私もぐんまちゃんとここで一緒に歌うのが夢だったの。全国で(ぐんまちゃんを)探してやっと夢が叶うよ”と話しかけ、“このツアーの集大成”という紹介と共に再び「So Happy」が披露。群馬県民の為の会場で、愛らしい動きで応じるぐんまちゃんと共演する内田の表情と動きはハッピー一色に彩られており、So Happy!!!!!ツアー、ハッピーエンドにて完結という大団円のうちに幕は閉じた……と思いきや、客席からの“もう1回”コールと共に再々度登場。

“かわいいだけで終わるわけにはいかない。なんたって私のツアーファイナルですから!”ということでもう1曲披露されたのは「Ordinary」。大サビの「当たり前」からのくだりにありったけの思いを込めた歌声には、「So Happy」な気持ちが明日から続く日常をカラフルに彩ってくれることを願う—ファンと内田自身に対する願いのようにも響いた。曲が終わり、内田は“みんな一人一人が来てくれたからライブが成り立ち、ひとりひとりに笑顔をもらっています”とツアーを通して思ったことを話しながら、“みんなに拍手!”と最大限の感謝の言葉をこのツアーで出会ったすべての人へ贈った。

今回のツアーは“全国のハッピーを集めること”と“ぐんまちゃん探し”という一貫したテーマが設けられていたが、ハッピーという気持ちが、ひとりで得られるものではなく、大切なだれかによってもたらせるものだったとしたら、ぐんまちゃんは内田にとってツアーで出会ったひとりひとりにも置き換えられるのではないか—群馬から持ち帰った「So Happy」というお土産の余韻の中、そんなツアーの答えを見つけることができた。

【セットリスト】

1.So Happy

2.Holiday

3.アップルミント

4.泣きべそパンダはどこへ行った

5.いざゆけ!ペガサス号

6.Go! My Cruising!

7.Merry Go

8.ピンク・マゼンダ

9.ハルカカナタ

10.Close to you

11.with you

12.Yellow Sweet

13.カレイドスコープロンド

14.Like a Bird

15.キリステロ

16.Blooming!

17.SUMILE SMILE

18.Sweet Little Journey

<アンコール>

19.Bright way

20.Breezin’

21.Say Goodbye,Say Hello

22.So Happy

<ダブルアンコール>

23.Ordinary


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