Nothing’s Carved In Stone、全国ツアーの最終公演で唯一無二のバンドサウンドを叩きつける

2018年6月2日 / 12:00

5月22日(火)@新木場Studio Coast (okmusic UP's)

今年10周年を迎えるNothing’s Carved In Stone(以下NCIS)が5月22日(火)、全国ツアー「Mirror Ocean Tour」の最終公演を東京・新木場Studio Coastで開催した。今年で10周年を迎え、10月7日(日)には初の日本武道館公演が決定しているNCIS。9thアルバム「Mirror Ocean」を携えたツアーのファイナルでも彼らは、さらに研ぎ澄まされたアンサンブル、大きくスケール感を増したサウンド・スケープをダイレクトに見せつけた。

超満員の新木場Studio Coastにメンバーが登場した瞬間、凄まじい歓声が起こる。オープニングは最新アルバムのタイトルチューン「Mirror Ocean」。壮大なストーリー性を感じさせる楽曲構成、メンバー全員のプレイヤビリティを活かしたアレンジ、全体を包み込む哀愁を含め、バンドの存在意義がたっぷり込められたこの曲によって、会場は一気にNCISの世界観に染め上げられる。「準備できてるか? 新木場!」という村松 拓(V&G)の煽りから「In Future」、「Out Of Control」といったライブアンセムが次々と放たれ、観客のテンションは一気に引き上げられた。重厚感としなやかさ、大胆なアイデアと繊細な構築美、緊張感と解放感。相反する要素がナチュラルに混ざり合ったバンドサウンドは、やはり唯一無二。この瞬間、この場所でしか体感できないロックミュージックが響き渡り、快楽と興奮が同時に押し寄せてくる。
「最高だな。帰ってきたよ、新木場。いろんなところでいろんな気持ちを吸収して、今日ここに立ってます。ツアーファイナルよろしく!」(村松)というMCの後も、余計な演出を排除し、ツアーのなかで研ぎ澄まされた楽曲を披露していく。その中心を担っていたのはやはり、ニューアルバム「Mirror Ocean」に収録されたナンバーだった。オニィこと大喜多 崇規(Dr)と日向 秀和(Ba)のファンクネス濃度高めのグルーヴ、生形 真一(G)のワウ・ギターが絡み合うサウンドのなかで抑制の効いたボーカルが広がる「Flowers」(“横ノリ”で気持ち良さそうに体を揺らす観客も多い)、日向の強靭なスラップ・ベースに導かれ、端正なアンサンブルが鳴り響いた「Go Out」、高速のギターリフを中心にすべての楽器が鋭利に絡み合う「Stories」。NCISの楽曲の多くはメンバー同士のセッションから生まれるのだが、バンド結成から10年経った現在もこれほど多彩な“引き出し”を持っていることに驚かされる。ギター、ドラム、ベースがときにぶつかり合い、ときに活かし合う“押し引き”も絶品。メンバー全員が主役であると同時に“いかに楽曲の良さを際立たせるか”という意識は常にキープされ、緊張感はまったく失っていない。これほどまでに絶妙なバランスを備えたバンドは本当に稀だと思う。

「今年で10年目。この曲を今やることに、Nothing’s Carved In Stoneをやる意味が詰まっていると俺は思います」という宣言に導かれた「The Poison Bloom」も強く心に残った。宇宙サイズのスケールを感じさせるメロディラインがどこまでも広がり、圧巻としか言いようがない音楽空間が出現。NCISは常にオーディエンスと近い場所に存在しているバンドだが、楽曲のスケール感はキャリアを重ねるごとにアップしている。まったくムリすることなく、どこまでも自然に壮大な音を鳴らせる。それが現在のNCISの武器であり、魅力なのだと思う。

「いろいろ言うことを考えてたけど、もういいや。グダグダ言わずにやればいいか。感じてください」(村松)というコメントからライブは後半へ。アルバム「Mirror Ocean」の柱の一つである「Mythology」、さらに「Like a Shooting Star」「Spirit Inspiration」「YOUTH City」などキャリアを代表するアッパーチューンを次々とフロアに叩き込み、観客の心と身体を揺らしまくる。ラストは「シナプスの砂浜」。浮遊感のある旋律と“未来とは自由/終わりのない永遠の焦燥”というラインが重なり合うなか、ライブ本編は終了した。
アンコールはアコースティックな色合いの「青の雫」からスタート。「ライブでこの曲をやるたびにつながりを感じてきて。もともとは東北のことを歌った曲なんだけど、俺たちとっては今回のツアーでみんなとのつながりの曲になりました」(村松)というコメントも心に響いた。さらにポップパンクのテイストを反映させた「Winter Starts」を披露、華やかな空気へとつなげる。

「自己満足にならず10年続けてこられたのはみんなのおかげ。ありがとうございます」(村松)

「武道館やって、そっから先、まだ言えないけど、いろいろ考えてるから。夏フェスで揉まれて、武道館で待ってます」(生形)

という最後のMCに導かれたのは1stアルバム「PARALLEL LIVES」の1曲目に収録された「Isolation」。バンドの原点である楽曲を全力でプレイし、「Mirror Ocean Tour」は幕を閉じた。アルバム「Mirror Ocean」を軸にしながら、最新型のNCISを見せつけた4人。10月7日の日本武道館公演への期待がさらに高まる、大充実のステージだったと思う。
Text by 森 朋之

Photo by TAKAHIRO TAKINAMI
【セットリスト】

01.Mirror Ocean

02.In Future

03.Out of Control

04.Directions We Know

05.You’re in Motion

06.Milestone

07.Brotherhood

08.Flowers

09.Go Out

10.Stories

11.MAZE**

12.村雨の中で

13.Damage

14.Bog

15.The Poison Bloom

16.Mythology

17.Rendaman

18.Like a Shooting Star

19.Spirit Inspiration

20.YOUTH City

21.シナプスの砂浜

EN1.青の雫

EN2.Winter Starts

EN3.Isolation
【ライブ情報】

『10th Anniversary Live at BUDOKAN』

10月07日(日) 東京・日本武道館

<チケット>

全席指定¥5,940(税込)※3歳以上チケット必要

■ディスクガレージ受付

6月2日(土)12:00~6月15日(金)23:59

https://goo.gl/VkaDhR

■一般発売

7月07日(土) 10:00

■お問い合わせ

DISK GARAGE(平日12:00~19:00) 050-5533-0888


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