『第72回トニー賞』は『バンズ・ヴィジット』が最多10部門を受賞! 

2018年6月13日 / 15:00

ミュージカル作品賞:『バンズ・ヴィジット』 (c)Getty Images (okmusic UP's)

 アメリカ演劇界に於ける最も権威のある『トニー賞』。その第72回目の授賞式が6月11日(現地時間10日)に、アメリカはニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールにて行なわれ、エジプト人とイスラエル人の男女の一夜に於ける心機微を情熱さを交え描いた『バンズ・ヴィジット』がミュージカル作品賞、主演男優賞など最多10部門(11部門ノミネート)を受賞した。また、演劇部門では、15年後の物語の続きが描かれた、父親になったハリーが過去と向かい合う様を3時間近くの前編後編にて上演され、現在でもロングラン中の『ハリー・ポッターと呪いの子』が全6部門を受賞した。

 この授賞式は演劇部門とミュージカル部門に別れ、それぞれで作品賞やリバイバル作品賞、主演男優・女優賞などが授与される。『バンズ・ヴィジット』は現在の“国境を超えて仲良くしよう”との風潮を反映しているかのように、また、『ハリー・ポッターと呪いの子』に際しては、ここ近年で久しぶりの映画が原作の作品の受賞となり、同シリーズが原作、映画、演劇と未だ根強い人気であることも印象付けた。
 ブロードウェイ最多の動員を更新した年でもある今年。結果、各作品の特異性から、どの作品が受賞しても不思議ではないとの前評判の中での授賞式となった。既発映像として著名な作品の戯曲化のノミネート作品も目立ち、それら先人の手によるクラシック作品を現代ならではのアイデアと表現力、演技力、歌唱力で、どれほど聴衆を惹き込み、魅了していくかが受賞の焦点となる。加え、ミュージカル部門ではノミネート作品の全てが、かつて映画化されたものばかり。がゆえに、どう映画との差別化を図っていくのかにも興味が募った。

 そんな今年の授賞式はジョシュ・グローバンとサラ・バレリスが司会を務めた。ミュージシャンながら演劇にも造詣が深く演劇経験もある両者は所々でデュエットを披露し、数々の賞の授与がされていく。そんな中、演劇主演男優賞を受賞したアンドリュー・ガーフィールド( 『エンジェルス・イン・アメリカ』)は、“正しく生きていく為にもこの受賞は嬉しい”と語り、6人のノミネートは初。その中から初ノミネートにして、栄冠に輝いたミュージカル主演女優賞受賞のカトリーナ・レンク (『バンズ・ヴィジット』)は“この作品に出て楽しませていただきました”と受賞の慶びを表した。
【今年の主な部門受賞結果】

■ミュージカル作品賞

『バンズ・ヴィジット』

■ミュージカル・リバイバル作品賞

『アイランド』

■演劇作品賞

『ハリー・ポッターと呪いの子』

■演劇リバイバル作品賞

『エンジェルス・イン・アメリカ』

■演劇主演男優賞

アンドリュー・ガーフィールド(『エンジェルス・イン・アメリカ』)

■演劇主演女優賞

グレンダ・ジャクソン(『幸せの背くらべ』)

■演劇助演男優賞

ネイサン・レイン(『エンジェルス・イン・アメリカ』)

■演劇助演女優賞

ローリー・メトカーフ(『幸せの背くらべ』)

■ミュージカル主演男優賞

トニー・シャルーブ(『バンズ・ヴィジット』)

■ミュージカル主演女優賞

カトリーナ・レンク(『バンズ・ヴィジット』)

■ミュージカル助演男優賞

アリエル・スタッチェル(『バンズ・ヴィジット』)

■ミュージカル助演女優賞

リンジー・メンデス(『回転木馬』)
 発表の合間合間にはミュージカル・リバイバル作品賞を受賞した『アイランド』をはじめ、今年のエントリー作品から『アナと雪の女王』『ハリー・ポッターと呪いの子』『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』『ミーン・ガールズ』『バンズ・ヴィジット』『マイ・フェア・レディ』『回転木馬』『Summer』等の各部門の作品賞ノミネート作品のハイライトシーンが実際に観衆の前で次から次へと演じられ、観衆を魅了していった。
 また、今回、WOWOWで生中継が行なわれた日本のスタジオでは、井上芳雄、生田絵梨花、坂本昌行による賞の行方の予想や、映画『グレイテスト・ショーマン』より「ザ・グレイテスト・ショー」と「ディス・イズ・ミー」話題のミュージカル楽曲や、今回、功労賞を受賞したアンドリュー・ロイド・ウェバーの戯曲のメドレー、チタ・リヴェラの代表歌のメドレーも生バンドをバックに歌唱。とても贅沢な装いであった。

 併せて授賞式の合間には、10月8日から赤坂ACTシアターで上演予定の映画監督・黒澤明の代表作『生きる』の初のミュージカル化に伴い、同劇に出演する俳優の市原隼人もスタジオに登場。ミュージカルは初となる彼は“自分がまさか芝居の中で歌う日が来るとは想像もつかなかった。でも、歌うことで振り幅が広がりました”と述べ、既にワークショップも始まっているようで“みなさんが「ここが居場所(演劇やミュージカルの舞台)だ」と言っていた意味が分かりました。『生きる』では是非とも一人の男の人生を感じてほしい”と今回の出演について語った。そして、授賞式終了後には8月に東京・シアタークリエで上演される、あの名画『ゴースト』の日本での初ミュージカル化に出演する浦井健治もスタジオに登場。“オリジナルの映画ともブロードウェイとも違う日本なりの『ゴースト』を贈りたい”と強く語り、主題歌でもある「アンチェインドメロディ」をフルコーラスで披露し、舞台への期待を募らせた。

 

 なお、この授賞式(字幕版)の模様は、6 月16 日(土) 夜7:00 WOWOW ライブでにて放送され、WOWOW メンバーズオンデマンドでも見逃し配信される。

photo by (c)Getty Images

text by 池田スカオ和宏


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